【みみ #34】聴覚障害学生のためのPEPNetの発起人
⭐ ファン登録のお願い ⭐
Inclusive Hubの取り組みにご共感いただけましたら、ぜひファン登録をいただけますと幸いです。
このような障害のある方やご家族、その課題解決に既に取り組んでいる研究開発者にインタビューし記事を配信する「メディア」から始まり、実際に当事者やご家族とその課題解決に取り組む研究開発者が知り合う「👀ミートアップ👀」の実施や、継続して共に考える「🤝コミュニティ🤝」の内容報告などの情報提供をさせていただきます。
🔽 ファン登録はこちら 🔽
白澤 麻弓さん(前編)
聴覚障害学生の学びを支援する高等教育機関同士がつながる『日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)』。2004年に筑波技術大学の呼びかけで結成され、今年2024年に20周年を迎える、長く積み上げられてきた取り組みだ。
PEPNet-Japanの事務局長を勤めるのが、筑波技術大学障害者高等教育支援センター教授の白澤さんだ。歴史ある取り組み故に勝手に思い込み、「どういった経緯で立ち上がったのか、もしご存じであれば、、」とお聞きすると、「実は20年前に私が立ち上げたんです。もう20年ですね」とはにかんだ答えが返ってきた。
白澤さんは、聴覚障害のある当事者ではなく、それゆえ聴覚障害者や視覚障害者であることが入学条件となる筑波技術大学の出身でもない。なぜ、そんな白澤さんがPEPNet-Japanを立ち上げることになったのか。
白澤さんが聴覚障害に関心をもつきっかけは、純粋に「大学に入学した時に手話通訳をやっている先輩を見てかっこいいと思った」ことだった。「人の役に立つし、何より目立てる!と思って」手話サークルに入り、手話を習い始めた。
しかし、本当の原点は、その数か月後にやってくる。(高等教育機関側の全国組織であるPEPNet-Japanに対して)非常に古い歴史をもつ聴覚障害学生側の全国組織『全日本ろう学生懇談会』が毎年開催する「夏のつどい」がたまたま実家の近くで開催されると聞いて、白澤さんは気楽な気持ちで参加した。
そこは、「ろうの学生さんが自分たちのアイデンティティを再確認する場所」だった。最初は聴者と話すときには声も出してくれたろうの学生が、時間が経つにつれて徐々に「声なし手話だけに変わっていった」。手話の習い始めでまだ下手な白澤さんは「素晴らしいなと思い、だからこそもっと知りたくなり」、果敢に声をかけ続ける。でも、向こうからは、自分がわからない手話だけが返ってくる。その繰り返しの中で、思わず「わからないから声を出して、って言ってしまったんです」。筆談には応じてくれた相手から渡された紙には一言「ろう者のプライド」と書かれていた。
「なんて失礼なことを言ってしまったのかと、本当にショックでした。何のために手話をやりたいと思い、何のためにここに来たのか。聞こえない人を理解して役に立ちたいと思っていたのに、その人のことを傷つけてしまった。”人のために良いことをやりたいと思ってきた自分”がすべて崩壊した」
そこから白澤さんは、まず「聞こえない人のことをもっと知り、どんな思いで学生生活を送っているのか、どうしたら少しでも苦しさを感じない空間をつくれるか」をすごく考えるようになる。
そこから、自分の授業以外で、聞こえない同級生や先輩の授業に同席して手話通訳をできるまでに上達し、専攻も心身障害学を選んだ。
当時の2000年前後は、「それまで聴覚障害学生が自分で支援者を手配しなければならなかった状況から、それを頑張る大学が増え始めた頃だった」。日本福祉大学に「障害学生支援センター」が設置され、同志社大学に「障がい学生支援制度」が構築されるなど、良い動きが聞かれる一方で、挑戦する大学が常に同じ課題に直面するなど「それぞれの大学による孤軍奮闘感」が否めなかった。
そんな課題に対する解決策として白澤さんが思い出したのが、米国で大学間での情報連携を通じて聴覚障害学生を受け入れた大学を支援する目的で始まった『PEPNet』だった。
「日本もPEPNetが必要だ!そのためには(聴覚障害学生が集まる)筑波技術大学に行くしかない!と思って就職しました」
さらに赴任2週間後には、いくつかの国の聴覚障害に関する大学が集まるネットワーク会合に参加するために米国にわたり、そこで初めて直にPEPNetの取り組みを見た。「これだ!と確信しました」
こうして、就職したばかりの助手という立場にもかかわらず、『日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)』が立ち上がった。
(後編に続く)
ここまで読んでくださった皆さまに‥
⭐ ファン登録のお願い ⭐
Inclusive Hubの取り組みにご共感いただけましたら、ぜひファン登録をいただけますと幸いです。
このような障害のある方やご家族、その課題解決に既に取り組んでいる研究開発者にインタビューし記事を配信する「メディア」から始まり、実際に当事者やご家族とその課題解決に取り組む研究開発者が知り合う「👀ミートアップ👀」の実施や、継続して共に考える「🤝コミュニティ🤝」の内容報告などの情報提供をさせていただきます。
🔽 ファン登録はこちら 🔽