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吉野会大会レポート

競技かるた吉野会大会のレポートを書こう。
11月14日に開催された吉野会大会(C級)。長い自粛期間を挟んだ後に開催されたこの大会は僕のC級デビュー戦だった。
今までC級以上の人に勝ったことは2、3度ほど。あとは全敗してきた。だからこの日も一回戦で酷い負け方をしないように、とだけ心に決めて大会に臨んだ。

久々の大会は厳戒態勢。全員がその日の朝に体温を測ってきて来場者カードに書き、さらに受付前にも再度検温。もちろんマスクも必須で物々しい雰囲気だった。

ちなみに昇段には3位以内が必須。要綱を見たところ、今日は3位決定戦があるっぽいので最低でも4回は勝たないといけない。

1回戦

相手は小田原かささぎ会の女性。歳は僕より少し上くらい?
ちゃんとしたかるた会ってキャリア長い人が多そうで怖い。
競技開始前に少し喋ると、この方も半年ぶりの大会で今日も練習不足だそう。

相手は暗記時間中、席を立って水分補給をしているようだった。僕も普段は暗記時間にほとんど席についていないのだが、大会本番は暗記をしっかり入れることだけに全集中
2分前になると、相手が戻ってきてストレッチを始めた。ずいぶんと肩が柔らかい。続いて大げさな深呼吸を何度もする。そんな緊張するかい?こっちまで緊張しちゃうよ。

さあ、試合が始まった。と言ってももう2か月前のことだから何の札とか全然覚えてないけど。驚いたのはその人がガチガチの守りかるたということ。別れの札が出たらまず自陣の札を囲う。「あわれ」なんてあまりに綺麗に囲まれて感心しちゃった。

とはいえやっていくうちに僕も調子が出てきて敵陣を取れるように。しばらく一進一退の攻防が続いた。
ターニングポイントは中盤。「なげけ」の札だった。
敵陣に「なげけ」自陣に「なげき」の別れ札。
「な」と読まれた瞬間に両者「なげけ」の札へ。そして「なげk」と読まれたところで相手が「なげき」の方に移動。結局読まれたのは「なげけ」だったので、出遅れた僕が拾う。

ラッキー。僕が「なげけ」の札を取ると「待った」がかかった。

↓上が「なげけ」下が「なげき」の札

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相手「今、私が『なげき』に行く前にお手付き覚悟で触ったと思うんですけど。」
「いや、触っていなかったと思います。」
相手「いや、でも指先でかすったと思うんですよ。」
揉めてるのを見つけた審判がここで登場。
「いや、僕から『かこち』の文字がはっきり見えていたので、何かかすったとしてもそれは隣の札だと思います。」
相手は、ここで怯む。
審判「きゃみさんの取りでお願いします。」

揉め勝った。実はこの前の札でも多少もめてその時は僕が譲ったのもあって、相手は強く言い出しづらかったのだろう。そして急に僕が論理だてて主張してきたことに対応ができなかった。主張をするのは審判が来てから。これが揉めるときのコツだ。

そして次の札。なんと「なげき」
この札を僕が守ったことによって完全に形勢が固まった。そのまま5枚差で勝ち。

こうしてなんとかC級デビュー戦で勝利を収めることができた。

ちなみに件の「なげけ」の札だが、多分、相手の主張通り相手の方が早く触っていた。

しかし、そこで敢えて揉める。

すると今回のように審判がこっちの主張を認めてくれる時がある。これは、相手にとってかなりのストレスだ。当然だろう。自分が正しいという自覚があるのに認めてもらえないんだから。そして調子を崩し始めたらこっちのものだ。
こちらとしては別に主張が認められなくても何のダメージもない。「まー、やっぱりねー」くらいである。それどころか次の札が読み上げられるまでの間ができて多少の休憩にできるくらいだ。

クサい札はどんどん揉めていく。これが僕のスタイルだ。

もう一つ加えると、「なげけ」の前にもめた札でも僕は恐らく触っていなかった。ただ、そこで「譲る」というポーズをとると、今回のように後々の重要な局面で生きてくることがあるのだ。

【注意】良い子のみんなは「絶対に自分が先に触れた!」と思わない限り揉めないこと!嫌われるよ!

2回戦

お相手は専修大学の男性。同級生。
席に着くと、相手は僕のことを知っていると言った。育成職域で僕が全勝したのを見ていたそうだ。かるたの世界は狭い。僕の名前が誰かに覚えられていると思うと光栄だ。ゾクゾクする。

スタイルはオーソドックスな攻めかるたで速さ勝負といった感じ。
腕の振りの速さなら僕も負けない。生来の運動神経の良さと出札の運がうまく噛み合って有利に試合を進めることができた。

終盤、自陣残り1枚。敵陣残り8枚
普通にやれば僕が勝つ。しかし、その油断が命取りだった。
最後の1枚が獲れない。相手のお手付き覚悟の決死の払いに為す術なく、まさかの運命戦までもつれてしまった。
しかし、最後に読まれたのは僕の札。しっかりと守って終戦。

勝ちはしたが、素直に喜べない反省が多く残る試合になってしまった。

↓最後に出たのは「もろともに」

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3回戦

お相手は浦和第一女子高校の確か2年生。
先ほどの試合が運命戦まであったのでほとんど休憩なし。急いでパンとラムネを口に詰め込んでから試合へ。

序盤に自陣右が良く出た。そして僕はそれらをほとんど守れた。僕が速かったというより、相手が鈍かった。3試合目で疲れていたのかな。その勢いのまま危なげなく勝利10枚差だった。

2回戦の二の舞にならぬように最後まで集中力を保っていたから疲労感もひとしお。しかし、昇段にはまだあと1戦
急いで再びのカロリー補給に励んでいると、先ほどの対戦者が大泣きしているのが見えた。
それを周りで慰める同期たち。いいなあ。僕も誰かと来たかったわ。一人はさみしい。

同期の子「惜しかったね、あとちょっとだったのにね。」
僕の心(惜しい?序盤からずっと僕が押して束勝ちだぞ。何が惜しいんだ。)
同期の子「あと1勝だったのにね。」

ん、あと1勝?慌てて大会案内を見る。あれ、これ僕の読み違いで3位決定戦ないんじゃない?
すぐに近くにいた委員の方に確認。
「ええ、今日は3位決定戦ありませんよ。」
「え、じゃあ今の試合が昇段戦だったんですか?」
そういうことになります。

えーーーーーーーー!マジで!!!!????
じゃあ昇段じゃん!!!!!よっしゃーーーーーーー!

こうして僕のB級昇段は決まった。
きっと、昇段戦って意識してなかったのが良かったんだろうね。相手の子は昇段戦って意識しすぎてたから体が動いてなかったのかも。結局平常心が一番大切ってこと。

↓昇段を決めた札「あらざらん」

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追記

昇段したことに気づいた後の僕はそれまで高めていた集中力をすべて飛ばした。
3試合目までの死闘に全てを出し尽くした
僕は

続く準決勝
静岡雙葉高校の2年生に
嘘のようにボロ負けした―――
(●17枚)

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次はB級の大会で勝利のレポートが書けるように頑張るぞ!

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