【横断 #22】「生活者視点」の医療・介護・福祉に向けて
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新開 千世さん
新開さんは、介護福祉士として、看護師として、高齢者から障害者まで幅広いケアに携わり、地域の医療や介護、福祉に携わる方々の職種を越えた交流会『東葛医介塾』も主催するなど、常に「生活者視点」で地域における活躍の場を広げてきた方だ。
原点は小学校1年生の時。同級生に重度の知的障害と自閉症のある子がいて、そのお母さんは普通学級(通常学級)で学ばせることを願っていた。
その子は、「あーあー」としか言葉を発せなくても、新開さんにだけは「ちっち、ちっち」と懐いてくれた。トイレに連れていったり、授業中も膝に乗ったり、子どもながらに「やりがいを感じるとともに、お母さんも含めて親子を守りたいと思った」
そんな原点から介護福祉士を取得して、障害者施設の実習先が少なかったこともあり、高齢者介護の仕事につくが、社会的地位の低さに驚く。それ以上に、介護報酬を稼ぐことが目的で「生活者視点」とは全く言えないサービス提供も目の当たりにする。
それを変えられない自分の力不足を感じる一方で、医療の視点ももった福祉を提供できるようになりたいと心に決め、働きながら、看護師の資格も取得した。
さらに、デイサービスに勤めながら経営のノウハウを学び、自らグループホームも立ち上げるなど、実力や経験の幅を広げていった。
一方、医療や介護、福祉を横断して仕事をしていく中で、新開さんが感じざるを得なかったのが、制度の普及の遅れだ。
例えば、その分野でお仕事をされている方であれば、知らない人はいない『地域包括支援センター』。医療・介護・福祉・保健などの側面から高齢者を一元的に支える「総合相談窓口」として、介護保険制度上に位置づけられてから、もう20年余りが経つ。
しかし、未だに「薬剤師をしている高齢の父親でさえ、その名前を知らず、どこに相談していいかがわからないまま」。介護保険制度自体も、対象者のうちサービス利用申請した方の比率はまだまだ低いのが現状だ。
新開さんは、「他人に迷惑をかけたくないし、自宅にい続けたい。それらが邪魔して、外部のサービスを利用することが恥ずかしい」といった心理的な弊害を指摘する。
そうした心理的な弊害を痛感したのが、支援者として直面した『8050(はちまる・ごうまる)問題』だった。80代の親が、自宅にひきこもる50代の子どもの生活を支え、経済的にも精神的にも強い負担を感じる社会問題を指す。
「かつて支援していた50代過ぎの方が、親の死体遺棄で捕まったんです。親が死んでどこに伝えていいかわからなくて、見つかったときは自分自身の体重も30kg台だった。そこで初めて発達障害であることが発覚し、障害者認定を受けたんです。親の年金目当てで死体遺棄なんて報道が目立つけれど、そういったケースもあることを知ってほしい」
新開さんは、「我慢や美徳が結果的に悲しいケースを生んでしまうことを知ってもらって、恥ずかしがらずに外部に相談して頼って欲しい」と切に願っている。これは特殊なケースだけではなく、「ワンオペのママだって同じ」なのだ。
そして、例え自宅から外に出て施設などに頼れたとしても、例えば、高齢者の介護事業所であれば、経営力やサービス水準の問題、そして、現場人材の教育、離職率の改善及び外国人活用など、課題は山積みだ。
障害者の福祉サービスであれば、その利用を支援する『相談支援専門員』の数も、事業所で全体的な管理を行う『サービス管理責任者』の数も、圧倒的に足りていない。
もちろん素晴らしい事業所もたくさんあるが、それが多くを占めるとは言い難い。
こんな現場の状況でも、制度の普及の遅れや改善を待つわけにはいかないし、他方で、一人の支援者でできることも限られる。それが、新開さんが、地域の医療や介護、福祉に携わる方々の職種を越えた交流会『東葛医介塾』を主催する背景でもある。
地域で、「それぞれの分野だけで解決しない問題や、相互で発信する形を、みんなで考えていきたい」
そして、もう一つ、生活者の視点に立った「トータルペインの考え方を大切にしたい」。地域で年齢を重ねる中で、「体の痛みや病気の痛みだけではなく、障害や死を受け入れる、その先にも相続といった問題もある。そうした各段階に寄り添ってくれる人が必要だ」と、新開さんは言う。
こうしたニーズに対して、制度の区分がこうだとか、ヘルパーがやれることはここまでだとかは、決して「生活者視点」とは言えない。
新開さんの話をお聞きして、ビジネスでは当たり前の、ユーザーの立場に立って便利な体験を届けるための視点が、制度やプレーヤーが分かれているが故になかなか実現しない現実を感じる。
これを事実として受け止めるだけではなく、Inclusive Hubも新開さんのように、支援の対象や制度や職種の別を超えて、あくまでユーザーの立場にとって意味がある活動を広げていきたい。
ここまで読んでくださった皆さまに‥
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