ピンチをアドリブで乗り越える技 51/100(演技論入門)
自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。
さあ、今日から後半戦です!
それを記念して、画像を違う角度からのものに変えてみました。
前回までの方が気に入ってるのですが、取り敢えず、もう25回ぐらいこれでいきます!
今回からは、ロシアのスタニスラフスキーという人の演技メソッドをベースに、独自の進化をしてきた、イギリス式の演技術の要となる『Objective』に関連した手法についてお話しします。
ピンチに陥った時は、この『Objective』を異なる選択に、変化させることで対応します。
いや、ピンチに陥った瞬間から『Objective』は変化せざるを得ないでしょう。
さてこの、『Objective』って何でしょうか?
日本語では、目標や目的になりますね。
はい!意味不明ですね。
私もこれを読んで、
「ああ、確かにそうだったな」
と理解はするんですが、私がイギリスの演劇学校で習ったニュアンスとも、実戦を重ねていく中で実装している手法とも、微妙に違うなと感じます。
これは難しすぎます!
『Objective』の考え方は、ここにあるように、unitsとかbeatsとも言われ、英語への翻訳や解釈は様々あります。どれも求めていることは同じなのですが、それぞれ、その呼称や使い方、細かなニュアンスが違います。
それぞれの時代にそれぞれの役者や学者たちが、自分に合うように解釈を変えていったのでしょう。
私のイメージでは、スタニスラフスキーの本流ロシアのメソッドは、ちょっとめんどくさいというか、
本番前の稽古の時にシーンをどう捉えるか、じっくり時間をかけて考える時に役立つもので、実戦向けではないな。と思います。
ロンドンの演劇学校の中でも、それぞれの学校の色があり、使われる言語が違います。
でも、源流は一緒なので、お互い理解は出来るのですが、その使い方とか考え方に違いがあります。
その中でも、ギルドホール音楽演劇学校で私が身につけたメソッドは、少ない時間の中でも、職人的にシーンを分析して、セリフを実装するのに向いている印象です。
私たちはロンドンの即興演劇の劇団を共同主宰していく中で、このメソッドをより即席化して、再構築しました。
即興演劇を行う中でも、このメソッドを活用するにはどうするか?
即興という、脳内思考回転速度MAX、かつ準備期間ZEROな状態でも、うわべだけの、浅い演技ではなく、真実味のある演技をするためには、このメソッドをどう解釈したら良いかを考えました。
結果的に、比較的わかりやすく、汎用性のある捉え方になっていると思います。
(スタニスラフスキーさんには怒られるかもしれませんが!)
前置きが長くなりましたが、単純にいうと、
「感情の演技はしない」
「キャラクターはこの場面で何をしたいのか」
「何がそれを阻害しているのか」
「そして、相手をどう変化させたいのか」
「そのためには、どのような思考回路が求められるのか」
ということになるかと思います。