2016年度ポテトフォーラム
2016年12月6日(火)に農研機構主催で開催された「ポテトフォーラム」に参加してきました。基調講演として、アースカフェの理事である帯広畜産大学の谷 昌幸 教授が「カルシウム施肥に関する知見」をテーマにご講演されました。
バレイショ生産の反収は世界で伸び続けているのに対して、日本では横ばいもしくは伸び悩んでいるのが現状です。また、加工用バレイショは高比重(高品質)かつ高収量が求められているにも拘わらず、打撲黒変が病害発生の約40%を占めており、褐色心腐や中心空洞とともに大きな問題となっています。 これら内部障害の問題に対して、ウィスコンシン大学のジワン・パルタ先生によると、硝酸カルシウムや塩化カルシウムを含む肥料を施肥することによって、バレイショ塊茎中のカルシウム濃度が増加し、内部障害(打撲黒変・褐色心腐・中心空洞)が抑制されることが2010年に報告されています。 この研究報告をもとに、帯広畜産大学とカルビーポテトとの共同研究によって、2013年より加工用バレイショ栽培におけるカルシウム施肥に関する研究が行なわれています。栽培試験では、硫酸カルシウムが用いられています。硝酸カルシウムは窒素過剰を引き起こしやすいこと、塩化カルシウムは肥料取締法により日本では使用できないためです。十勝地域および上川地域で行なわれた170地点の実態調査では、平均4.3トン/10aの収量であっても、2.2~6.8トン/10aの収量であり、品種間よりも圃場間の差がありすぎることが明らかとなりました。土壌特性や肥培管理の違いが収量に影響を及ぼしている可能性が高いため、三要素施肥の適正化とカルシウムをどう効かせるかが重要となります。 ただし、カルシウムを施肥したからといって、必ずしも成果が上がることはなく、必ずその土壌特性をきちんと把握し、何が過剰であり、何が不足しているのかを分かった上での施肥設計が重要となります。 基調講演では、たくさんの研究成果が盛り込まれた内容となっており、多くの生産者や関係者の関心を集めていました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?