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かつてTENSAIだった俺達へ②

どーも、ローリーです。
前回に引き続き、TENSAIの振り返りと鬼巡り製作記を書いていこうと思います。
今回は本の内容に深く切り込んでいく予定なので、暇な人はこちらの台本をご参照ください。


さて、〆切と予定上演時間をぶっちぎって生まれた鬼巡りでしたが、皆さんどうでした?
僕の言いたい事は伝わっているでしょうか?
書いてるうちに変わっていったり、シーンを簡略化したりした影響(あと単純に作家の腕)でちょっと難解になってしまったようです。
作品の解説というと、ちょっと大仰に過ぎるしダサいですが、書いてる時に考えてた事とかを緩くお話ししようと思います。

プロットを作る

「鬼を殺したら鬼になっちゃう侍」という1点のみで書き始めたこの話にはテーマというものがありませんでした。
まぁもともと物語のテーマ性とかにはあまり興味のない僕ですが、このままだと書き進める上で軸がない。なので要素を追加します。

・ただの鬼退治だとつまらないので人間にしよう。
・鬼のような人間は悪人だな。かっこいい悪役にしよう。
・正義の侍って腹立つな、こいつも酷い目に合わせよう。彼もまた悪人だったのだ。
・悪人を殺す事で悪に目覚める。無限ループや!
・物語の収束のためにループを断ち切る必要がある。人外を殺そう。
・出てくる奴みんな殺そう!死ね死ねー!ワハハ!!

かなり端折りましたがおおむねこんな感じでプロットを作りました。
今考えれば40分くらい必要だったプロットが。

キャラクターは作者の分身

組み立てたプロットに沿って書き進めてみると、キャラクターがいまいち弱かった。
そこで、修羅丸には僕の怒りを代弁してもらう事にしました。

「この世の全ては誰かのもので、それを盗んだりしてはいけない」
「人の決めた事=生き様、死に様を奪ってはいけない」

というようなこと。
反対に、虎之助には僕の怒りを買うような事をやってもらおう。

「自己犠牲のふりをして他人に犠牲を強いる行為」
「無自覚な悪。しかも正義ぶっている。あまつさえ開き直る」
「他人を利用して得をする」

本当に嫌な奴が出来上がった。彼を懲らしめる事に一切の躊躇はない。

「俺はお前ぇみてぇな奴が一番嫌ぇだ」

という台詞は120%ローリーの本心です。35年の人生で一番好きな台詞だ。
キャラクターが定まった事で、わりとスラスラと書き進めることができたが、時すでに遅し。締切は既に目前に迫っていた。

大幅な尺調整

前回にも書いた通り、初稿締切を迎えて長すぎる事にようやく気付いた。しかし何度読み返しても修羅丸のシーンには僅かしか削れる部分がない。
仕方ない、この後の展開を大幅に削ろう。
登場するはずだった虎之助の嫁、襲いかかる人々、命を救われ虎之助の心を癒すかと思いきや実は虎之助に恨みを抱いている少女。
グッバイ、君達は亡霊となりて虎之助を殺してくれ。
当初は早めに退場するはずだった獄卒に削った要素の殆どを吸収し、なんとか尺に収まる(と思っていた)ように結末へと向かった。

結果的にこれは大きなプラスに働き、獄卒というキャラクターの重みが増して、キャスティングの成功も相まってとても良い評価を受ける事ができた。
なるほど、これが引き算か…!!
さらに、締め切りに追われて切羽詰まった事で、様々な要素が繰り返しループするという要素がより強化された。同じような台詞を繰り返す事で筆の進みを早くするためだったんだけど。
こうして物語にテーマが生まれ、無事に脚本が完成したのでした。
終わってみれば直したいところは色々とあるので、機会があれば別verを書きたいですね。

随分長くなってしまった。
次回はキャスティングから芝居面の稽古の話になるかと思います。
さ、次はいつかなー

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