見出し画像

「世界基準のヒプノセラピー入門」を読んで(読書感想文#49)

暗示を使って自己催眠をかけることで不安などに対処するという本を数冊読んでみて、心理療法では有名な催眠療法ってどんな感じなのかなと思い読んでみました。

▼世界基準のヒプノセラピー入門/今本忠彦著

この本は「正統派の催眠療法(ヒプノセラピー)の本」という印象でした。

私は催眠療法と聞くと、ちょっと怖い、危なくないのかなというようなイメージがあったのですが、それは洗脳とちょっと混同していたことが分かりました。(催眠は自分の意識があり解除もできる、洗脳は極限下に置き無抵抗にさせる)

催眠とは?

では改めて催眠とは何なのでしょうか。

催眠は、自分の意識を保ったうえで、潜在意識とアクセスできる、被暗示性の高まった心身の状態。

リラックスして、イメージがしやすく、心に何かを働きかけやすい状態。

普段私たちの意識は、クリティカル・ファカルティ(フィルター)が門番のような役割をして、顕在意識と潜在意識を隔てています。それを、誘導によって緩めてあげて、潜在意識に働きかけやすくするのが催眠療法。

クライエント側が催眠に入ることを許可しなければ、催眠状態には入らない。催眠とは、かなり自然な状態ということが意外でした。無意識の状態とは、リラックスして寛いでいる穏やかな状態だということ。思っていたより普通の感じですね。そっか、無意識の領域があることは確かだもんなぁ。普段無意識でやっていることってたくさんありますよね。

この本の中でも、誘導の文章がいくつか出てくるのですが、目で追っているだけでもリラックスはなんとなくできます。(小舟にのっている情景など)

自分でできそう?なぜヒプノセラピストは必要?

ではなぜ、ヒプノセラピストが必要なのでしょうか。

よく聞く、年齢退行、前世療法、インナーチャイルドの癒し。これらは、ラポールを結んだセラピストとの共同作業になるからとのこと。

催眠状態はあくまで問題解決のための土壌で、無意識状態での自分の考えを、よりよい形に持っていくにはセラピストの働きかけが必要だということでしょうかね。(自分の声の録音じゃダメかなぁ)

ちなみに前世療法などは、前世を観るためだと思っていたけれど、違うそうです。「トラウマを生み出した時に戻ってください」と働きかけて、前世に戻ることも多い、ということだそうです。前世を確かめるのが目的ではなく、まず目的があり、語りが前世というイメージで表れるということ。

前世がある・ない(どっちが本当?)と考え出すと、催眠療法自体が正直「?」となっていたのですが、本人の語りはメタファーと捉えてもいいらしい。目的はあくまで問題解決であり、そのために効果が高いからそれでいいと。

なるほど、別に本人が話す内容が正しいかは関係ないということですね。
本人を縛っているなにかが、ほどけると動けるようになる。
例えるなら、夢で見た内容が、本当のことなのかという議論に近いということかなと思います。夢で怖いことが起きて、怖い怖いと思っていたなら、顕在意識では「大丈夫だよ、夢だから」と思うでしょう。でも無意識で怖がっていたらやっぱり怖い感じは残る。クリティカル・ファカルティを緩めないと働きかけられないと思いました。

催眠療法は何に効果的か?

「なんだか理由はわからないんだけど、〇〇ができない」という悩みには、いいのかもしれないと感じました。(不眠、飛行機に乗れない、禁煙などなどの症例が記載されていた)

注意として著者の方も書かれていたのですが、前述のように前世が観えるということに主眼を置いたものは、目的が違うので心理療法ではないということ。洗脳やスピリチュアルと催眠療法は異なるものだということが、広まるといいなと思いました。催眠という言葉は、テレビなどでイメージがついてしまっているので、催眠療法が別の名前に変わったらいいのかもしれないけれど、それも難しいのでしょうね。

ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

▼暗示の本


いいなと思ったら応援しよう!

けい 心理・精神医学の読書感想文
心理の書籍購入に使わせていただいています。感想書きます📖

この記事が参加している募集