わたくしは『ゲーム・オブ・スローンズ』最終シーズンを容赦なくヴァラーモルグリスします
(画像はHBO公式サイトから引用)
ようこそいらっしゃいました。わたくしは日々大量のテキストを執筆していますが誰にも読ませるつもりはありません。しかしつい先日、とある知り合いの阿呆が『エイリアン2』のようなとても分かりやすい映画を例にストーリーの解説を行っただけで自慢顔で偉そうにしている上、あろうことか真の女の中の女であるこのわたくしのことを指して暗に狂人呼ばわりしているのを発見して怒り心頭に発したため、やむを得ずこのテキストを公開することとしました。
問題の記事のリンクを一応表示させておきます。
よろしいですか。真の女である貴女は、このような阿呆が自慢顔で語るような解説を一切信用してはなりません。実際にわたくしの知るところでは、この記事を執筆した阿呆は、その能力が完全にたかがしれた青二才であり、その証拠に問題の『ゲーム・オブ・スローンズ』第5話を、それまでの積み重ねを台無しにして真の女の中の女であるはずのデナーリス・ターガリエン(ダニー)を粗雑に扱った末に最悪のファッション腐女子へと貶めたあの最悪の第5話を、全く正面から批判しようとしないどころか、苦しい言い訳を重ねてあの第5話を擁護する有様なのです。
ですが、あれほどまでの悲劇を目の当たりにしたのであれば、そのような阿呆の振る舞いにも多少の同情の余地がないとは言えません。それまでの長大な物語を追いかけてきた視聴者を裏切り、それまでのストーリーを完全に無意味なものにしてしまう、理不尽な死と破壊の限りが尽くされたのですから……ですが貴女も真の女である以上は、この悲劇から目をそらすことなくしっかりと向き合い、阿呆どもやファッション腐女子の振る舞いに陥らぬよう、心せねばなりません。
そしていうまでもなく、真の女の中の女であるこのわたくしは、そのような無様な振る舞いとは無縁です。ですからわたくしは今回、あの第5話の何が問題で本来はどのような展開であるべきだったかを、余すことなく貴女に語り聞かせることとしました。感謝して耳を傾けなさい。
人物像というものを深く理解なさい
まず貴女はこのことを思い返す必要があります。すなわち、登場人物の行動や決断がその登場人物の揺るぎない人物像と結びつくからこそ、ストーリーに説得力が与えられるという普遍的な真理です。もちろん、人間は誰しも矛盾や葛藤を抱えて生きるものです。ですから揺るぎない人物像というものは、どこからどう見ても同じように見える単純な人物像ではありません。登場人物が時に矛盾した行動や決断を行う場合であっても、その矛盾した行動や決断こそがその者が内に秘めた矛盾や葛藤を明らかにするのであれば、その人物像は揺るぎないものとなるのです。
また、揺るぎない人物像というのは次の点でも重要です。すなわち、もし、主要な登場人物の人物像が揺らいだままで、観客や読者から見てその登場人物が「何を考えているのか、あるいは何をしたいのかよく分からない」という印象を与えてしまうのであれば、観客や読者はその登場人物にそもそも興味を持ってくれません。この状態を放置すれば、いずれは物語自体が観客や読者にとってどうでもいいものになってしまうでしょう。
ですからダニーの行動や決断に説得力を与えるためには、その前提として彼女の人物像というものを深く理解する必要があります。
思い返せば、彼女の長い旅路は、民衆力を原動力にのし上がり新時代の覇道を進む、破壊者であると同時に慈愛に満ちた民衆の解放者であるという二面性を抱えつつも、やがては真の女として覚醒し新しい時代を切り開く運命の旅路でした。
ですから、上記のような二面性を持ちつつも、彼女の行動は一貫しています。時に罪なき者まで容赦なく残酷にドラカリスしたようにも見えますが、ドラカリスされる者は常に、古い秩序に与する者たちでした。古い秩序を破壊し民衆を解放することで民衆からの積極的な支持を増やし、支配することなくして民衆を覇道の原動力とする、そうして軍勢は雪だるま式に膨れ上がってゆく……というダニーの一貫したドクトリンとストラテジーに照らせば、民衆を抑圧するシステムの上にあぐらをかいていい目をみていた者は、たとえ死に値する罪がないとはいえども民衆の憎悪の対象であるがゆえに、古い秩序の破壊のためドラカリスされねばならないのです。全ては抑圧された民衆のため。時に彼女が怒りに駆られて派手にドラカリスする場合でも、怒りをぶつける相手は常に彼女の敵です。いうまでもなく、ダニーが罪のない民衆に向けて八つ当たりでドラカリスすることなどあり得ません。
こうしてダニーは、旧秩序の権力者に対しては徹底的に冷酷に、抑圧された民衆に対しては限りない慈愛をもってと、その二面性を使い分けながら覇道を歩んでいました。ですがダニーの根底にあるのは言うまでも無く、狂王の血などというものとは無縁の慈愛です。覇道のためとはいえ、死に値する罪のない者までドラカリスする時、彼女は冷酷な仮面の陰で人知れず苦しむのです。その葛藤がこれまで表面化して問題となることはありませんでしたが、その内心の苦しみは真実……わたくしもまた、時に彼女の苦しみに寄り添い、涙を流したものです。
ですがダニーはその苦しみを胸に秘めたまま抑圧打破の進軍を続け……ついに強大なる軍勢とドラゴンを従えてウェスタロスに上陸しました……ご覧なさい、彼女自らが決断を重ねた結果生まれた大軍団を率い、ドラゴンにまたがって先頭を進むその神々しいまでの姿を……彼女こそ、ターガリエン家の「嵐の申し子」デナーリス。鉄の玉座の正当なる後継者、アンダル人の正当なる女王、七王国の守護者、ドラゴンの母、大草海のカリーシ、焼くこと能わぬ女王にして奴隷解放者なのです。その姿を貴女もその目に焼き付けるのです……ダニーと同じく真の女の中の女であるわたくしは彼女の苦しみに寄り添い、そしてその傍らで彼女の覇道の行く末を見届けることでしょう……そのはずだったのです……そのはずだったのです……!
ここから本来の第5話がはじまります
第5話でついに、ダニーはその最大の対立者、真の女に対立する究極のファッション腐女子にして最大の敵であるサーセイ・ラニスターと直接対決することになりました。しかしこのサーセイを単なるファッション腐女子と侮ってはなりません。悪意と策略の塊ではありますが、思い返せば彼女の根底にあるのは利己的とはいえ、愛、そして、いかなる逆境にも恥辱にも耐えに耐え続けてきたことにより鍛えられた、なりふり構わぬ不屈の勝利への意思です。この一点があるからこそ、サーセイは単なる憎まれ役を超えた人間的な魅力を持ち、視聴者も心のどこかで思わずサーセイの生存を願ってしまうのです。加えて、サーセイが視聴者が呆れるほどに徹頭徹尾その利己主義を貫くからこそ、ついにはサーセイの存在自体がある種の象徴性を帯び、そしてサーセイとダニーの対立が同時に人間の根本的な価値観における対立のメタファーたりうるのだということに、貴女は十分に注意を払いなさい。
さて、そんなサーセイですから、彼女の不屈の意思からすれば、キングスランディングが包囲され、ユーロン・グレイショイの艦隊も巨大クロスボウもあっさり撃破されてもなお、鐘を鳴らして降伏することなど全く選択肢に入りません。ついにキングスランディングで地獄のアーバン・ウォーフェアーが始まってしまうのか? という緊迫した一時の膠着状態の中、この土壇場でサーセイは使者を立てて交渉を試み、最後の奥の手を繰り出します。
「デナーリス、貴女の実力は私も認めましょう。ですから、ラニスター家の存続と従来の領地を保証するのであれば、私も潔く鉄の玉座から退いてさしあげます。ちなみに、私のいる城だけをドラゴンで攻撃して私を殺せば済むと思っているのなら大間違い。こちらはありったけのワイルドファイア(注:例の緑色爆弾です)をかき集めて城に仕掛けた上で、赤の王城の敷地内にあわれな民草を詰め込めるだけ詰め込んであります。鉄の玉座と罪のない民草を道連れに私を葬る覚悟がないのなら、安易にドラゴンで私を攻撃するのはやめておくことね」
この期に及んで何という図々しさ! まさしくファッション腐女子の面目躍如というべき卑劣さです。ですが感心してばかりもいられません。ミッサンディを失った悲しみと怒りのままに艦隊や巨大クロスボウを焼き払っていたダニーをなんとかなだめすかし、またもや会議が始まりました。深刻なジレンマを前に、諸侯の議論は止む気配がありません。
無理に力攻めをすれば王都に大きな被害が出ることは必定。あのサーセイのことですから赤の王城のみならず市街地にも別の卑劣な罠を隠しているかもしれません。市街戦で民衆に大きな被害を出した挙げ句にサーセイを取り逃すようなことでもあれば、サーセイのことですから民衆の被害の責任を全部ダニーたちに被せるプロパガンダくらいは朝飯前でしょう。
無論、サーセイの要求を飲めば何の被害も出さずに当面の問題は解決します。ですがその場合は、サーセイを無傷で野に放つことになります。そうなれば、ラニスター家の豊かな領地と豊富な財力を使い、ほとぼりが冷めるのを待ったサーセイは必ずや再起を図り、ジョン・スノウとダニーを離間させてジョン支持派を煽るといった陰謀に手を染めるでしょう。将来再びウェスタロスを二分するであろう、危険な戦乱の種を植えることになってしまいます……すっかり陰謀が板についてきたサンサ・スタークが、暗にサーセイの助命に賛成するかのような態度を匂わせるなどするため、会議の行く末に不穏な暗雲が立ちこめます……
ですが実はもう一つ、事態の打開策があります。誰よりも先にその危険に気付いたティリオン・ラニスターは、敢えて自分から提案します。
「諸名家の方々の前でこのような意見を申し上げるのは心苦しいが……もし仮に、サーセイのみが密かに弑されたとすれば……?」
ざわつく諸侯。ティリオンの予想通り、いきり立った様子でダニー支持の諸侯の一人が反論します。
「かような卑劣なる手段、女王の覇道によこしまなる影を落とすだけである。鉄の玉座に座る者は、その支配の正当性のためにこそ、威光に影が差してはならぬのだ」
「小鬼」を罵るささやき声があちこちから聞こえる中、ティリオンは引き下がって見せます。こうして既成事実が生まれ、今後再びサーセイの暗殺が検討されることはなくなりました。ですがティリオンは知りませんでした。人知れず何処へかと姿を消していたアリア・スタークの秘めたる目的を……
……深夜にわたる議論の末、ついにジョン・スノウが口を開きました。
「……このまま我らが議論を続けても埒が明かぬ。女王の御心を悩ませるのはもとより望むものではないが、決断を女王の御意志に一任することを提案する。諸名家の方々の御意見は如何」
ダニーから目を逸らし、顔を歪めて俯くジョン。反対の声は聞こえてきません。ダニーは椅子の肘掛けを無言で握りしめます……そして内心の動揺を押さえつけながら立ち上がり、宣言します。
「……あい分かった。わらわの決定は追って貴卿らに申し伝えよう。ご苦労であった」
……自室に下がったダニーは、寝台に崩れ落ちます。そしてその目は……恐怖に見開かれています……これまで古い秩序に連なる者に対しては徹底的に冷酷に、抑圧された民衆に対しては限りない慈愛をもってと、その二面性をうまく使い分けつつ運良く直面せずに済んでいた深刻なジレンマが、ついに彼女の前に立ち塞がったのです……サーセイを排除し将来の禍根を断つのであれば、これまで通り無慈悲にドラカリスをすべきです。しかしそれでは、罪のない多くの民衆の命が失われる……決断に迷ううちになし崩しの戦となって市街地が戦場になれば、もっと多くの命が失われるやも……それとも現在の王都の民衆のために、ついにダニーは古い秩序に対して妥協しなければならないのか? それでは、これまで敢えて冷酷にドラカリスしてきた犠牲の意味は……この先再び起こるであろう戦乱で失われる命は……煩悶するダニーをジョンが訪れます。最近は少ししつこさが鼻につくようになってきた、近親相姦カップル二人で悩むシークエンス……余り意味がないので省略します……そしてその頃、赤の王城ではジェイミー・ラニスターがサーセイに最後の説得を試みる……どうせサーセイは説得に応じないので省略します……そしてキングスランディングは運命の朝を迎えます……迫る究極の決断の時……ダニーはドラゴン三兄弟最後の生き残りであるドロゴンにまたがり、決意と共に飛び立つ!
朝日を浴びて輝く赤の王城。バルコニーから王都と、王都の外に布陣する軍勢を眺めるサーセイの目の前に、突如として上空から巨大な影が降ってきます……いうまでもなく、ダニーを背に乗せホバリングするドロゴンです。赤の王城の敷地内に監禁状態の民衆が、恐怖の眼差しでドロゴンとダニーを見上げます。ダニーはその光景に目を向けた後、あらためてサーセイを睨む……遂に訪れた、真の女とファッション腐女子の対立が頂点を迎える瞬間……! ですがサーセイは例のワイルドファイア壺を背景に、余裕の笑みでダニーを見つめ返します……到底、貴女には無理ね……そしてサーセイは無言で、さも愛おしそうに自らの腹部を撫でる……それを見たダニーは、何事かを悟って目を見開き、硬直……
……自分では既に決意を固めたと思っていたダニー。ですがこの時、本当に悟ったのです。罪のない命を奪うということの、その真の意味を……サーセイから目をそらし、空を見上げるダニー……ただ無言で、しばし震える……サーセイの目には勝利の確信が……ダニーは静かに瞳を閉じる……その目から流れ落ちる一筋の涙……それを見たサーセイが自らの運命を悟った次の瞬間、ダニーは喉からかすれた声を絞り出し、囁きました。
「…… Dracarys……」
こうして、最大の悲劇が他ならぬダニー自身の決断によってもたらされました……同時にダニーは決断していたのです。自ら決断する以上、自らの手を汚すことを、そして、その全ての罪をただ一人で引き受けることを……サーセイを焼き払った炎をトリガーに城内のワイルドファイアは次々と誘爆、瓦礫と炎が敷地内の無数の民衆に襲いかかる……ダニーは、その全てを目に焼き付けます……そしてその目の前で果てしなく続く死と破壊……わたくしもまた、人目をはばからずに涙を流します。わたくしにできることはただ、ダニーの背中を無言で抱きしめることだけでした……
……そして、その光景を目撃した者がここにもう一人。サーセイをヴァラーモルグリスすべく城内に侵入していたアリアです(「ハウンド」ことサンダー・クレゲインの扱いを少し工夫する必要がありますが、ここでは省略します)。ついに彼女がサーセイを視界に捉えたその時、彼女もまたその光景を目にしました。危うく爆発から逃れた彼女は崩壊する城内を逃げ惑う……命からがら建物の外に逃れた彼女は更なる地獄絵図を目撃します。城内の兵士が自分の命大事さに城壁の門を開け放ったため、今では民衆は我先にと敷地の外に逃れるべく、門へと殺到しています。人の波に揉まれるアリアの周りで続く建造物崩壊と新たな爆発……やがて彼女の頭上にも巨大な瓦礫が……
……僅かな生き残りが場外へと逃れ、赤の王城に誰一人として動く者のいなくなった光景を見届けたダニーは、キングスランディングの外に布陣する自らの軍勢のもとへと舞い戻ります……将兵の全てが、遠く赤の王城で起こった破壊の光景を目撃したことで、彼らの女王が何を決断し、そして実行したのかを悟っています。そしてその苦悩もまた無言のうちに伝わり、全軍がダニーの前にひれ伏す……
……全ての命が失われたとしか見えぬ赤の王城の敷地で突如、瓦礫がひとりでに動き、その下から亡霊のような人影が起き上がりました。満身創痍の、ですが奇跡的に命を取り留めたアリアです。しばし呆然と周囲の光景を見るアリア……やがて彼女は足を引きずりながらも歩み去っていきます……その心に、最後にヴァラーモルグリスすべき者の名前を刻んで……
第6話(最終話)予告
ついに勝者としてキングスランディングに凱旋するダニー。彼女に付き従った誰もが彼女への忠誠を新たにしたかに見えた……だがアリアは一人、女王の命を狙う……野望を秘めて密かに妹と意を通じるサンサ……それぞれの長い苦難の時を経て真の女の中の女へと覚醒したダニーとアリア。運命がもたらしたドラカリスとヴァラーモルグリスの対立、二人の真の女同士の避けられぬ対決の時……! そして、相容れることの叶わぬ二つの正義、二人の真の女の対決を前にして、ついにジョン・スノウも究極の決断を迫られる……真の最大の悲劇はまだ、訪れてはいなかったのです……!
HBOは何とかなさい
これに対して、実際に放送された第5話の問題点は最早明白でしょう。
・ キングスランディングの市街地まるごとを隅から隅まで丁寧にドラカリスする客観的必要性が全くない上、なぜそのような無意味なドラカリスをしたのか、その主観的動機も目的も不明。誰も得をしない無意味な殺戮です。
・ 古い秩序に連なる者や戦場で彼女に刃を向ける者には無慈悲でも罪のない民衆を害することはないという、それまで一貫していた彼女の行動指針が突然変わっており、従来の人物像の突然の破壊に等しい。
・ この上ない大規模な虐殺を前に彼女が葛藤した様子が見られない。
・ 実は彼女は王都で虐殺をしたいという秘密の欲求を抱えて生きてきたとでも制作者はいうつもりでしょうか? もしそうであるなら、彼女がそのような最悪のファッション腐女子であることをどうしてこれまで視聴者に知らせなかったのですか。端的に不誠実です。
・ 彼女は「こんなことをすれば臣下の忠誠心を失いやがては裏切られる」ということすら頭に思い浮かばなかったとでもいうのですか!? いい加減になさい!
・ とにかく、彼女が最大の決断を下すというのに、最大の敵サーセイとの対立構造が全く活用されておらず、第5話でのサーセイは何らのアクションもとらずに突っ立っているだけです。
・ 対立の頂点をドラマのクライマックスに位置づけた上、そして主人公の最大の葛藤と決断を見せるという常套手段をなぜ使わないのですか。
・ サーセイが突っ立ったまま時間を無駄にした挙げ句、鐘を鳴らして降伏を選ぶというのもサーセイの人物像にそぐわないものです。どこまでもしぶとく何らかの策略を行わせるべきでした。
・ いずれにしろ、この無意味な殺戮により、彼女は死んで当然の、流れからして最終話で殺されるのが予想外でもなんでもない登場人物リストのトップに載りました。彼女を殺さねばならないジョン・スノウの苦悩はともかく、殺される彼女に同情する視聴者など全くいなくなってしまったのです。こうして、物語から悲劇性が全く失われました。仰々しくドラゴンが彼女の死体を掴んで飛び立っても、視聴者としては「さっさと失せなさい」という感想しかありません。要するに最終話までつまらなくなりました。
とにかく、HBOは何らかの誠意を視聴者に見せるべきです。第5話の展開は余りにも杜撰で疑問に溢れる理不尽かつ不可解なものであり、それまで番組を追ってきてくれた視聴者への裏切りというほかありません。わたくしが詳細にお話ししたとおり、既に撮影済みの素材を活用して、最小限の再撮影で、多くの視聴者が納得できる物語に修正することが可能です(ジェイミーの扱いに関してはもう少し検討が必要ですが。わたくしなら、遂に本当にサーセイに愛想をつかしたジェイミーがアリアとハウンドの命を助けるのに一役買い、これを通じて片腕のハンディと王殺しの過去の負い目を克服するといったストーリーラインを挿入します)。
このようにわたくしは、『ゲーム・オブ・スローンズ』を愛してきた誠実な視聴者の一人として、安易にHBO関係者をヴァラーモルグリスすることを敢えて控えた上で、建設的な提案をきっちりと行いました。HBO関係者は私の慈悲を前に、五体投地してわたくしを崇めるべきでしょう。感謝なさい。