学びは夢の実現!とっとりビジネス学習diary 第4回 馬田雄大さん
今回は、大山町で農業をされている、Mirai farm 馬田雄大さんにインタビュー。2023年就農一年目で「第17回あなたが選ぶ日本一おいしいお米コンテスト」で優良金賞を受賞され、現在、農地の規模拡大や事業の多角化をはじめ、地域の活性化にも貢献できるよう、若手農業者の育成や技術共有の場を提供していきたいと考え、日々取り組まれている馬田さん。その原動力や農業への思いから、独自の学びに対する姿勢を伺うことができました。
農業のイメージを変えたい
小さい頃、祖父と一緒にトラクターに乗ったりして、自分も将来乗りたいなと思ったのがきっかけで、農業の道を選ぶようになっていました。小学一年生の時、父が祖父の跡を継いで一から農業経営を始めました。農業は継続的に繋ぐ産業なので、父の姿を見てきて、自分はどうやってこの経営を守り発展させ、次の世代に繋ごうかと今考えているところです。
農業って一年ぽっきりの産業じゃないんです。継続して、次に繋いでこそ農業なので、常にそれを重点に置いてます。
学校から帰ってきて父の疲れた表情や背中などを見て「これは早く父を助けんといけんな」っていうのがはじまりだったんです。でも就農が近づくにつれて、自分の就農地以外の状態も見えてくると、周りの農家さんも大変そうで草刈りも間に合ってない状況や、高齢者ばかりで担い手もいない農家があることなどが見えてきました。この問題を解決するには、まず作業工程を変えなければならないと思って、農業大学校で見たドローンを使ってみようと思いました。中山間地はどんどん人がいなくなるのが目に見えていたので、「いかに今より楽をして稼げる農業にするか」というのが必要だと思いました。そこで自分の視野と考え方が変わったと思います。
学生時代の学び
早く進学・卒業して早く就農したかったんです。自分は家で農業をしていましたが、学校では農業を全く知らない人に合わせてスタンダードな座学からやるので、物足りなく感じることもありました。
でも農大の実習は楽しかったです。作物コースの場合だと一人一枚田んぼを管理するんです。自分で草刈りなど好きな時にできるので面白かったです!
自然の中で体を動かせるところが農業の良さだと思います。でも農業も部屋でパソコンを操作したらドローンが飛ぶ時代になってくると思うんですよ。例えば一般の方々がスマホやパソコンなどで、オーナー制度で一人一枚田んぼを持ち、スマホの操作でドローン飛ばせるようになれば、多くの人にとって農業がもっと身近な存在になってくるのかなと考えたりします。
農業のバリアフリー化
これまでの農業って、「経験や勘が物を言う」みたいな手法だったんです。でもそんなの次の世代は絶対分からないじゃないですか。今農業従事者は全国で100万人を切っていて、さらに7割が60歳以上。どんどん農業従事者が減っていく中で、今までの体系だと絶対に現場は回らなくなるんです。
一年目から現場を回せるようにするため、うちはドローンの活用を経営の軸に置いています。ドローンだと勝手に自動航行してくれるので、 田植え機に乗るオペレーターの腕も関係なく、誰がやっても同じクオリティの作業ができます。農業のバリアフリー化ができるということです。
確かにうちが取り組んでいるドローンでの作業は、使われ始めて5年ほどの技術なので、まだまだ未熟な部分もありますが、全国的に広がりつつあるので、常にアップデートされている状態です。このまま行けば早い段階で工程化できるのではないかと考えています。田植機だと一日2ヘクタールぐらいの面積が限界ですが、ドローンだとそれが1時間で終わります。単純に言えば一人が担える面積が10倍になるんです。そうなると中山間地でも平野並みの生産性で農地の維持ができ、なおかつ省人化ができるようになります。
農地の維持ができなければ日本の面積の7割が荒れていっちゃうのが目に見えているので、僕は本当に、今が農業の転換期だと思っています。
若者活躍のチャンスは農業にある
今の農業の状況はチャンスと捉える見方もあるんじゃないかと思っています。若い世代がいない産業って、第一次産業ぐらいなんです。
若い世代が輝けるっていうのはすごいメリットであり、どんどん競争率が落ちていってるのも、ビジネスとして見ればチャンスであると考えています。
農業は多くの方が参画していただいてこそできているので、そこは「自分だけがいいや」じゃなしに、宮内の農家さんも全国の他の方も「楽になって良かった」であったり「田んぼ作ってもらって助かるわ」っていう状況にしていくことが大事かなと思っています。なので僕はどんどんドローン直播を広げていきます。海外へアプローチできるのは米ぐらいだと思っています。 日本が世界でトップ10に入る生産量を誇るのは米を、もっと海外にアプローチをしていきたいという思いがあります。日本は水にも恵まれ土地もあるので、転換していけば農業はむしろこれからだと思っています。まだまだ伸びしろがあると思ってますね。
守りたい良さ
一番は農業従事者の笑顔ですね。楽しんで生産しなければ消費者の方も美味しくいただけないと思ってるので、つくる人の笑顔は絶対守っていきたいなと思います。いくらドローンを導入したとしても、最終的には人が必要なんです。これからDXが進んでも、人を守らないといけないですね。
馬田さんにとって学びとは
自分にとっての学びとは「夢の実現」です。僕は常に情報収集や勉強をしている方だと思います。それは、毎年発表される小中学生の「なりたい職業ランキング」に、農業だったり農業経営者などの職業がいつかランクインするようにしたいという夢があるからです。そのために、自分の個人目標を達成し続け、農業のイメージを変えていきたいと思っています。