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「対人関係・社会リズム療法でラクになる『双極性障害』の本」を読んで(読書感想文#40)

双極性障害の本を読んでみて、治療はうつ病と異なることや、気分の波を整えていくことが大切だという事が分かりました。

具体的に何をしていったらいいのか知りたくて、この本を選びました。

▼対人関係・社会リズム療法でラクになる『双極性障害』の本/坂本誠監修

対人関係療法の本は、他の疾患のもので何冊か読んだので、大枠はわかりました。社会リズム療法というものをはじめて聞いたので、興味深かったです。この2つを組み合わせて、セルフケアしていくということで、当事者の方の参考になる本だと思います。(何より、イラストや字体が今どきでとっつきやすい)

新たに知ったこと3選

1.まず、精神保健指定医にかかりましょうとの言葉があって、少し驚きました。そう言われれば、そうか。心療内科だと内科医のこともありますもんね。

2.それから、父親が50歳以上と高齢だと、30~34歳と比較して双極性障害の発症リスクは2.7倍になるそうです。精子の突然変異とは考えられるも、メカニズム不明だそう。そうなんだ、知らなかった。謎が深まる。
この遺伝的傾向の他に、環境要因、性格が関連して発症するようです。

3.自分が病気であることを受け入れないと、薬物療法を継続できず、治療が困難になります。躁の時に(特にⅡ型だと)治ったと思ってしまって、薬をやめたりしてしまう。私もそう思うだろうな。元気いっぱいだったら、それが通常状態の自分だと思いたくなるもの。

対人関係・社会リズム療法(IPSRT)って何?

対人関係・社会リズム療法(IPSRT)は米国の精神科医エレン・フランクが開発した精神療法です。社会リズムを整えながら、対人関係と症状の関連性を考えて、対人関係への対応力をつけていくそうです。

社会リズム療法(SRT)で日々のルーティンを規則的にする。気分とルーティンの関係を客観的に観察する。

対人関係療法(IPT)で、対人関係の問題解決、適応、病気を受け入れる。

具体的には、ソーシャル・リズム・メトリック(SRM)という記録をつけていきます。

ソーシャル・リズム・メトリックは何をするの?

双極性障害は「気分の波」を整えていくことが大切なので、以下を記録して、波を観察していきます。

体内時計を調整する因子(=同調因子)となりやすい5項目

①起床時刻
②人と初めて接触した時刻
③社会活動を始めた時刻
④夕食をとった時刻
⑤就寝時刻
※目標と実際を書く(理想の時間を目標にするのではなくて、規則的にするのが目標)

各活動時に、人から受けた刺激の程度を数値化する

自分ひとり→0
人がただそこにいた→1
人が積極的に関わってきた→2
人がとても刺激的に関わってきた→3

一日の最後に、気持ちを数値化する

非常にうつ→-5
非常に高揚(躁)→5

なるほど・・・。目的は分かるし、これを記録して客観的に自分の社会リズムや刺激を観察できれば、確かに気分の波は見つめて改善できそう。
でも、うーん、これはよっぽど記録好きでないと、結構難しそうですね。

健康な人でも、1日の中であるいは数ヶ月といった少し長めの期間で見ても、何らかの気分の波はあることでしょう。

その波の大きさが、社会生活に影響が出るくらいに困ったら、こういったコントロールが必要だということだなと思いました。
でも双極性障害で困るのは、本人もそうですが周囲の人であることも多いかもしれません。
そうすると、本人に頑張ってこういった記録をつけてもらったり、薬を続けてもらうのは、なかなか難しいんだろうなぁ。

病気を認めることが必要という意味が、じわじわと分かってきました。ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

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