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【みみ #48 / こころ #88】障害者が働けてこそ、社会が成り立つ


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くらげさん




 くらげさんは、先天性の聴覚障害をもつ。「人工内耳を使わないと、ほとんど音を聞くことができない」ため聾学校に通ったが、21歳から人工内耳を装用した。また、同じく成人後に、発達障害(ADHD)であることも発覚している。
 障害者カップルとしての日常を描いた『ボクの彼女は発達障害』の著者としても有名になり、Xnoteでの歯に衣着せぬ発言でも人気だ。



 そんなくらげさんの経験からは、いくつもの「垣根」が見えてくる。


 例えば、障害者と健常者の垣根は、くらげさんにとって「自分の問題を高頻度で説明する必要があるかどうか」だ。
 自身の障害やその程度について、「説明するのは大変だし、先方に不快感や先入観を与えてしまわないか、どこまで紹介していいかが難しい」。仕事であれば、言わないまま何かあって齟齬が生まれてはいけないと思いつつ、「それを避けようとすれば、障害者雇用で給料が下がる。不利益を被る現状は間違いなくある」


 また、同じ障害の中でも垣根はある。聴覚障害者であれば、手話を使う人も使わない人もいることが、その一つかもしれない。
 ただ、同じ聾学校で成長してきた友人もいるくらげさんにとっては、卒業後に「人工内耳を装用したことで自分だけ聞こえてしまった」ため、「下駄を履いてしまい、申し訳ない気もしている」。武器を身に着けたことで、感じてしまう垣根もある。


 しかしながら、やはり最も大きい垣根は就労だろう。
 現在の障害者雇用について、「(障害者は)働けないという思い込みがあり、障害者雇用の枠に入れておく方が楽という発想が抜けない」。垣根の向こう側、いわば「関係ないところでお金を回して、綺麗な言葉の中に押し込めばいい」と思っていやしないか。そう、くらげさんは訴える。
 さらに、「障害者“が”儲けるのではなく、障害者“で”儲けているところもあるのではないか」と苦言を呈し、「自分自身が商売の道具になるのは嫌だし、そんな社会がめちゃくちゃ嫌だ」と言葉を続けた。


 ちなみに、「垣根」の語源は、決して分断ではない。「垣(かき)」は、「橋をかける」など一方から他の一方へ「つなぎ渡す」ことを意味する「懸く(かく)」の結果としてできた物を称したもので、「根」は文字通り、地続きの大地に「根ざしている」ことを指す。


 日本は今、超高齢社会という大地の上にある。言い換えれば、「できないこと」が増えていく社会だ。それでも、高齢や障害など心身に不自由がある人たちにも就労してもらわなければ、社会が成り立たない状況だ。
 そんな中だから、「障害者が働けてこそ、高齢者が働ける」と、くらげさんは話す。


 「障害をもっていて良かったことは、人間ってポンコツだと小さい頃から気付けたこと」。多くの人が年齢を重ね、できたはずができなくなることを「なかなか受け入れられないままに、しんどくなっていく」のに対して、障害者は最初から「できないものはできないと、割り切れる時間を持てる」のだ。
 「同じように働くことは無理」という前提で、「できないこと」をわかり、自身でも受け入れている障害者の働き方を工夫することこそ、高齢者の働き方にもスムーズな橋をかけ、つなぎ渡すことになる。


 しかしながら、それに逆行するように、「今の日本は、働くことが複雑すぎる」とも、くらげさんは感じている。
 例えば、コンビニエンスストアの仕事は今、非常にマルチタスク化して高度化するばかりだ。そういった業務が難しい人には「できる仕事がなく、即ち食っていけない」ことにつながる。結果的に、「(社会から)自分で退場してひきこもりになっちゃう」。
 逆に必要なのは、「品出しだけとか、会計だけとか、座りながらでも」など、仕事をやりやすい形に細分化して「どう戦力にしていくか」という発想だ。そうした時に、障害者の雇用を前提に考えてみることで、高齢者も含めて社会の担い手を広げていくためのヒントが生まれてくる。


 くらげさんは最後に、「障害者自身も本当に利益を得て、障害者を道具にしない社会をどうすれば作れるか」考えていきたいと話してくれた。
 どうしたら社会の「垣根」を分断ではなく、一方から他の一方へ橋をかけ、つなぎ渡すものにできるか。障害者の経験を社会に活かし、他につなぎ渡せるか。Inclusive Hubも一緒に考えていきたい。





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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