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「女性のADHDサポートブック」を読んで(読書感想文#18)

以前にも女性のADHDに関する本の感想を書きましたが、良さそうな本を見つけたのでまた読んでみました。この本、分かりやすくて、かつ詳しいです。

実は私の身近にもADHDの方がいて、どう支えたらいいのかなと思いながら読んでいたのですが、そういった支援者や家族の方におすすめです。

女性のADHDについて詳しく書かれていることはもちろん、どう理解し支えたらいいかという観点で読みやすかったです。特に新しく知ったポイントについて、感想を述べてみます。

脳機能の働きの障害とはどういうことなのか?

発達障害は、「実行機能」と呼ばれる脳機能の働きの障害ということでした。本人のわがままではなく、脳機能に何らかの特性があると捉えると良さそうです。

<ADHDにかかわる実行機能>
①取り掛かり:課題の整理、優先順位づけ
②焦点化:課題への注意の焦点化
③努力:意識を覚醒させ、処理速度を維持する
④感情:欲求不満の管理、調整
⑤記憶:ワーキングメモリ―を活用、想起する
⑥行動:自分の行動モニタリング、自己制御

例えば、「取り掛かるのに時間がかかる」だとか、「嫌だと思うと取り掛かれない」「忘れてしまう」など。私はこれを知ってやっと、ADHDの方の行動と特性の繋がりが理解できてきました。

女性ホルモンの影響も大きい

エストロゲン、プロゲステロンが低い月経期の最初と、排卵期に症状が出やすいということ。前回読んでいたPMDDの話ともつながる部分があって、女性特有の精神症状の難しさを感じます。

さらに、更年期に悪化しやすいとの記載もあり、女性ホルモンと精神症状の関係性は密接でつらいものがあるなと思いました。

周囲の支援方法や交流の場がある

当事者はもちろん、職場や家族など支援者のつながる場もあることを知りました。

▼NPO法人 えじそんくらぶ

他にも、家族会などが各地で開催されているようです。

私もタイミングが合えば、今後講座などに参加してみたいと思いました。
なお、親向けにはペアレントトレーニングなどもあるそうです。

周囲との関係性を改善するために

家族との衝突が多い等の場合には、「事実とシナリオを分ける」練習が大事ということでした。ADHDの方は、言葉を深読みして、勝手なシナリオをつくりぶつかってしまうことがあると。認知行動療法的な考え方かなと思います。

また、周囲の方との人間関係のポイントがたくさん述べられていました。
女性の発達障害の方はとにかく「過剰適応」の方が多いようです。症状が表に出ないように、頑張りすぎてしまうんですね。でも周りに上手く頼って二次障害が起きないようにするのが、やっぱり大事ということなのだろうなと思いました。(それが難しいんだよなぁきっと)

そうしてこれは、ADHDの方に限らず参考になると思いました。私個人的にも、ついつい一人で抱え込みがちなタイプなので、なるほどと思いながら読みました。

<支援協力の受け方&ストレスなく人間関係をつくるポイント>
・全員から好かれようとしない
・全員から評価されようとしない
・味方が身近に一人でもいればよいと考える
・誘いはほどほどに受けるくらいで良い
・支援してもらったらすぐに心からお礼
・自分もいつか誰かを支援できれば良い
・困ったらヘルプを自分から出せるようになる

頑張りすぎる女性たちが、自らヘルプを出せる。申し訳ないと思わず支援を受ける。別の機会で返す。全員に好感を持たれなくていい。身近な大事にしてくれる一人を大切にする。

本当に、こういったことを地道にやっていけたら、生きやすくなっていく気がしました。ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございます。

▼前に読んだ「女性のADHD」の本


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