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「依存症」を読んで(読書感想文#13)
摂食障害の本を読んできて、その回復のための考え方は、大体アルコール依存症の研究が基になっていることが理解できました。
そこで、依存症全般の本を手に取ったのですが、すごく面白かった・・・!
▼依存症/信田さよ子著
依存症についてはもとより、読み物としてもすごく興味深くて、一気に読んでしまいました。
依存症や嗜癖(アディクション)とは何か
・中毒→ある物質を摂取捨て体に生じる不快な反応
・依存→自らすすんで接種による効果を繰り返し求めること
*社会的に問題があるときに「症」と言われる。
嗜癖(アディクション)は大きく分けて3つ
①物質嗜癖(アルコール、薬物、ニコチン、摂食等)
②プロセス嗜癖(ギャンブル、買い物、暴力、性的逸脱、盗癖等)
③関係嗜癖(共依存等)
アダルト・チルドレンとは・アルコール依存症との関係性
今までアダルト・チルドレンってよく聞くけどなんだろうと思っていました。アルコール依存症の子どもに関係あるみたいだから、自分は無関係かなと思っていたのです。
でも、アダルトチルドレンの定義とは、「現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人」とのことでした。
母からの共依存的な支配。成長過程では母を支えるのは自分しかいないと思い、母の期待を先取りしいい子として成長する。成人してから、母が自分の人生に寄生している苦しみが表面化する。母は離婚の恐怖を感じさせ続けたのに、結局離婚もしない。
上記の記載に、いい子で生きてきた自分は、あれ?と思いました。関連著書も、読んでみようと思います。
依存はセルフコントロールの極みである
嗜癖は自己治療であり、セルフコントロールである。この概念が、本当に「なるほど」と私は納得しました。
お酒は万能感と合体感をもたらします。普段意見などなかなか言えない人は、自分の感覚を変えることで問題解決になるのです。これは、正直自分にも身に覚えがあります。
仕事に集中するためのセルフコントロール→集中して疲れた自分の、緊張を解除するセルフコントロール→アルコールの量を抑えるセルフコントロール・・・とコントロールの対象が変化していく。ここに目的が集中していく(アルコールのコントロールに失敗するから)
そういうことなのですね。
コントロールする快。酒だけではなく人間関係、生き方もコントロールする。それで、コントロールが目的になってしまうのが依存症なのか。
回復者はコントロールしない快を体現している
だからなのか、回復者はコントロールしない、所有しないことの快を体現しているように記されていたことが印象的でした。
「~せねばならない」を徹底すると自らが危うくなるというパラドックスなので、過剰適応をやめると、男らしさ・女らしさの追求をやめることになる。女性はニコニコしていた人から、面と向かってはっきりと自己主張をする人になるとのお話がありました。
そうか、びっくり。私はアルコールは飲まないけれど、ニコニコしがちだから、はっきり自己主張できるようになりたい。依存症の人はどういうステップで過剰適応をやめていくのだろうか?とにかく状況をコントロールせず、受け入れて生きるということなのかな。
信田先生は、「医師ではなくカウンセラーとして書いているために、独断と偏見に満ちているかもしれない」と記していらっしゃいました。私は、だからこそすごく魅力的なんだなぁと感じました。臨床にたくさん携わってきた専門家の実経験が感じられて、とても面白かったです。
また他の本も読んでいきます。ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
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