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LIVE"ピースメーカー"について

(1)出演が決まるまで

改めてですが、ピースメーカーお疲れ様でした!おかげさまで今の自分自身を正直に伝えることができたライブができたと思います。イベント自体も大盛り上がりで、企画してくださったマニマニさんとさとぷーさんに改めて感謝を伝えたいです。ありがとうございました。

俺が最初お誘いを受けたのは…いつだったけな。確か去年の年末か今年1月ごろだった気がします。ですがその時は一度お断りしたんですよね。転職活動真っ最中でしたし、いつ終わるのかもわからなかったので。何より気持ちに余裕がなく、転職以外のことを頭に入れたくなかったのが正直なところです。

ただ別件でさとぷーさんに相談する機会があったときに、再度お誘い(というより説得?w)を受け。そこまで出て欲しいと言ってもらえることが嬉しかったし、転職先が土日出社がある会社だったら有給取ればいいし。何かあったらなんとかしようと思い出演を決めました。その時点では、どんなライブにするかはノープランでした。

その後幸い土日休みの会社に内定をもらい、しかも4月は前職の有給を丸々あてることが出来たので、スケジュール的には全く問題がない状態にすることができました。

(2)さて、ライブどうする?

さて、そうなるとライブ自体をどんなものにするか。出演を決めた時に朧げに思っていたのは、今までと同じライブはもう出来ないなということ。というのも今の自分の持ち曲の多くは2019年までの自分自身を反映しているもので、もうその時と同じ自分ではなく確実に変容してしまった。それは前職の中で長い間培われた人間不信であったり、2度の転職活動の中で感じた社会の中で自分の居場所がない絶望感だったり。内心ボロ雑巾のようになっていた心のままで、ラブソングを中心としたセットリストを組んで演奏しても、自分の中でどうしても嘘になってしまう。今の自分を曝け出して肯定するためには、やはりその心境を反映した新曲が必要だという結論に至りました。

おそらく今までの曲でセットリストを組みライブすることもできたと思いますが、消化試合のようなモチベーションになっていたと思います。転職や転居と同時進行で、マニマニさんとさとぷーさんがこの企画にかける熱量と努力をひしひしと感じていたので、それだけは絶対にしたくなかった。

引っ越しや新生活の準備の諸々を一旦終えて、ライブまで残った時間はちょうど月〜金の5日間。この間に新曲2曲の制作と、セットリスト決め、リハーサルをする必要があり、最初は正直無理ゲーだと思いましたw。まずは強制的にスタジオに入り進めねばと思い、すぐスタジオを予約。セトリ決めと新曲の制作から着手していきました。結果5日のうち4日はスタジオに入り作業に没頭していました。

(3)新曲について

今回演奏した新曲は「めんどくせぇ」と「無敵の人」というタイトルです。

1曲目の「めんどくせぇ」は、前職でのリモート会議中に生まれた曲です。上が勝手に決めたことをただ垂れ流し、満場一致の意味のない決議を取る様に「ほんとクソだな」と思い。ただ、その馬鹿げた状況にいるのは他でもない自分自身で、新しい道に進むことが出来ていないのも自分自身で。周りも自分自身もその全てに対して「めんどくせぇ」と感じたことがそのまま歌になりました。会議中に歌詞を書き殴り、頭の中でメロディーをつけながら歌詞の続きを書いて、休憩中に車の中でiPhoneのボイスメモに吹き込み。そうやって1番の終わりまでが完成しました。その後はスタジオでリハーサルと並行して作り上げていきました。
最後まで自分にも周りにも唾を吐いて終わるだけの曲にしたくなかったので、最終的には自分のケツを蹴り上げて「闘え」と言う歌にしました。この着地になってよかった。

2曲目の「無敵の人」は、転職活動の絶望感から生まれた曲です。最初は面接帰りの電車の中で書いた1番の歌詞があるだけの状態でした。当初から語りのような曲調で考えていたので、ギターも極力展開を抑えてシンプルに、語りが終わると同時に展開していくような構成を考えました。
自分のほとんどの曲は歌詞やテーマから先に作り同時並行でメロディーもつけるのですが、この曲は歌詞が決まらないと他も全く先に進まなかった。なので1番のフロウを決めてからは、歌詞の続きを書くことから制作の続きを始めました。
しかし最初の詞に込められた絶望感が凄まじく自分でも持て余すほどだったので、続きを書くのにほんとに時間がかかったのも事実です。当初のビジョンでは、最初の絶望感を描いた後に、曲の後半でスマホを覗くと支えてくれる友人や彼女の存在に気づき、また立ち上がる、まだ「無敵の人」にならずに済みそうだ、というオチを考えていたのですが(タイトルもそこからでした)、それだと生易しいというかぬるいなと思い…。もっと自分の内側を掘り下げるような展開になりました。今の苦しみから逃れるとして、じゃあ「死」とはなんなのか、自分はなぜ今のような考え方になったか、どんな風に育ったのか、それを踏まえた上でこれからどうするのか。そこまで踏み込みたかった。
最終的に本番前日の金曜日は朝からこの曲の歌詞を延々考えていて、夕方になんとか完成し、そこからスタジオに飛んでいき最後のリハーサルをしました。曲の前半に対して後半はかなり抽象的になったと思うのですが、今の自分自身をできる限り伝えられるもになったのではないかと思います。

そうしてなんとか新曲2曲を書き終え、ライブ当日を迎えました。

(4)ライブ当日

機材や物販の準備が押してしまい、会場に到着したのはリハーサルの時間ギリギリ。急いでケースからアコギや機材を取り出しリハーサルへ。会場の八王子パパビートは小劇場のようと言うか、客席側が平らではなく段に分けられているので、後方席からも見通しがよく、またステージからも全てのお客さんの顔がよく見える会場でした。ボーカルとギターの音量バランスを確認し、数曲リハしたところで終了。その後出演者の顔合わせも終えあっという間に開場になりました。

ありがたいことにオープンからたくさんのお客さんが来てくださり、会場はかなり賑わった様子に。ひなたさとこ&なおちゃんをしんみり聴き、MUTTEPOEの緩いMCに笑い、桜川ゆいは君のパフォーマンスに圧倒され、いよいよ自分の出番になりました。

(5)本番

今回最初から新曲を畳かける案もあったのですが、それは今まで聴いてくれてるお客さんに不親切すぎるだろうと思い、「Sweet Berry」と「Indiana Indiana」というこれまでの自分を代表する曲でスタート。その後新曲2曲でガラッとモードを変えるという流れにしました。

セットリスト
1. Sweet Berry
2. Indiana Indiana
3. めんどくせぇ(新曲)
4. 無敵の人(新曲)
5. サウンド・オブ・ミュージック
6. 若葉
7. I'm in love with you

新曲2曲のダークさで投げっぱなしにするのではなく、そこからどうやって回復したのか、歩き出していったのか。そこもライブの中で描きたかった。「サウンド・オブ・ミュージック」と「若葉」は新曲より前に発表していた曲ですが、共に苦境からの回復がテーマにあったので、うまくハマってくれたと思います。そして最後はハッピーな曲で締めたいと思い、このセットリストになりました。

ライブ自体は順調に進んでいったものの、何度もリハーサルした既発曲に比べて、新曲はほぼ作りたての状態。最初の第一声目を出すまでのカンマ1秒の緊張感。そこを超えてからは無我夢中で歌っていました。(歌詞一部間違えたりしましたがw)
そして歌い切った後の歓声。この2曲が受け入れてもらえるかは正直不安でした。でもその不安に踏ん切りを付けて完成させてほんとによかった。そう思えました。

(6)これから

その後残す3曲も終えて、ライブは無事終了。その後のKEMP、トガシバンドもめっちゃかっこよかった。改めてバンド好きだなぁと。KEMPさんの会場とのグルーブの作り方のうまさとか、トガシバンドの曲やアレンジの良さとか、いろんなこと感じました。ほんとに勉強になった。

終演後もいろんなかたがライブの感想を伝えてくださり、本当に嬉しかったです。新曲と共鳴したそれぞれの個人的な体験を聞かせてくださったり、ちゃんと届いたんだな、共有できるものになったんだなぁと。
自分個人の体験や自分がその時感じたことを、深く聴いた人にも届けることができるのが、自分が音楽を作る意味です。それを信じて本当によかった。

※下は会場に来てくださった画家の村田石冷さんが、自分のライブからインスパイアされ描いてくださった絵。苦悩や苦闘を抱えた自分自身をいつかの自分が救いに来てくれるような絵。本当に素晴らしいです。


この後も自分は音楽を作っていきます。今回新曲を作ったこと、それを人前であらわにし歌い切ったことで、得られた様々な確信がありました。それをもとにまた自分に嘘をつかずに、音楽を作り歌を歌っていきたいです。

今回来てくださったみなさま、マニマニさん、さとぷーさん、共演者の皆様本当にありがとうございました!それではまたどこかで。

2023.5.7  蒸し暑くなってきた新居から  野口純史


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