ソルトバーン
久しぶりに裏切られた映画を観ました。
『ソルトバーン』
監督は『プロミシング・ヤング・ウーマン』で名を知らしめた、エメラルド・フェネル。
プライムビデオで配信されてます。
以下、ネタバレも含まれるので自己責任でお願いします。
どうしても観てほしい映画でもなく、誰かと観るのもおすすめはしないので、観たい人は余裕のある時に一人でどうぞ。
では。
狂ってる人、壊れてる人には、それなりの理由があるものだと思っていました。
例えば、トラウマとか、大きなきっかけとか。
ジョーカーだったり、トゥーフェイスだったり、ペンギンだったり。
全部バットマンになってしまいましたが、何かしらの過去があり、現状を変えたくて行動し、最後にちゃんちゃんと。
これがストーリーの鉄板だと思います。
この映画は、主人公が大学に入学する所から始まって。
金持ちと友達になり、金持ちの実家に招待され、夏の間居座り、一家を惨殺し、最終的に乗っ取りました。という話。
物凄く省きましたが、まあそんな話です。
この主人公は、途中で金持ちの友人に言うんです。
「俺の両親はだめだめでさ」みたいな。
たしか父親は死んでいて、母親はアル中だったかな。
「あーはいはい」って、なりました。
お金と愛に飢えた男の子が、金持ちに近寄ってくやつね。
愛憎ね愛憎。
こんな感じで舐めてたんです。
でも、実はこの告白が嘘だった事が発覚し。
両親ともに健在で、なんなら愛されてもいて。
「なんなん、こいつ?」って、なるでしょ。
でも、この時はまだ大丈夫で。
「そうかそうか、虚言癖ね。もしくは関心を寄せてもらう為にか?」
と、二つの線で今後の話を見守ってたんだけど。
友人は殺すし、友人の姉も殺すし、友人の父親、友人の母親も。
最後は、誰もいなくなった大豪邸の中で、全裸でダンス。
あー、意味分からん。
普通に考えたらトラウマがあるべきだと思うんです。
幼少期の体験が、こんな化物を生み出しました。のほうが、話が入ってくるじゃないですか。
こんな滅茶苦茶な奴でも動機がほしいんですよ。
でも、それがなくて。
だから、分からなくて。
なぜ、そこまで友人一家に執着したのか。
なぜ、殺してまで乗っ取りたかったのか。
こんなん先祖の恨みとかがなかったら、やっちゃいけないレベルですからね。
どっからくんのよ、そのモチベーション。
分からん、分からん、と頭を悩ませていると、毒されてる自分にも気づいて。
狂ってる、壊れてる人には、何かしらの過去がある。
これは決めつけだったなと。
普通に育った人が、狂ってただけだ。
悲しい家庭で育った人が金持ち一家を乗っ取る話かと思いきや、悲しい過去なんてないけど乗っ取って、新しい理由も提示しない。
理屈が通らない。
そんな映画です。
久しぶりに裏切られました。
気分は悪いけど。
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