松葉杖生活にまつわる思い出②

①では、松葉杖生活の原因となったケガの経緯について書いた。今回は病院での顛末を述べる。


病院へ向かう

車に乗り込み、自宅近辺で評判のいいらしい整形外科へと向かってもらう。しかし、ほんの少しの振動がものすごい衝撃となって、いわばメラがメラガイアーとなって右足のくるぶしを攻撃してくる。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

てか、マジで痛すぎん??ウルツァイト窒化ホウ素級のメンタルは、もはやぷるっぷるの絹ごし豆腐と化していた。かつて海の岩場で転倒して指の骨にヒビが入った時も相当だったが、比較にならない痛さである。ちなみに、この時も妻は転んだ筆者を見て爆笑していた。サイコパスの疑いが…

整形外科到着

果てしない悠久の時を超え、ようやく整形外科に着いた。1秒でも早く診てくれ!見てくれこの脚!これが関西の期待テンポイントだ!テンポイントだ!強いぞ強いぞ!テンポイント1着!©杉本清

しかし、まるで緊急性が高くなさそうなジジババどもが待ち行列の前方を占拠しており、しばらく順番が回ってきそうにない。ちょ、マジでふざけんなよ!こちとら右足のくるぶしがバスケットボール大に禿げ上が、もとい腫れ上がっとるんやぞ!ぐぎぎぎ…

待合室で気を失いそうになるほどの痛みに耐えながら、時折前を通る看護師さんに阿部寛をもはるかに凌ぐメヂカラで訴えるも何ら効果はなく、ごくごく順番通りに診察室へと通されたのだった。

ビッグバン以来、最大の衝撃

息も絶え絶えによろめきながら診察室へ入ると、この地域では名医の誉れ高い中年の医師が迎えてくれた。彼にとってはよくあるケガのひとつなのだろう、落ち着いたものだ。

そして、患部の状態を詳しく診たいからと、ベッドで横になるよう促される。足首のじん帯や組織がどの程度損傷しているか、負荷をかけて確認するようだ。何でもいいから早く診てくれ!見てくれこの脚!これが関西の期待テンポイントだ!すると、ここで原初の悪魔の一言を告げられる。

かなり痛いと思うけど、我慢してねー」

えっ…?かなり?かなり痛いの?ちょ、ちょっと。ちょっと待って。ワイ痛いの苦手やねん。いやホンマに。アカン。アカンて!アカンてええええええええええええええええええええ

「じゃ、いくよー。せーの、えいっ!それっ!ぐりぐりっ!」

ィダァ――――――――――ッ!!!!!アアアアアアアアアア!!!!!

あまりの疼痛に、一瞬三途の川が見えたような気がした。向こうで手を振っていたのはおそらく死んだ祖父…。まさに宇宙誕生以来最大の衝撃で、これに耐えられるのは世界広しと言えど、自分しかいないだろう。80億分の1の男である。

この後、図らずもこの上なく自然に涙がぽろっと出た。つつーっと頬を伝った。天才・芦田愛菜ちゃんですら、ここまで自然に涙をこぼすことは難しいと思われる。

男は子どもが生まれた時、親が死んだ時、財布を落とした時の三度しか泣いてはいけないという禁を破ってしまったが、宇宙レベルの衝撃では仕方ないだろう。許してゴール・D・ロジャー・クレメンス。

結果発表ー!(浜ちゃんの声で)

その後、レントゲンやら何やら色んな検査を受け、最終的に下った診断は…「重度の捻挫」だった。詳細は忘れたが、確かⅡ~Ⅲ度の中間ぐらいだったと思う。ビッグバン以来最大の衝撃で受けたダメージが深すぎて、ほとんど記憶がない。

とりあえず骨折や脱臼がなかったのは不幸中の幸いだろうか。右足は速やかにギプスで固定され、まー最低でも2週間、下手したらもっとかかるかな、と先生に告げられた。結論から言うと、日頃の行いが悪かったのか、ギプスが外れるまでに4週間かかってしまった。

長い夜を飛び越えてみたい

A級順位戦の最終局が行われる日は「将棋界の一番長い日」と呼ばれるが、この日の夜ほど時の流れが遅く感じたことはない。全校朝礼で校長先生の話を1年分まとめて聞かされているような時間であった。

オールウェイズくるぶしが痛いのは当然として、それと同等か、むしろそれ以上に足の甲が痛い。何で足の甲??たぶん足首周辺の色んなアレがおかしなってしもた影響やろなぁ…。そして僕は途方に暮れる。©大澤誉志幸

③へ続く。


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