新興宗教の集会に参加した話(中編)

今回は中編。前編の最後、同僚の一橋さんが繰り出した窮余の策にどう答える?


潜入捜査決定

筆者は「松田と一緒なら行くで」という一橋さんの提案に二つ返事で乗っかり、集会への参加を快諾した。信者の二世や三世ならまだしも、そうでない一般人が一体どんなプロセスを経て宗教にハマるのか、単純に興味があったからだ。ココロのスキマを埋める、アソコを潤すナニカがあるに違いない!

おそらくジャギにとっては不本意だったと思う。コイツは法主さまの教えを信じるような奴じゃない、絶対にふざけていらんことをする!と肌感で理解していたのだろう。しかし一橋さんの参加には代えられない…としぶしぶ了承した様子であった。

一橋さん的にはダメ元の提案だったようで、筆者の回答に「マジで!?ほんまにええの??」と驚いていたが、一蓮托生、旅は道連れ世は情けである。死なばもろとも!

会場入り

肝心の会場は自宅からなかなかの遠方にあった。電車で約1時間半といったところだろうか。最寄り駅で全員が合流し、少し歩くとすぐ会場に着いた。いよいよである。オラわくわくしてきたぞ!©︎孫悟空

玄関をくぐると受付があり、受付票に名前などの必要事項を記入した。普通だ。次に、無地の短冊に将来の夢を書くように言われたので、しばし考えて「世界平和」と書いた。普通じゃない。その後、家族構成や仕事や趣味などを事細かに聞かれ、そんなこと聞いてどないすんねんと思いながら、適当に答えた。あまり普通じゃない。

猿登場

受付が終わると、ジャギはどこかへ去っていき、筆者と一橋さんはだだっ広い講堂のようなところに通された。座布団がそこかしこに敷いてあり、適当な場所に座る。小さな子どもから年配の方まで、幅広い世代が参加している印象だ。

すると、ちんちくりんの猿みたいな顔をした小僧が近づいてきて、「ジブンら見ん顔やな。どっから来たん?」「歳いくつ?」と馴れ馴れしく話しかけてきた。何でお前は初対面でタメ口やねん!この無礼者が!

イラッとしながら年齢を伝えると、うわ!年上ですやん!と途端に敬語を使いはじめる。わかりやすい奴っちゃな。猿の話や周囲の様子から察するに、若い世代にとってはお手軽な社交場ぐらいの認識ではないかと思われた。そもそものきっかけが親だとしたら、そんなもんよね。

集会の様子

さて、いよいよ集会のスタートである。司会のおっさん、もとい法主さまの代弁者とおぼしき男性が長々とありがたい話をする。内容はより良い暮らしをするための考え方、アプローチの仕方などが中心で、宗教的な教えというよりは倫理観についての講義であった。内容は思いのほか真っ当である。なるほどスタープラチナ・ザ・ワールド。

ただ、法主さまにしろ代弁者にしろ、ワイら霊能力者やで!と謳っているのが何とも気に入らない。なんやねん霊能力って!科学的に証明できないものは信用しないのが筆者のスタンスである。そんなもんお前、信じようがないやんか。はっきり言うて。ほら、岡田監督も言うてるやん。

霊能力者(笑)によるありがたいお話の次は信者の質問タイム、いわゆるお悩み相談だ。内容は1オングストロームも覚えていないが、日常のささいなことから重いものまで、多岐に渡っていたような気がする。一点、妙齢の男女が交際のお伺いを立てていたのが面白かった。そんな大事な判断を司会のおっさ…失敬、男性に委ねてどうする。

あと、最後だったかお悩み相談の前だったかは忘れたが、新規参加者の紹介タイムがあり、筆者の名前も読み上げられた。「本日新たに、松田鏡一さんがお越しくださっています。松田さんの夢は世界平和ですか、すばらしいですね!」って、ここで短冊フラグ回収するんかい!

集会終了〜からの

そんなこんなで集会は滞りなく終了。真面目に聞いている人もいれば、居眠りしている人もいれば、知り合いとダベっているだけの人もいて、意外にも自由な雰囲気であった。宗教色を前面に押し出さず、敷居の低さを意図的に演出しているようにも思われ、良く言えば上手い、悪く言えば小賢しいと感じた。

新興宗教の集会ってもっと禍々しいものを想像してたけど、案外普通やったなー、霊能力者はアレやけども、などと思いながら講堂を出ると、受付のおばさんがシュタタッと近づいてきて、さあさあご新規の方はこちらへ!と、一橋さんともども別室に案内された。あれ?まだ何かあるの?

後編へ続く。

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