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Sweet Berry Story セルフライナーノーツ 後編 -アルバム全曲解説- Part.3

Part.1(1〜4曲目)に戻る:
https://note.com/the_endcores/n/n956ecbf61f54

Part.2(5〜8曲目)に戻る:
https://note.com/the_endcores/n/n66691284b661

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9. それは悪い夢のように

彼女と別れた当日のことをそのまま歌にした曲。
仕事が終わって、彼女に会いに電車に乗るところから、
一つ一つ書いていきました。

こういう最悪な状況というか、本当にプライベートなことを歌にするのに、多分多くの作家は恥ずかしさを覚えると思うのですが…笑。自分はそういうことこそ歌にしてやれ!という半ばヤケクソな作家性があります。
ある意味音楽を用いたテロ行為というか笑。
曲を聞かせることで、聞き手に自分の人生を強制的に体感させることになるわけですからね。ある意味、このアルバム全体がそうです。

でもだからこそ、アルバムや構成、その他細部にまでこだわるんだと思います。なぜならそんな個人的な話でも最後まで聞いてもらいたいから。外側は綺麗で楽しそうなのに、開けたらビックリ箱だった、というか笑。

そしてもう一度思い出すことで自分も傷つくのに、それをあえて曲にするのは、そういう部分こそわかって欲しいという気持ちと、徹底的に向き合うことでその状況を乗り越えたいという二つの気持ちがあるんだと思います。

あとそういうものが一番アートとして面白いと思っているのも事実です。

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10. loveless

恋人と別れたあとすぐにレコーディングして発表した曲です。

曲自体は、確か2016年くらいからあったのですが、
一部の歌詞が完成していない状態だったので、
レコーディングし、発表する機会はない曲でした。
皮肉にも恋人と別れたことで、最後のピースが埋まったように
歌詞が完成し、アレンジをして発表することができました。

別れた後は晴天の霹靂というか、
他に手をつけられることが何もなかったので
この曲を完成させることに心血を注いでました。
別れたあとすぐにライブする機会があったのですが、
そこでこの曲を演奏したとき、色んな人がよかったと言ってくださって。
この時期だから発表できる曲かも、と思い完成させました。

この曲は打ち込みのループするビートが基軸になっているのですが
このアレンジの着想は当初からありました。
そのスケッチのようなデモ音源にピアノやベース、
生ドラムを打ち込んで完成させました。
後半生ドラムに表情がつき、バンドっぽくなる展開は
弾き語りでこの曲を練習する中で出たアイデアです。

相手のためと思ってることが自分のためだったり。
知らぬ間に相手を縛っていたり、傷付けていたり。
そんなことを何度繰り返せば、
真っ当に人を大事にすることができるのか。
その答えは今もわからないままです。

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11. 愛してるなんて言わないで

別れた彼女の目線に立って書こうと思った曲です。

きっかけは、別れてすぐのタイミングで、
映画「500日のサマー」を見たことでした。
この映画を見て、ヒントのようなものを得ることができ、
手をつけ始めました。

最初サビだけができて、
その時は自分の想像する彼女の視点だけだったのですが、
作っていくうちに、だんだんこの曲の主人公である女性が、
実際の彼女と分離してきて別の人格を持つ女性に変わっていきました。
それはどちらかというと、自分自身の中にある女性的な部分に近い人格で、
そんな風に頭の中で主人公の人格が変化してから、
Aメロや他のパートは書いているので、
視点がこの人!と言い切れないというか、
自分でも説明が難しい曲です。

相手の視点に立って考えようとしたら
結果自分自身が色濃く出てしまった歌かもしれません。

…もしかしたらこのアルバムの中で一番悲しい曲です。

「あなたがあなただから惹かれた。
 でもあなたがあなたである故に、
 私が私である故にこんなにも分かり合えない。
 こんなにあなたを想っているのに。」

そんな人と人との関係の有限性について、
歌っている歌なんじゃないかと今は思います。

参考にした曲としては、Lordeの「Liability」という曲。
アレンジ含めて書いていたのが、去年の12月ごろだったと思うのですが、
この時期本当に仕事が辛くて、
誰もいない会議室で、翌日の会議の設営や準備しているとき、
仕事用のiPhoneからこの曲を流して、
床に寝っ転がりながら聴いていました。
(それくらい「もうどうなってもいいや」というテンションでした)

もうあまり思い出したくない時期ですが、
その時期のギリギリの感じも含めて、
曲に活きてくれたんじゃないかと思います。

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12. バイバイ、サンシャイン。

去年の9月に発表した曲です。
前述したように、この曲が最後になるようにアルバムを構築しました。

今思うと、「何も答えは出ないよ」というのが
このアルバムの結論だったのではないかと思います。
過去に取り返せないということがあったとして、
そこから100%正しい答えが見つかるわけでもない。
こうしたら次はうまくいく、なんて保証もない。
けれど時間は進み、人生は続いていくわけで、
誰しもが強制的にその道のりの上を歩かされていく。
正しいかどうかなんてわからないまま、
何かしらの答えや学びを見つけて(自分で定めて)
そこからまた進んでいくしかない。
そういうことだったんじゃないかと思います。

まあだからこそせめて明るくいくしかないよねー
ということでもあるとは思うのですが。
そんな感じですかね。

この曲のアレンジで頭にあったのは、
ボーカルがアコギを弾いているバンド編成です。
なのでアコギを中心にしつつ、
バッキングでエレキギターを使わない!という縛りを設けて作りました。
ウワモノはオルガンとエレキギターのみで、
後半からピアノが入り、切なさが増すような形にしています。

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結び

さて!アルバム全曲解説いかがだったでしょうか…!
曲ができるきっかけや作った時期、
アルバム全体の中での役割やアレンジなどについて
つらつらと言葉を重ねてきました。

自分自身、音楽雑誌などでアーティストのインタビューを読むのが好きで
その人がどんな想いで作品を作ったのか、どんなことがその時期にあったのか、そうしたことを知ることで、より作品を聴くのが楽しくなった思い出があります。

何も見ずにアルバムを聴いていただくだけでも十分楽しめるとは思うのですが、もしこの解説を読むことで、新たな発見や気づきがあれば幸いです。

ただね…ここまで書いてきましたが、
俺も正直このアルバムのことがまだよくわかっていないんですよ笑。
自分から見たこのアルバムについては、
このセルフライナーノーツで書いた通りなのですが、
人から見たときどんなアルバムなのか、全然わからない。

作品って発表して終わりじゃなくて
聴いた人のリアクションがあって完成すると思ってるんですね。
それによって、僕もこのアルバムのことをもっと知りたいし、
自分自身がどんな人間なのかを発見したい。
全然予想もしなかった角度から、
誰かがこのアルバムに新たな意味を見つけてくれるんじゃないかと
期待してしまうんです。

なので、ぜひ感想を聞かせてください。
そんで色々話したりしましょう。
よろしくお願いします。

2021.02.21 野口純史

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