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issuesで集めた“当事者のリアルな声”が、悲願の「学童での昼食提供」を後押し!渋谷区議・神薗麻智子さんインタビュー

政策実現プラットフォーム『issues』。2019年3月のサービス開始以降、地域住民の声が政策実現につながる事例が、少しずつ現れはじめています。

しかし、多くの方にとっては、実際にどのようなプロセスで政策が実現していくのか、なかなかイメージが湧きづらいのではないでしょうか。そこでこのマガジンでは、issuesを通じてくらしの悩みが解決した事例を、その実現に携わった議員の方々に話を伺いながら紹介します。

この記事に登場するのは、渋谷区議会議員の神薗麻智子さん。2020年5月、渋谷区の放課後クラブ(学童)で、ランチ宅配サービス『シャショクラブ』との提携による昼食提供がスタートしました。これを推進したのが神薗さんです。issuesに寄せられた「当事者のリアルな声」を活用しながら、子育て世代の悲願を達成に導いた軌跡を聞きました。

取材: 廣田達宣(株式会社issues 代表取締役)、富樫重太(同 取締役CDO)/文: 小池真幸

デジタル技術を使えば、たくさんの住民とスピーディーにコミュニケーションできる

ーー今日はよろしくお願いします。まずは簡単な自己紹介を伺えますか?

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(取材はオンラインで実施されました)

神薗 よろしくお願いします!渋谷区議会議員の神薗麻智子です。もともとベネッセコーポレーションで働いており、子育てや教育に携わってきました。2019年4月の統一地方選挙で議員に選んでいただいてからは「共育(きょういく)」をキーワードに掲げ、渋谷を「子どもと大人が共に育ち合うまち」にできるよう活動しています。

ーー神薗さんはローンチ当初からissuesを利用してくださっていますよね。どのような経緯で登録に至ったのでしょうか?

神薗 議員になって、住民と議員の関係性に違和感を感じたんです。住民の方からいただいた陳情に対し、「役所に言っておきますから!」と、議員が御用聞きのようなスタンスで受け取る。そうすると、行政はサービス提供者・住民は消費者のような関係性になっていくんですよね。本来ならば、住民一人一人がまちづくりの当事者として、地域の課題にコミットすることでもっと町はよくなっていくはずなのに・・・と感じました。住民と議員で一緒に対話しながら、「共に創る」まちづくりを実現したい。そして、たくさんの住民と、スピーディーにコミュニケーションを取っていくためには、デジタル化を進めなければいけない──そんな課題感を持つようになったとき、たまたまissuesのことを知ったんです。

ーーもともと抱いていた問題意識を、issuesなら解決できそうだと思っていただけたのですね。

神薗 はい。「これはすごく良いサービスになっていきそうだ」と感じ、すぐに参加させていただきました。

 また、議員が住民の声を反映するとき、一部の方の大きな声や、長年お付き合いのある既存団体の声が優先されやすいという問題が指摘されています。自分が議員になってみて、あらためてこの問題を実感していたのですが、スマホからワンタップで簡単に意思表示できるissuesなら、サイレントマジョリティの方の声が伝わりやすいとも思いました。

ユーザー属性

issuesのユーザー属性

ーー神薗さんは、2020年5月に渋谷区の放課後クラブ(学童)のでスタートした、ランチ宅配サービス『シャショクラブ』との提携による昼食提供を推進されたのですよね。実現にあたって、issuesをどのように活用いただけたのでしょうか?

神薗 2019年夏に、issuesに掲載されている「長期休暇の学童保育で手作り弁当の持参を不要にして欲しいですか?」というトピックに対して、当事者である渋谷区民のパパ・ママたちを中心に、多くの賛成の声が寄せられたんです。もとから問題意識を持って取り組んでいましたが、これを機に本格的に動き始めました。

一番大きかったのは、集まった具体的な体験談を関係各所に見てもらうことで、緊急度の高さを実感してもらえたことです。たとえば、放課後クラブ(学童)のお弁当の用意が保護者にとってどれだけの負担になっているかを説明したり、提案の必要性を伝えるために、issuesに届いた生の声を全てそのまま文書化し、役所の担当者に見せながら相談したりしていましたね。

ーー体験談を全部みせたのですね!

神薗
 リアリティのある声を見せることは大事なんです。特に夏休みだと食中毒の心配も高まる中で、毎朝お弁当を作ることがどれだけ大きな負担となっているか、その大変さを詳細に書いてくれていた方が複数人いらっしゃいまして。

 そうした当事者のリアルな声を届けることで、議会や行政に納得してもらいやすくなったと思います。また、体験談を書いていない人も含めて、30名ほどの渋谷区民の賛同の声が集まっている点も、ノイジーマイノリティの声ではないことを示す良い説得材料になったはずです。

 また、他の区市町村ですでに実施している運用方法を複数調べ、担当部署に提示し、どの運用だったら渋谷区で導入しやすいか?といった議論も進めていきました。

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実際に届いた渋谷区民の体験談(公開許可を得たものを使っています)

ーー昼食提供サービスの導入は、どのくらい進んでいるのでしょう?

神薗 渋谷区内の18校全ての放課後クラブ(学童)で、すでに導入がスタートしています。もともと複数の同僚議員が働きかけてくださっていたことや、関係部署の職員の方々の尽力もあり、およそ1年ほどでスムーズに導入されました。

 また、行政が導入を推進しつつも、保護者が『シャショクラブ』と直接契約を結んで代金を支払うかたちを取ったので、行政の予算を一切使わずに実現できたのも大きいですね。ゴミは子どもたちが持ち帰ってくれるので、放課後クラブ(学童)への負担も小さいです。

ーー予算ゼロで導入できたのは、財政の観点からも素晴らしいですね。実際にサービスを利用してみた方の反応はいかがでしたか?

神薗 複数の利用家庭に利便性や味についてヒアリングしたのですが、まず保護者の方には高い利便性を感じていただけているようです。手続きはWebで申し込むだけで、決済もクレジットカードで済みますから。また、子どもたちもみんな「美味しい」と言ってくれています。

 ただ、夏は食中毒対策のためかなり冷たい状態で届くのでそのままだと満足度が下がってしまったり、アレルギー対応がまだできていなかったりと、課題もあります。利用家庭の声を聞きながら、『シャショクラブ』や放課後クラブ(学童)などと力を合わせて、これからも改善を重ねていきます。

issuesを使って、地元住民への定期的な情報提供を

ーーissuesを使うようになって、神薗さんの政治活動になにか変化はありましたか?

神薗 幅広いテーマでさまざまな人たちの声を聞けるので、自分自身のアンテナが広がったなと感じています。もともと専門としていた子育てや教育以外の分野でも、さまざまな興味関心を持っている住民の方がいることが一目瞭然ですから。

 また、今までまったく接点がなかった住民の方からのご意見に対して、一対一の非公開メッセージスレッドで返信していくなかで、区で現在行われている行政活動、それを踏まえて私たち議員が行っている提案の内容を可視化できました。

さらに、課題を解決できた旨を報告したとき、住民の皆さんが一緒に喜び感謝してくれたのも嬉しかったです。もとからSNSでもそうした報告はしており、それなりに反応もいただけていたのですが、普段のネットワークの外側にいる方にも伝えられるのは貴重だなと。

ーーissuesを政治活動に活用していくにあたり、なにかコツはありますか?

神薗 まずは、メールで届く「●●さんから■■■■のトピックについての要望が届きました」といった通知を欠かさず開くこと。そして、トピックごとに一斉配信する機能を使って、情報提供を効率化することですね。

 「定例会(議会)が終わったら」など、タイミングの目安を決め、定期的に情報提供を行っていけるといいと思います。おすすめは、トピック毎に進捗があったタイミングで報告していくことです。そうしたタイミングではブログやSNSでも発信すると思うので、あわせてissuesでも伝えられると効率が良いでしょう。

ーー政策の推進プロセスは途中経過が見えづらいので、こまめに進捗を報告することで、住民の方に信頼してもらえそうですよね。

政治と接点のない地元住民とつながり、活動の幅を広げよう

ーーちなみに、「ここは改善できそうだな」と感じたポイントはありますか?今後のサービス改善に役立てたいので、よければ教えていただきたいです。

神薗 そうですね……強いて言うなら、現在はWeb版しかないので、プッシュ通知だけでもアプリ化していただけると嬉しいですね。通知の件数が増えると、メールの処理が難しくなってきます。

ーーたしかに!現在は素早く改善できるようWeb版しか出していないのですが、将来的にはアプリ化も検討しようと思います。

※備考:issuesは1〜3週間に1度くらいのペースで継続して改善を重ねています。詳しくは改善報告noteをご覧ください。

ーー最後に、issuesの利用を検討している住民や議員の方に向けたメッセージをいただけますか?

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神薗 住民の方にとって、議員に直接意見を表明するのは、簡単なことではないと思うんです。いくらSNSのDMが開放されていても、ハードルが高いですよね。でも、issuesを使えば、ボタン一つで簡単に地元議員に意見を届けられます。自分自身のアクションで世の中を変えていく第一歩として、ぜひワンクリックしてみてください。

 議員の方にとっては、issuesを通してこれまで接点のなかった住民の方とつながることが、活動の幅を広げていくうえで有効だと考えています。より広く深く、住民の方の役に立てるようになるでしょう。

ーー神薗さん、今日はありがとうございました!

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