さようならわたしのいえ
わたしは三日後にうちを出ます
一生この家に住むことはない
ひとつのでっかな清々しさと、とぎれとぎれの不安…。
自分の部屋で、窓をあけて、ベッドに横になって、空を見るのが好きだった
お昼に帰ってきて、制服のままで、寝っ転がって、そのままねて、夕方になるのもよかった
それは、高校三年のはなし
みんなが受験勉強してるから、わたしは受験勉強しなかった
ダメ!
でも今大学にいけてるので全然オッケイ
とにかく早く家を出たい!
わたしは家族がきらい!
ひどいもん!
わたしの心の畑、荒らさないでほしい!
色々育ててるから!
だから家を出る!
これってすごいガキっぽいこと言ってるな
ごめんなさい
でもまだまだガキ!
家族との楽しかった思い出が出てこないのって大変なことかもしれない
出かけた最初は楽しいのに、最後必ずケンカになる!だから全然楽しくない!だってめっちゃ嫌なこと言いだすもん!そんなん言わんといて!
それとわたしをすごい触ってくる。やめて!!と言うと、出てけと言われる!ケンカケンカケンカ!!!
今日もケンカケンカ!!!
でも毎日帰ったらごはんを食べれたしお風呂に入れたしあったかく寝る場所もあったことが幸せだったと気づいたりしてます。ありがとう。
じゃあ嫌だけどなんとなく心に残りつづけてる思い出をひとつ。
金環日食の日、ありましたね
あれを見るためのメガネみたいなの、小学校で注文できたんだけど
金環日食の見といたほうがよさがまったく分からなかったわたしは、別に要らないと思って親に言わなかった
あとからちちんぷいぷいで金環日食メガネ売り切れ続出!ニュースをみた
そういえば学校で注文できたよーって言った
めちゃくちゃ怒られた!なんで言わないの!それなかったら見れないやん!どうするの!なんで!なんで!って言われ
わたしはガンガン責められて、取り返しのつかなさの押し付けへの恐怖と、それによってめばえた自分への怒りをパワーに暴れた。
いま思うと、あのときの自分、全く悪くないと思います!
だって小さかったし
金環日食とかしらないから
買えないとかも、ほんとにしらん
いまなら、金環日食なんかほんとにいいから
自分たちだけ、同じ時刻に空を見上げてるだけの人たちよりもっともっと楽しいことしようよって思える
当日は校長先生が、通学路でメガネ持ってたってた。
金環日食見た?ってきかれて見てないって言うと
見てないの!?これ貸したあげるから見て!!
っていってメガネ貸してくれた
とっくに時間が過ぎてるので金の環はまるでなかったけど、校長先生が優しくてうれしかった
「おはようございまーす!!!」って全員に言うから毎日声が掠れていた
いい校長先生
自分の服の袖をつかんでないと廊下を歩けないほど自信がなかったわたしの10代のわけは、お母さんお父さんだといまだに思ってる。
じぶんはよわい!
でも、今まで元気に生きてこれたわけも、お母さんお父さんだと思ってる。
外ではもう春の匂いしてます
暖かい光もさしてます
期待を胸にはしないけど、あたらしい春を生きますよっと