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「トラウマ解消のクイック・ステップ」を読んで(読書感想文#26)
トラウマ関連の本を先日読んで、知らない観点がとても多かったので、もう1冊読んでみました。ブリーフ・サイコセラピーで有名な先生だそうです、無知で知らずに手に取ったのでした。
▼可能性のある未来につながるトラウマ解消のクイック・ステップ/ビル・オハンロン著
最初の方は、ニュアンスを日本語に置き換えるのが難しいんだろうなぁという部分が多くて少し難しかったです。でも途中から、具体的な事例がたくさん出てくるので楽しくなって、そのまま最後まで読めました。
除反応セラピー(追体験して味わう)は効果があるけれど、長期間に亘るのとかなりしんどい。それ以外の方法もありますよ、という内容でした。
1.インクルーシブセラピー(脱価値化、体験再生)
ー許可、反対のものを包含する、例外を認識する。
ここは私にとって難しかったのですが、「全部ひっくるめてOKと認める」「矛盾があってもそれが実際だと認識する」「それも含めて前に進む」、そういった感じかなぁと思いました。
2.未来による牽引
ここはすごく理解しやすかったです。
・ミルトン・エリクソンのエピソード。
セラピーが上手くいかない場合、セラピーを成功して1年後位の意識にトランスで持っていく。うまくいったセラピーでどんな方法を使ったか聞いて、忘れさせてから現在に戻す。そうして、聞き出した内容を実施すると大抵うまくいく。つまり、人はポジティブな未来と、そこに至る方法を持っている。それを援助するのがセラピストだということでした。
・夜と霧のビクトール・フランクルのお話も、紹介されていました。
困難な時に、自分の未来を描くことで、現在の位置づけを変える。未来志向の強い私には分かりやすかった。過去が今を作るのではなく、未来が今を位置づけるイメージ。
・個人で実践できそうなこととして、未来の自分からの手紙を書く(問題解決した後の自分から、今の自分へ)というものもありました。
3.ボトルの形状(トラウマで形成されたパターンを変える)
・自分のパターンを他の人がやるとしたら、どうやったらいいかを語ってもらう。→客観的に話すことになるので、パターンの中の変えられる部分を見つけられる。
・EMDR、TFT、EFT等
前にトラウマの本を読んで、身体を使ってトラウマを癒すという話がありましたが、それの実践版と考えたらいいのかな。(EMDR等は色々な意見があるようで、素人が気軽に試すのはやめた方がよさそう)
トラウマの反応に、別の刺激を紐づけることで、神経反応を変えるという感じかと思います。ここでまた、鍼灸の話も出てきました。面白いなと思います。
ゲイリー・クレイグのEFT(情緒解放テクニック)やTAT(頭のツボをホールドする方法)も紹介されていました。感覚を使って、問題を空間的(3D)に変容させるというのは、精神療法の本でも出てきた話で、面白い。
・NLPのサブモダリティの話も出てきました(映画館の逆再生・早回し・白黒化等、画像を変化させる等)。
これも有名な方法だけれど、背景分かった上で聞くと、なるほどと思いました。特定のパターンを繰り返すと神経回路が強化されてしまうから、そのパターンに介入していくのですね。
面白いのは、特定の療法を使わなくても、フラッシュバック時に他の感覚を使う行動をするだけでもいいみたい。例えば、毛布の感触をよく感じてみるとか。
4.再結合(トラウマ後の解離と断絶に挑戦する)
ー自己、対人、トランスパーソナル(自然、宗教、アート等)
◆自己との繋がり
私も感情薄めな部分があるので、興味深かったです。
情緒的な自己との断絶には、「重要な出来事を振り返り、感じたであろう反応をわかろうと試みること」が紹介されていました。(日記でいいみたい)
再結合、私も取り組もう。
◆身体との繋がり
運動、マッサージ、リラクセーション訓練等々・・・
苦手なものばかり。これも課題だなぁ。
◆人、自然、アート、宗教等との繋がり
そして、書くこと:ここで、エクスプレッシブ・ライティングが出てきた。(ジェームズ・ペネベーカーのOpening Up、ステッペン・レポアーとジョシュア・スミスのThe Writing Cure)15分×4~5日で良いらしい。和訳出ているのかなぁ。書くこと好きなので、読んでみたいです。
後は結合とは逆に、モノに閉じ込めて捨てる方法も。これは感覚的に問題を扱う話と似ていますね。
これは、トラウマがある人にはかなり参考になるのではないだろうか。意外と自分で取り組める内容もあったからです。目新しい内容ではないのかもしれないけれど、網羅されている感じがしたので、私のようにトラウマのアプローチについて全体像を知りたい方にもおすすめだなと思いました。
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
▼前に読んだトラウマの本(やさしかった)
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