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【こえ #12】「タバコは吸わないし、お酒も飲まない」のに、のどに癌が見つかった…
吉田 久乃さん
吉田さんは人生を通じて喘息、糖尿病、リウマチ、そして心臓病と闘ってきた。心臓手術を終えて回復した検査の時だった。「タバコは吸わないし、お酒も飲まない」のに、のどに癌が見つかった。
放射線治療を選んで声を守るか、手術で声帯を摘出して声を失うか。担当医師からは「(放射線治療しても治癒するかは)五分五分」「自分の家族だったら手術を選ぶかな」と言われ、声帯を摘出することに決めた。
「声がゼロ」になると思い込んでいたところ、担当医師から「銀鈴会」を紹介された。銀鈴会は癌で声帯を摘出し声を失った人がもう一度声を取り戻す支援をする団体である。
「(声帯を摘出する)手術をする前に来られて本当によかった」と吉田さんは振り返る。同じ経験をした人がたくさんいて、中には「自分と同じ担当医の患者さんもおられた」。みなから「大丈夫だよ」と声をかけてもらい、「十分ではないかもしれないけれど、また話せる見込みが見えて」手術への不安が和らいだ。
声帯を摘出する手術をして銀鈴会で発生方法を学び始めてからわずか3年で、発声訓練を指導する立場の「喉頭摘出者発声訓練士」に認定された。年齢が比較的若かったこともあるが、通常放射線治療を受けるとのどが硬くなってしまい発声しづらくなるのだが、放射線治療を受けずに声帯を摘出することを選んだことが、逆に自分が声を取り戻すことにプラスに働いた。
自分と同じように声を失う恐れをもって手術を受ける患者さんに「癌と聞かされて、すぐに行動するのは難しいかもしれないけれど、少しでも見学に来てくれたら気持ちが楽になると思う」と伝えたい。もしかしたら、ゲップを出すように発声する食道発声法や、電気式人工喉頭(EL)という器具をのどに当ててロボットのような声を出す方法は、初めて聞いた人にとって不自然に感じるかもしれない。でも「少なくとも声がゼロではない、自分でYES/NOが言えるってすごく大事ですから」。
再び声を取り戻した吉田さんにも不安はある。将来筋力が衰えれば食道発声は難しくなるかもしれない、腰のボルト手術の経験もあるため将来寝たきりになってしまったら電気式人工喉頭(EL)をのどに当てることもできなくなるかもしれない。だから、そんな不安を解消してくれるハンズフリーの電気式人工喉頭(EL)を開発するSyrinxに高い期待を寄せている。
誰かが誰かの不安を、その経験を通じて、その技術を通じて取り除く。そんな社会の循環を応援したい。
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