見出し画像

様々なスモールサイドゲームのオーガナイズ

制約主導アプローチの基本

スモールサイドゲーム(SSGs)は、ミニゲーム形式のトレーニングであり、プレイヤーにとって親しみやすい方法です。
SSGsでは、「制約主導アプローチ」を用いることで、選手が自らの発想や判断で行動できる状態を作り出します。
これにより、コーチングによる直接的な修正ではなく、自然な状況下での問題解決能力を育むことができます。

制約の設定とタスクの単純化

例: ファーストタッチのコントロール
選手がファーストタッチでプ、ボールコントロールに問題を抱えている場合を例に挙げます。伝統的なアプローチでは、タスク分解を行い、マーカーやコーンを使った特定の技術練習をします。この方法では、コーチが「相手(マーカー)から離れたところでボールをもらおう」や「蹴りやすい位置にボールを置こう」などの指示を出し、選手が技術に集中します。
しかし、試合では相手選手は動くため、実際の試合状況とは異なります。

制約主導アプローチでは、実際の試合環境に近い形で制約を設けます。例えば、以下のような制約を設定します。

数的優位の設定
相手のプレッシャーを軽減するために、数的優位を作り出します。例えば、攻撃側の人数を多くすることで、選手が自由に動きやすくします。
コートサイズの調整
コートサイズを広げることで、スペースが広く使え、プレッシャーを感じにくくなります。この制約により、選手は自然にプレーの余裕を持つことができます。

このような制約を設けることで、選手は自分自身の判断で行動し、試合環境に近い状況でスキルを向上させることができます。

サーフェスの選択

サーフェス(グラウンドの種類)は、トレーニングの内容に大きな影響を与えます。サーフェスの選択は、トレーニングの目的や重視する内容によって異なります。

人工芝
利点:転圧されて整地されているため、ボールが均一に転がり、イレギュラーなバウンドが少ないです。これにより、技能のエラーよりも判断のエラーにフォーカスできます。
使用例:戦術的な思考力を養うトレーニングに最適です。スペインでは多くのグラウンドが人工芝であり、ボール操作の難しさを排除して、戦術的なトレーニングを重視しています。

天然芝
利点:
デコボコがあり、ボールのバウンドが不規則なため、選手は最後までボールを見続ける必要があります。これにより、足の振りがシャープになります。また、キック時の軸足の安定性を高めるため、股関節や内転筋の強化にもつながります。
使用例:サイドバックの選手がクロスを上げる際など、しっかりとしたボールを蹴るトレーニングに有効です。

制約の操作とトレーニングの効果

制約主導アプローチでは、以下のような制約を操作してトレーニングを効果的に行います。

数的優位:攻撃側の人数を増やすことで、選手がプレッシャーを軽減し、自由に動ける状況を作ります。
スペースの調整: コートサイズを広げることで、選手が広いスペースでプレーできるようにし、プレッシャーを感じにくくします。
制限時間:制限時間を設けることで、選手に迅速な判断を促します。

これらの制約を組み合わせることで、選手は試合環境に近い状況でトレーニングを行い、自然に問題解決能力を養うことができます。

まとめ

制約主導アプローチによるスモールサイドゲーム(SSGs)は、選手が自主的に判断・行動できる環境を作り出し、実際の試合に近い状況でスキルを向上させる効果的なトレーニング手法です。
また、サーフェスの選択はトレーニングの目的や内容に応じて行い、最大限に環境を活用することが求められます。指導者はこれらの制約を駆使して、選手の自己組織化を促進することが重要です。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
あなたの活躍を応援しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?