「サウンド・オブ・ミュージック」について
この曲について、少し話をさせてください。
今年の2月、去年までいた部署から異動になり、
神奈川から今の埼玉に引っ越してしばらく経ったときに、この曲を書きました。
エッセイなどでも書きましたが、以前いた部署は、人間関係や仕事内容も、本当に自分に合わず、ただただ苦しかった。周りに相談できる人もいず、なぜ自分がその部署に呼ばれたのかも分からず。今思うと、変な方向に気を使うあまりに、ずっと神経を擦り減らしていたように思います。
恋人と別れたことや、その後されたひどい仕打ちのことも重なり、
去年1年間は本当にしんどい時期でした。
「ごめんなさい、もう無理です」。
そう部署長に伝えたのが、去年の11月ごろ。
今年の2月下旬に、現場の部署に異動になりました。
苦しい時期が長く続いていくと、自分の心がどう動いていたかが分からなくなってしまうんですよね。どんな時に感動したか、何が嫌なのか、本当には何がしたいのか。以前の環境から抜け出ることができたあとの数ヶ月間は、その感覚を少しずつ取り戻していく作業でした。
まるでずっと引きこもって部屋で寝ていた人が、突然外に出て歩き出したみたいだったと思います。仕事で少し人と話すだけでどうしようもなく疲れたり、逆に憎しみに呑まれたり。そんな状態でおっかなびっくり外の世界に触れ、人と関わる中で、段階的に自分を回復させていく作業でした。
そんな日々を過ごす中で、少しずつ新しい音楽や映画に触れることができるようになっていきました。馴染みのミュージシャンの新譜に、初めて自分を理解してもらえたかのように安心したり、触れて来なかったジャンルの音楽に新しい感動を覚えたり。その中で、冒頭の歌詞が出発点となって書き上げたのがこの曲でした。
今コロナ禍で、自分より遥かに苦しい状況にいる人たちが、まだまだたくさんいる中で、「最悪な時は過ぎた」と歌うことに迷いもありました。けれど、この曲を完成されることで、まず自分自身を救うしか自分にできることはないと思い、この曲のアレンジとレコーディングに着手しました。
どんな風に聴いてもらっても構わない。
楽しんで聴いてもらえたらもちろん嬉ししいです。
そしてもし、聴くあなたの経験や想いと重ねて聴いてもらえてたら、
こんなに嬉しいことはないです。
1日でも早く事態が収束し、
この曲をまたあなたの前で歌える日が来ますように。
2020.09.16 野口 純史