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環と周/よしながふみ

 何となく時間が余ったので本屋に寄りました。そして、もぅのすご~く久しぶりに漫画を買いました。
 ホント言うと、「カラオケ行こ!」とかいう漫画を買おうかな?とか思ってたんですけど、つい。

 もはや、よしなが先生が稀代のストーリーテラーであることに疑いはないと思います。私は、スラダンパロを描いてらしたあたりからよしなが先生のファンでしたが、当時でもやはりストーリーが面白いのは図抜けていたと思います。

 そんなわけで、「カラオケ行こ!」を見つける前によしなが先生の漫画を見つけてしまったので、つい。

 で、さっそく読んだんですけど。(以下ネタバレです)

 

 なんだかイライラするんです…。なんていうのかなぁ。ストーリーテリングがすでに彼女にとっては「生業(なりわい)」なんだなあ。とか、思ってしまいました。
 どれもこれもが「よくできたお話」なんですが。

 だけど、ちょっとイラっとします。どの話もなんだか、ちょっとイラっとするんです。
 いや逆に、「ちょっとイラっとする」のを狙ったお話なのなら、ズバリ大あたりですけど。

 最初の「一人娘が同級生の女の子とキスしてるのを目撃して動揺する妻。実は夫にも、かつで同級生の男の子を好きになったことがあった。」って話。
 これもう、なんかね。なんか、「普通の人」に媚びてるよね。

 妻はずっと「動揺」してるんですけど、それに対して夫は、友達のことが好きだった昔を懐かしく思い出すだけで「何もしない」んです。妻にも何もしないなら娘にも何もしない。ただただ、昔の思い出を回想しては、
「そんなこともあったよのう。懐かしい。好きだった~。」
とか、思うだけ。

 同性愛ヘイトで娘を傷つける妻に鉄槌も下りません!(笑)

 イラっとする。

 「大切なお友達になった女学生の環と周」のお話も。ホントにイラっとします。
 そもそも、ものすごく仲良しだということを周りも知ってたし、死んでからも手紙が来てたのに、環さんが亡くなったことを周に知らせない。とかいうのが、不自然すぎて「お話のためのお話」って気がします。

 しかも、ちょっと女の嫉妬みたいな、昔ながらのそういうアレなお話をチラッと入れてるあたりもイラっとします。
 そんなん入れる必要あるのかなあ。普通の人に媚びてるんでしょう。

 「病気で余命わずかと知った環は、同じアパートに住む少年と出会い交流が始まる」
 全部のお話のなかで唯一イラっとはしないお話でした。ただ。私が好きなタイプのお話ではなかったです。
 というか、この本の全部がこういうお話の本だったら恐らく買ってないと思います(笑)

 「復員兵の周は元上官の環と再会し、闇市で一緒に店をはじめるが…」ってお話。「あれよ星空」みたいなお話なのかな??とか思ったんですけど。アレですよ。なんならこれを読むためにこの本を買ったんですよ(笑)
 
 でも。…思ってた話じゃなかったです…。

 よしなが先生、「私、闇市のお話も書けるのよ。」って感じです。しかし、全然納得できません。環さんが自分勝手すぎるし、これもまたなんか、「普通の人」に媚びてる。
 夫婦が元の鞘に収まってめでたし。とか言うのが、陳腐すぎて言いようもなくモヤっとしました。
 あのさ。なんかさ。恋愛ってそんなもんじゃないと思うの。

 最後の江戸時代編も、まあ、なんか。あれです。ここまでくると、もう、かなりイヤになってきたので斜め読みになってしまいました。

 あ~あ。

 まあ、私の周りの友達も、昔はとがっていても、今やほとんどが、「現状追認」になってしまっているので。
 いや。昔と言ってることちゃうやん。でも、現実ってそうだからね。みたいな。

 人間、トシ食うと角がとれて丸くなるのでしょう。

 

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