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コーチングの本質とは何か?

「コーチング」を哲学する

私たちは日常生活で「時間」を感覚的に理解しており、楽しい時間は速く過ぎ、止まることなく流れるものと感じています。
しかし、改めてそれが何かと問われると答えに窮します。
多くのコーチにとって「コーチング」も同じようなもので、日常の中で実践しているが、その本質を説明するのは難しいと感じることがあります。

コーチングの定義

ここでは、「コーチング」について学術的に述べている2人の言葉を手がかりに、コーチングの本質を考察します。

伊藤雅充の見解
伊藤雅充は、次のようにコーチングを定義しています。

競技者やチームを育成し、目標達成のために最大限のサポートをする活動全体がコーチングである。

伊藤はコーチングの目的として以下を挙げています。
- アスリートの有能さの向上
- 自信、関係性、人間性の意識向上
- 選手の社会的・心理的な幸福の向上

また、伊藤はコーチングに特徴的な事柄として「文脈依存」を挙げています。
コーチの行動はその状況次第であり、同じ状況は二度と現れず、常に動的で複雑であると述べています。
コーチは「様々な状況を適切に読み、適切な意思決定と行動を行う必要がある」と強調しています。

図子浩二の見解
図子浩二は、コーチングを次のように定義しています。

コーチングとは、選手・チームとの間に良好な関係性を築きながらパフォーマンスを向上させるための思考および行為である。

彼はコーチングの行動を「指導行動」と「育成行動」に区別し、それぞれの目的を次のように定義しています。

指導行動:競技力の向上
育成行動:人間力の向上

図子は、これら二つの目的を「コーチングにおけるダブルゴール」と呼び、人間力の向上が競技力の向上に不可欠であるとしています。
合理的な思考や倫理観がなければ、長期的に競技力を向上させることはできず、引退後に優れたコーチや社会に貢献する人間になるためにも、人間力の向上が重要であると主張しています。

まとめ

コーチングの本質は、一見すると日常的な行動に見えるかもしれませんが、その背景には深い哲学と複雑な要素が絡んでいます。
コーチングは単なる技術指導ではなく、アスリートの成長と幸福を支える総合的なサポート活動であることが明らかになります。
コーチは状況に応じた柔軟な対応と、選手との信頼関係を築きながら、競技力と人間力の両面を向上させる役割を担っています。
このように、コーチングは文脈依存的であり、個々の状況に応じた適切な判断と行動が求められるため、その本質を理解することは容易ではありませんが、それこそがコーチングの魅力であり、奥深さでもあるのです。

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