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複数の時間が流れるってどんな感じ?ADHDで括れないから読もう。「あらゆることは今起こる」を読んで(読書感想文#79)
この本を一言で纏めるのは、とても難しい。
私が高校生くらいの頃、「人の心って何なんだろう」「人の考えってよく分からない」と思っていた時期の、何とも言えない気持ちを思い出しました。
この読書感想文の場で、こういったエッセイ調の本を取り上げるのは初めてかもしれません。ADHDの診断を受けていらっしゃる小説家の方の、日常が楽しく読める本です。
「ADHDの方の感覚を知るのにおすすめ」と教えて頂いて読みました。ありがとうございます。
まず、読み物として面白い!
お喋り口調で、日常のお話が綴られているので、友人の話を聞いているみたい。大阪出身の方なので、関西弁なのかな?小気味よいテンポで語られています。
そして内容が、結論として「一言で言えない」なんだよなぁ・・・!
ADHDを持つって、逆に言うとそういうことなのかなぁ。
いや、ADHDに関わらず、人の考えや気持ちって、やっぱりそういうものだよね。
読んでみて分かったのは、人によって、特性がどのようにでるかも全然違えば、困り事も全然違うという事が、「実際にはどういうことなのか?」がとてもよく分かる。
「ADHDの人はこんな人」なんて、やっぱり括れないよね。
私は特にADHDのことは体感で「よく分かっていなかった」。
ADHDの傾向があるのかなという友人は、周りにいなかったように思う。ASDの傾向がありそうで、何かしら周囲とのコミュニケーションが大変そうという知り合いは、何人か思い当たるけれど。
ADHDの傾向となると、著者も仰っているけれど、「ちょっとおっちょこちょい」とか「うっかりやさん」という感じで、周りに思われている方も多いのかもしれない。
そう思ってもう1度考えると、いつも遅刻していたあの人とか、やると言ってやらずに忘れさられることの多かった人がいたな・・・とか。
じゃあどこからADHD?となると、やはり社会的な困難性とか本人の困り感とかを鑑みて、医学的な検査を受けて・・・となるのだろうけれど。
それが、日常や生活においてどういう形で表れるかが、柴崎さんの場合にはこうなっているんだな(纏められないので、全体を指しておく)と思った。
「体の中で複数の時間が一度に流れる」とは。
作家さんで、行動や気持ちの描写もすごく細かくて「こう思ったからこうした」「こうだからこうなんではないか」という説明がすごく分かりやすい。
なのに、私の頭は処理しきれなくて、「面白かった」という感想だけ。。
なんというか、個別に「このエピソードについてこう思った」は語れるかもしれないけれど、この本の纏めとしてそれがしっくりこなくて。
お友達ととりとめもないお喋りを10時間くらいばーっとして、帰り道にどう思った?と聞かれたような感じですね。
みんな誰しも頭の中は、もしかしたら複数の時間が流れているのではとも思うんですよね。
今日のこと考えたり、遠い昔のエピソードがふっと湧いてきたり、晩御飯のこと考えたり、身体のどこどこが痛いなと思ったり。
それを保持している力が強い人。言語化する力が高い人。そんな印象を受けました。
さっさと忘れて目の前に戻ってくる人が多いのに対して、「いろんなことが一気に共存する」という感じなのかなぁ。
エッセイや小説って、面白いなと思いました。専門書で一行で書かれている内容でも、実際の経験だとこうなのかというのが体験できる感じがしますよね。
来年はこういうのもいっぱい読もう!
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
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