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界面活性剤は、本当に悪者なのか Laundry Detergent #1

こんにちは、矢野です。
THEの商品開発・生産管理を担当しています。
noteでは、商品を通して、私たちの思いや考えていることを伝えていけたらと思っています。


洗剤や石鹸、シャンプーなどについて調べると、必ず出てくる界面活性剤というワード

環境に良くない。
とか、
種類によっては害悪がある。
とか、
この界面活性剤は洗浄力が強すぎる。
とか、
あまり良くない話が色々と出てきますよね。

THEでは、THE 洗濯洗剤を筆頭に、漂白剤のThe Stain Remover、THE SOAP、THE HAND SOAPなど、界面活性剤成分を利用している製品がいくつかあります。

今回は、嫌われがちな界面活性剤について、できる限りフラットに語っていきます。


そもそも界面活性剤って何?

界面活性剤とは、界面 (物質の境の面)を活性化して、性質を変化させる成分のこと。 

少し難しい話をすると、分子構造としては1つの分子の中に、水になじみやすい「親水基」と、油になじみやすい「親油基」の2つの部分を持っています。この分子はマッチ棒のような形状をしていて、マッチの火をつける先端部分が水になじみやすく、持ち手の部分が油になじみやすくなっています。

界面活性剤の中には、このマッチ棒形状の分子が無数に存在しています。

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汚れた衣服を水に入れて、界面活性剤を投下すると、この無数の分子たちは親油基の力で汚れにどんどんくっついてきます。汚れを取り囲み終わったら、今度は親水基の力が発揮されて、汚れごと衣服から水の中に移動します。
このようにして、汚れを引き剥がして水に馴染ませる洗浄の働きをするのです。

これらは界面活性剤のもつ「浸透」「乳化」「分散」などの作用によるものです。

界面活性剤は、乳化を利用して水と油をなじませることで、化粧品の成分を分離させずに混ぜ合わせる働きなども担っています。


環境下での界面活性剤と汚れ

毎日、汚れを落とすのに使っている界面活性剤ですが、排水後にどうなっているのか、考えたことはありますか?

一般に洗濯機やシンク、お風呂場などの家庭から出る生活排水は、地域の下水処理場に集められていきます。そこには沢山の微生物が存在し、排水中の汚れや洗剤を食べて水と二酸化炭素に還元していきます。これを「生分解」といいます。


分解しにくい汚れというのは、多くは皮脂や動植物由来の油です。油を水の中に入れると混じり合わないため、水面に油膜ができてしまいます。
そのため排水中の油汚れは、そのままの状態で流すと、生分解されるまでに非常に長い時間がかかってしまうのです。

油の分解に一役担うのが、油を包み込むことのできる界面活性剤。
界面活性剤は、油汚れを乳化し、さらに分散により細かな油滴にするため、微生物が生分解しやすい状況をつくっているのです。

ただ、微生物が汚れや洗剤を食べるには酸素が必要です
多くの量を分解するには多くの酸素を使用するため、水中の酸素濃度が低くなり、魚が窒息したり、悪臭が出たりと、環境下に影響が出る可能性も問われています。


私たちは毎日こんなに汚れを生み出している

環境省によると「一日に一人あたりが排出する生活排水はBOD43g」だそうです。
BODとは、微生物が水の汚れや洗剤を分解する時に使う酸素量のこと。水の汚れ度合いを表す指標の一つです。

通常、水に溶けている酸素量は約0.01mg/ℓといわれているため、BOD43gは約4,300ℓ分の水に溶けている酸素を使ってやっと綺麗にできる汚れの量になります。
(浴槽が約200ℓといわれているので、なんと浴槽21.5個分!)
毎日こんな量を出しているなんて驚きです。

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現在の日本の各下水処理場では、排水される汚れに対しての処理能力は十分にあるという見解を述べています。

しかし、今後私たちがもっと汚れを出して、その汚れをとるための洗剤を沢山使ってしまったら、いつかは微生物が分解しきれなくなる量に到達することも考えられます。

このような状況下で、昨今では「分解性」の高い界面活性剤を使おう、という流れが出てきています。

分解性の高さを示す世界基準として使われているのがOECD。
試験方法は、DOC法(Dissolved Organic Carbon:溶存有機体炭素量)やBOD法(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素欲求量)というものがあります。
2つの方法があるのは、液体洗剤だけでなく固形石鹸の生分解性も調べるため。石鹸も界面活性剤の一部だからです。

THE 洗濯洗剤は、DOC法にて28日間で70%以上が生分解するというOECD基準をクリアしています。また、JIS規格では、使用している界面活性剤は1日で94%が生分解され、7日後には100%生分解するという結果が出ています。


THE 洗濯洗剤を発売した当時は、一般にはまだ生分解に対する認識が低く、そういった取り組みが少なかったように思います。
今では様々なメーカーさんが生分解性について考え、発信されていて、世の中の当たり前の基準値がグッと上がってきているように感じます。この意識がもっと広まることを願うばかりです。


大切なのは使い方

そんな界面活性剤、THE 洗濯洗剤ではもちろん分解性の高いものを使用しているのですが、そもそもの考え方が他の洗濯洗剤とは違うんです。
それは、良くないものならなるべく良いものを使おうよ、ではなくて、良くないならいっそ使用量を減らそうよ、ということ。

THE 洗濯洗剤の成分内訳はこのようになっています。

<THE 洗濯洗剤の成分>
洗剤成分(界面活性剤相当量 16%):高級アルコール系(非イオン)9%・ヤシ油脂肪酸アルカノールアミド(MEA使用)7% 
香り成分:ラベンダー精油1%
その他:RO精製水

とはいえ、THE 洗濯洗剤だけみても、界面活性剤が多いのか少ないのかよくわからないですね。

ということで、市場の洗濯洗剤の界面活性剤配合量を調べて、比較してみました。

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成分表記にある界面活性剤の配合率はこのようになっていますが、大事なのは実際に使用する量。30ℓの水量に対して使う洗剤の使用量から、1回に使う界面活性剤相当量を算出してみました。

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こうして調べてみると、各社の界面活性剤配合量は様々な上、1回あたりに換算するとさらに違いが出てくることに驚きました。一見、界面活性成分の「%」が少なくても、一回の使用「量」が多いこともあるんですね。
汚れをしっかり落としたいからと、ついつい目安量より多く使ってしまいがちですが、必要以上に使いすぎないよう気をつけたいものです。

・・・まってまって。
そもそも界面活性剤は、洗浄成分なんだから、少なくしたら汚れが落ちにくくなるじゃないか。

そうなんです。
だからTHE 洗濯洗剤は一般的な洗剤と異なる工夫として、
・ナノテクノロジーを利用して界面活性剤を微粒子化している。
・ラベンダー精油を使用している。
のです。
 
これにより、しっかりと汚れを落とせるのに、環境負荷が低い洗濯洗剤になっています。


界面活性剤は、本当に悪者なのか?

答えは「私たちの使い方による」のではないでしょうか。
どんなに良いものでも、使う方法を誤ったり、過剰に使い過ぎれば必ず弊害が出てきます。
デメリットにだけ目を向けるのではなく、そうならないための方法を模索していくことが重要だと考えます。

そんな風に界面活性剤と向き合って生まれたTHE 洗濯洗剤。
もっともっと語りたいのですが、今回は長くなってしまったのでここまで。

秘密のその先は、次回以降語っていきます。

続きの記事はこちら。
「エコか?機能か?」いえ、どちらもです Laundry Detergent #2
赤ちゃんの使用に関する記事はこちら。
赤ちゃんの衣類も大人の衣類も、これ一本で洗える洗濯洗剤
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"エコ"を習慣化するための洗濯洗剤


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