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【横断 #21】キヤスクで描く誰もが好きな服を着られる世界


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前田 哲平さん


 障害や病気があって服をそのまま着れなかったり着づらかったりする方々がいる。でも、


 大好きなアーティストのツアーTシャツを着たい。
 おなじ学校に通うみんなとおなじ制服を着たい。
 お母さんが若いころに着てた思い出のワンピースを着たい。


 そんな願いを叶え、服をお直しして「着やすく」するサービス『キヤスク』を立ち上げたのが前田さんだ。



 前田さんの前職は、ユニクロの商品計画。ユニクロのLifeWearは、世界中のすべての人を対象にした「MADE FOR ALL」というコンセプトを掲げている。前田さんも、それを誇りに感じて働いてきた。しかし、ある時、聴覚障害のある同僚から、周囲の身体障害のある友人が「着る服がない」と言っていると耳にする。
 前田さんは、「服が届いていない人がいることに驚いた」。ご自身も「それまで近くで障害者に接することがなく、不自由を想像することなく生きてきた」こともあり、本当にそうなのか障害のある方々に話を聞き始めた。


 聞き始めると次から次に聞いてみたいと思うようになり、その数は3年間で800人にも及んだ。そこから前田さんが得た気付きは、3点に集約される。
 一つ目は、「着る服がない」のではなく、あっても着にくくて我慢したり、着たい服を諦めている人が多く、「選択肢が少ないことに悩んでいた」。それは、多様な障害や病気、男女年齢問わず、それぞれ体の状態は違っても、共通の悩みだった。
 二つ目は、障害別はもちろん、同じ障害でも不自由さや好みは、「一人ひとり、本当に違う」。即ち、一人ひとりに対応することは難しい。前田さんは、頭のどこかで、ユニクロで障害者向けの服をつくることも考えていたが、仮につくったとしても「一部の選択肢にはなっても、ほとんどの選択肢にはならない。結果的に、選択肢が少ないという解決にはならない」ことに気付いた。
 三つめは、みな、「”障害があっても着やすい服”ではなく、単に”世の中にある服の中からみんなと同じように選びたい”」のだ。「そんな当たり前のことを望んでいる」


 多くの当事者から話を聞き続ける中で、前田さんの中に想いが募っていく。
 「課題を知ってしまった以上、それを解決することは難しいで終わってしまっては、課題は放置されたまま。何かやれることはないか」
 でも、ユニクロの本業である「服をつくる」ことでは、解決策にならないことにも気付いていた。だったら、「すでにある服を後から一人ひとりに直す方が、すべての人の体の状態や好みに対応できる」


 前田さんは「やるなら本気で取り組みたい」とユニクロを離れて株式会社コワードローブを立ち上げ、服をお直しして「着やすく」するサービス『キヤスク』を立ち上げた。
 お直しの注文を受けると、全国の自宅で待つ「キャスト」のもとに服が送られ、作業に取り掛かる。キャストは、裁縫の得意な方もいるが、寝たきりのお子さんを抱えて外に働きに出れないお母さんもおられ、新たに就労を生み出す機会にもなっている。
 お直しの価格も、手頃だ。「ユニクロぐらい誰でも手が出る手頃さでやらないと、やる意味がないと思っている」。一方で、社会的意義を感じて取り組むキャストの方々の「やりがい搾取もしたくない」。結果的に、利益はほとんど出ない。固定費を極力かけないローコストな事業構造など、経営努力でカバーしている。



 こうした状況に、資金面や認知度など課題は多い。
 「いい事業だよね」とは言ってもらえるが、銀行からはそれなりの売り上げが立っていないと借りられない。社会インパクト投資を掲げるファンドも、かなり利益を出していないとサポートしてくれない。
 前田さんは「好きでやっていることだから仕方ないけれど」と話したが、「一時的にでも資金があれば、スピード感をもって成長していけるのに」とも話す。こういった社会的意義の高い事業こそ、補助金など資金的なサポートが拡充しないものかと考えさせられる。
 潜在的な顧客は多い。服のお直しと聞くと、身体障害者が思い浮かぶかもしれないが、発達障害や知的障害にもチャックやボタンなど困りごとがある方が多い。また、「障害と病気の方向け」を掲げているが、高齢で体が不自由になったことで服を直してほしいという依頼も届き始めた。
 こうした「ど真ん中でないお客さん」に対しても、体の変化に応じて服を直す発想や、また服を大切にするというメッセージを伝えたい。そして、お直しされた一着一着の裏には生活やストーリーもある。そういった「発信もしていくことで、認知度を上げ、マーケットを広げていきたい」


 前田さんは現在、『キヤスク』を始めて2年半でたまった知見を、アパレル企業に提供する取り組みも始めている(プレスリリース:キヤスク with ZOZO)。
 ”世の中にある服の中からみんなと同じように選べる”ことを実現するには、「小さい企業が一社で支えるのは難しい」。だから、アパレルブランドにも商品のラインナップとして出してほしいとの願いからだ。こうした取り組みから、新しい収益や『キヤスク』の認知度も上げていきたい。



 世の中に、前田さんと同じサービスを手掛ける人はいない。でも、前田さんは、「誰もやっていないブルーオーシャンだからとか、儲かるからとかで、始めたわけじゃない。目の前に困っている人がいるから、始めた。もちろん、困っている人に向き合い続けるには、収益も追求しないといけないけれど、それを最初から考えると始められない」と話す。
 もちろん、そこから、前田さんは多くの事業課題に直面し続けている。それでも、「事業を大きくしていって、証明するしかない」と力を込めた。


 ”世の中にある服の中からみんなと同じように選びたい”と思う方がいたら、是非サービスを使ってみてほしい。そして、周囲にこんなサービスがあると紹介してほしい。Inclusive Hubもその一端を担いたい。
 前田さんの社会的意義のある事業を大きくするために、みんなで始めたい。





ここまで読んでくださった皆さまに‥


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