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「共感障害『話が通じない』の正体」を読んで(読書感想文#35)
最近、発達障害の本ばかり読んでいたので、「共感障害」という言葉を見た瞬間、「ASDの話かな?」と思って手に取りました。
ちなみに私が読んだのは「共感障害」という言葉が大きめに配置されていますが、単行本では表紙が違いました(共感障害という文字が小さい)。
▼共感障害 話が通じないの正体/黒川伊保子
「共感障害」というのは、DSMで分類されるような精神疾患のひとつという訳ではないと思うので、このキーワードは著者の提案する概念と考えればいいのでしょうか。
正直、そこのところの定義がよく分からないまま進んでいったので、理解しきれない部分も多かったのですが、内容は面白かったです。
エッセイのような読みやすい文章で、今まで考えたことのない枠組みを提示していただいている感じでした。
同じ認識フレームと思い込むほど、違いにショックを受ける
大阪人・京都人・北陸人で認識フレームが異なるという著者の学生時代の経験談。みんな経験がありそうです。その人の当たり前(話にオチはつけるでしょとか、1回断ってもまた勧めるでしょ、とか)は、地域で異なったりして確かにびっくりすることがあります。
また、最近はSNSが浸透しているので、一見同じルールで話しているように感じるので、実際とのギャップがあるということも。それを意識しておくとしていないとでは、自分の傷つき方も違う気がします・・・
人生の主役ではなく、VIP席に座る主賓と考える
景色の感動ポイント。何に感動するかは、人によって違うということ。
同じものを見ても、空の色に感動するのか風に感動するのか、はたまた感動そのものをするかしないかすら違う。
世界が厳しく感じるのは、自分の見方が厳しいから。
「VIP席に座る主賓」と考えると良い。
「人生の主役はあなた」とよく聞く。確かにそうだけれど、なんだかしんどい響きだなぁと思っていた私にとって、このVIP席に座る側というのはなるほどと思いました。観劇する気持ちでいれば、辛い場面でも「ドラマティックだなぁ」と悠々と楽しめるということ。
ASD・ADHDと共感力について
ASDの場合、全ての情報が関連性を主張してくるので、情報の収取選択が難しい。
でもASDだから共感障害という訳ではないそうです。
例えば、著書自身が自閉症の方ですが、細かく分析する力に長けているので、認識フレームを理解することで共感力を得ているということだと思いました。
ADHDだと、自分の型ともいえる認識フレームがパターン化していて、何にでもそれを当てはめるので、共感力の低さに繋がるそうです。世の中が単純化されて見えているイメージ。なるほど。
さいごに
ASDの方の特性としての共感力についての話かと思っていたので、それに囚われず、でもASD・ADHDの認知傾向を知ることができて、とても勉強になりました。
感覚的に、色々な人の「ものの見方」のサングラスを借りて見たような感じです。もしかしたらこの本は、定型の方が他の認識フレームを知り、視野を広げるに適した本かもなぁと思いました。それと、定型と便宜上言ったけれど、結局のところ認知ってグラデーションでみんな様々で、どれが普通なんてないということも、改めて感じました。
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
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