
「マンガでわかるアスペルガー症候群&カサンドラ愛情剥奪症候群」を読んで(読書感想文#25)
アスペルガー・カサンドラ関連で以前感想を書いたのですが、併せて手に取っていたのがこちらのマンガです。私は何かのトピックスについて概要を掴みたいなと思ったときに、マンガや入門書を数冊ばばっと読むことをよく行っています。
▼マンガでわかるアスペルガー症候群&カサンドラ愛情剥奪症候群/西城サラヨ著
この本は、ただのマンガではなく、当事者から様々な事例を具体的に教えてもらえるカタログという印象でした。
マンガでエピソードが描かれた後に、「つまり・・・」と分かりやすい解説が文章で入り、夫側、妻側からの視点も説明され、という構造です。
自分が女性であり、アスペルガーではないために、著者の妻側視点は理解しやすいです。その一方、アスペルガー当事者側から見ると、物事がどう見えるのか?それがなかなか想像つかなかった私には、とても参考になりました。そうして、パートナー間であったり、家族内での関係性になぜズレが生じるかもよく分かりました。
●言葉をそのまま受け取り、それ以上の意味を想像できない。
→借金のため「名前と印鑑を貸して」と言われて、重大さを想像できない。その後のことで、お金や身の危険など妻が不安になっている気持ちを想像できない。
●家に帰ってから掛かってきた電話で、部長にタメ口。
→家に帰ったらもうスケジュール上仕事ではない。かけてくる部長が悪い。なぜ相手が不機嫌になるのか分からない。
●彼氏、夫、父と役割が変化しても、振る舞いは変わらない。
→役割に合わせ自然に行動が変化するということは難しい。父として求められていることが分からない。(子どもの面倒など)
その他にも、感動の共有ができない、重大なことを打ち明けても適切な応対が分からない、臨機応変に行動できない・・・
ASDの説明で読んでいて、文字としては理解したつもりでいたけれど、実際はどんな感じなのかよく分からなかったことが、物語として事例で詳しく示されているので苦労がよく分かりました。
アスペルガーの方から見れば、「逆になぜそうなるのか分からない」という感じなんだろうなということも、伺い知れました。本当に、同じ世界でも捉え方がそもそも違うと、見え方が違うということなのかなと・・・。だから、誰が良い悪いではなくて、この「状況」が辛いんだろうなというのが、私の感じたことです。
マンガですので、少し明るい雰囲気で、夫側の方も憎めない感じで可愛らしく描かれています。実際に、優しく、伝えられたことはしっかりできて、よいところがたくさんある旦那さんだと思います。でも、著者は最終的に離婚されていますし、うつを患われたことも述べられており、相手がというのではなくて日々の生活というものが大変だったのだろうと思います。(相手の方がアスペルガーと気づかれたのは後になってからだったそうで、タイミング、状況等々、いろいろな重なりがあったのだと思います)
アスペルガーの特性を踏まえて、どう対処するか考えつつ、同じカサンドラの立場の方と共感を持ち、周りに頼りながら進んでいく。
それが理想かもしれないけれど、これが日々の家庭のことだととても難しいだろうと思います。コミュニケーションだけの話ではない、生活での課題を周囲がどう支えていけるのかなぁと、想像を広げています。
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
▼アスペルガーとカサンドラの語句的な説明は、別の本の感想で書いています。
いいなと思ったら応援しよう!
