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【みみ #32】日本手話・手話通訳教育への大きな一石


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中野 聡子さん(前編)


 群馬大学の共同教育学部。特別支援教育専攻で学ぶのならば、ろう学校では手話で授業を教え、そしてろう児者のニーズに応える支援ができる人材になってほしい。そんな思いから、日本財団の助成を受けて、2017年度から『手話サポーター養成プログラム』が始まった。さらに2023年度からは、社会人にも門戸を拡げ、履修証明制度を活用した文部科学省職業実践力育成プログラム(BP)認定『日本手話実践力育成プログラム』も始まった。


 このプログラムは、1年かけて日本手話の基礎を習得し、さらに1年半かけて手話通訳の資格取得を目指すもの。日本手話や手話通訳の実技を学ぶ授業は合計210時間。日本手話には日本語とは異なる独自の言語体系がある。つまり、日本語を母語とする聞こえる人たちにとって、日本手話は外国語と同じなのだ。外国語を身につけ、さらに通訳までとなれば、210時間ではとても足りない。どうやって短期間で効率的に日本手話の言語・通訳スキルを向上させたらよいのだろうか。


 ご紹介が遅れたが、この課題に取り組んできたのが、ご自身も聴覚障害のある中野准教授だ。音声言語の第2言語・外国語教育、そして通訳教育に関わる、さまざまな理論や実践を群馬大学の授業に積極的に取り入れてきた。現在は、日本の英語教育や外国人のための日本語教育に大きなインパクトを与えた『ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)』に注目し、共同研究者らとJSL(日本手話)スタンダードの研究開発に取り組んでいるという。


 上記の通り、中野さんと手話サポーター養成プロジェクト室の教員らが作り上げてきたプログラムは、第2言語習得理論、外国語教育、通訳理論、通訳教育といった学問領域における学術研究や実践研究に依拠していることに大きな特徴がある。海外先進国では、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、大学で第2言語として手話を学ぶコースが開設され、研究と実践が重ねられるようになった。ところが日本では群馬大学のような例はまだほとんどなく、もっぱら福祉サービスの領域において手話通訳を担う者を養成するなかで、「手話」・手話通訳教育が行われてきた。日本の手話通訳者養成・派遣制度を牽引してきた、全日本ろうあ連盟全国手話研修センター日本手話通訳士協会全国手話通訳問題研究会、各地域のろう協会及び関連団体の功績は大きいと中野さんは言う。中野さん自身も病院受診などで手話通訳派遣を利用することもあり、通訳がつくと安心感が違うそうだ。しかし、その一方で、何年かけても厚生労働大臣認定資格である「手話通訳士」の試験になかなか合格できない、やっと資格を取得しても、専業として生計を立てることが厳しい、従って手話通訳者のなり手がおらず、高齢化がどんどん進む、といった状況は、現在の養成・派遣制度の限界を象徴しているとも言える。


 米国はどうか。「『リハビリテーション法504条』や『障害を持つアメリカ人法(ADA)』のような法律で障害者の差別が禁止されている。手話通訳が必要であれば、インクルーシブ教育の現場でも手話通訳者が派遣される。電話通信サービスが利用できるように手話通訳によるビデオリレーサービスが提供される。」と中野さんが教えてくれた。それを背景に、「手話通訳は『稼げる仕事』として成立している。全米登録手話通訳者協会(RID)の国家資格は学士号を必要とする。大学では、優れた研究・指導実績をもつろう者・聴者の教員が採用され、充実した養成プログラムが展開される。その結果、高いスキルを持つ手話通訳者が輩出され、スキルに見合った賃金が得られるという好循環がある」。


 日本がこのように変わっていくにはまだまだ時間がかかるだろう。しかし、なんとか今の現状に一石を投じたい、中野さんと手話サポーター養成プロジェクトのメンバーは、そのような思いで、大学での日本手話・手話通訳教育の研究や授業開発に取り組み、実践を重ねている。


後編に続く)





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