「挑戦する人の背中をそっと押したい」プランリニューアルの理由
コクヨが賃貸住宅?
「なぜ、コクヨが賃貸住宅を?」よく聞かれます。
コクヨは、1969年に大阪本社ビルを建て替えた当時から、働いている様子をお客様にも見えるように開放した「ライブオフィス」という取組みをしています。社員自身が体験者として自社の商品を使いながら働いている様子を見ていただいています。
コクヨには「実験カルチャー」が根付いており、お客様にコクヨの商品を使っていただくことで、働き方や学び方に起きてほしい変化(=体験をデザインできるか)を考えながら、開発・提案をしてきました。
コクヨの「実験カルチャー」「体験デザイン」という強みを活かしたプロジェクトのひとつが、この賃貸住宅「THE CAMPUS FLATS」です。
暮らしの中で実験を取り入れる
私自身、入社から10年少し経ち、いつのまにか一通りの仕事をこなせるようになるうちに、気づけば会社では中堅社員と呼ばれる年次になりましたが、世の中の変化のスピードに対して、今のまま会社と家との往復でよいのか、現業で身につくスキルと人脈以外はどのように獲得していけばよいのかと、ふと不安がよぎる瞬間がありました。
暮らし、街づくり、不動産、コミュニティといったテーマに興味と課題感をもつ4人の社員の等身大の想いをぶつけ、かたちにしたのが本プロジェクトです。
2021年7月に議論をスタート、2022年8月に投資および事業検証の意思決定がおり、その後さまざまな外部パートナーや社内各部門のプロフェッショナルを巻き込みながら、2023年9月1日にTHE CAMPUS FLATS TOGOSHIを開業しました。
品川区の戸越公園駅にあるTHE CAMPUS FLATS(通称:フラッツ戸越)
THE CAMPUS FLATS は品川区の戸越公園駅にありますが、元々はコクヨの大阪本社の社員が東京に単身赴任する際の社員専用の寮でした。実はそこまで稼働率が高くない建物でした。
戸越公園という場所に目を向けると、都心のどこへ行くにもアクセスがよいところでありながら、落ち着いた住宅地であり、戸越公園駅前南口商店街という古くからの商店街があり、住む機能に特化した街です。こうした街で、賃貸住宅を街に開くという試みをすることで、他者や地域との繋がりをつくる新しい集合住宅のモデルをつくり、街に新しい賑わいを生みたいと考えました。
8つのスタジオ
「プロトタイプする暮らし」を実践するためのリアルスペースとして、大小8つのスタジオがあります。
吹き抜けでヨガやダンスに利用できる鏡張りの「フィットネス」や、施術台とミラーを完備した「ビューティ」、飲食店営業許可付きで1日単位でオリジナル屋号のお店が開店できる「スナック」などがあります。
特にスナックの稼働率は高く、外食産業に従事した後独立された方が、メニュー開発したものを実食してもらう場として使われたり、普段はキッチンカーで営業されている方がスポット的に出店されたりすることもあります。
仕事で食を扱う方が活動を発展させるために使用している例から、個人の趣味・得意の延長線上で料理を振る舞われたり、サークル活動の懇親的な場として利用されるケースもあります。
2023年9月から一年運営してみて
開業から一年、FLATSで実際に多くのプロトタイプが生まれています。
ある入居者の方が「事業化前のコミュニケーションづくりや事業のプロダクトの検証として大変有益だった」とのコメントを残し、FLATSから卒業(退去)をされたことも嬉しかったです。
その方は、事業の法人化にあたりパートナーとの調整期間を要するため一度ご卒業されますが、法人化の準備が整い次第、次は法人での契約を見据えてくださっています。
FLATS開業前にPJメンバーで「FLATSを卒業した人が、次の場所で更なるステップアップをして、そしてまた何年後かに戸越の街に戻ってきてくれたらとてもいい循環が生まれるよね」と話していました。その兆しが一年目で見られたことは、とても感慨深いものでした。
“そっと背中を押す”難しさ
一方、この一年の反省点もあります。
入居者の方とは、1人1人と入居前にお話をさせていただいており、皆様が「プロトタイプ」に繋がる種や、挑戦したいことを持って入居を決めてくださいます。
ですが、現業で日々忙しくしていたり、いきなり1人で挑戦するのに躊躇したりと、あと一歩踏み出すのにハードルがある方が多くいらっしゃるということです。
FLATSでは「ビジネスで成功した」「起業をした」をゴールには設定していません。
新しいことに挑戦したり、ここで出会った人と何かを試してみることが重要で、人生の中でそうした経験をたくさん積むことに価値を置きたいと思っていました。そのため、入居者の方には何が何でもプロトタイプすることを強制したり、ガチガチのプログラムを組むようなやり方をしてきませんでしたが、それだと少し物足りなさを感じる方もいらっしゃったようです。
そっと背中を押すという、その塩梅に悩みました。
スタジオ利用のハードルを下げる
2024年2月、Studioスナックを使って、入居者による「FLATS SNACK ゲスト店長」という企画を始めてみました。
入居者の方と会話をする中で、「バーの店長をやってみたいけれど、食品衛生責任者の資格が必要なので実施ハードルが高い」という声がありましたので、我々が現地でサポートする形で、誰でも立ってもらえるようにしました。
とても好評で、スタジオ利用のハードルを下げることの大切さを実感しました。
スタジオを一定範囲内で使い放題できるサービスに変更
そこで、FLATSが二年目を迎えるにあたり、スタジオの利用のしやすさを向上し、よりプロトタイプを後押しするために、スタジオを一定範囲内で使い放題できるサービスに変更しています。
現在入居されている方へのアンケートやヒアリングを実施したところ、様々な意見をいただきましたが、特に「スタジオを利用する際に都度料金が発生すると、イベントごとに収支が見合う企画でないと実施ハードルが高い」「スタジオの利用を重ねる中で、プロトタイプのアイデアを探していきたい」という声を多くいただきました。
スタジオ利用料をインクルーシブにすることで多少家賃は上がってしまうのですが、今回のプラン改定により、プロトタイプを実践/実験するための場として、スタジオを大いに活用しながら過ごしていただけると思います。
プロトタイプ支援プログラム「それ、FLATSでやってみよう」もスタート
さらに、2024年7月1日(月)〜 2024年8月31日(土)までにご入居された方を対象に、「プロトタイプする暮らし」実現のためのツールや資材など最大5万円(税込)相当分の特典をプレゼントするプログラムも実施します。
挑戦する人のそっと背中を押す、ひとつの方法です。
「それ、FLATSでやってみよう」プログラム詳細はこちら>
ダイナミックに、緩く溶け合う
FLATSは、街に開き、多様な人・アクティビティが混ざることに価値を持たせた施設であり、その象徴として設置しているのが「スタジオ」です。
入居者のみならず、想いに共感する一般の方々も集うことで、ひいては地域の新しい賑わいや学びのシーンを生む起点となることを目指しています。
FLATSの二期目では「FLATS/街」「入居者/一般」のような垣根が曖昧となり、もっとダイナミックに緩く溶け合うシーンをつくっていきたいと思っています。
まずは、資料請求からお気軽に。
みなさまのプロトタイププランをお伺いできるのを、心から楽しみにしています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?