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第十章【完結】Tears of The Baddest Man on the Planet.


イライジャーとの友情が何年か続いた
ある日
残念な話しだがと、前置をした上で
イライジャーが言った
『政成、タイソンが逮捕されたよ・・・』
『タイソンが・・・ 何でだ? 何をしたんだ?』
『政成、俺の考えを話す。 実はあれからタイソンには、ニューヨークとロサンジェルスのマフィアから強力に誘われていて
その話しをタイソンは上手くかわして
今まではそれで済んでいたが、あるマフィアが大掛かりな試合を組む計画を立てタイソンはモノの見事に断ったんだ。 それから先はタイソンが危険な立場にいたのだが、マフィアから完全に逃れたタイソンに待っていたのは
【言う事を聞かないのならボクシング生命を奪ってやる】
と、脅しの言葉だった・・・
タイソンはボクシングを続けたい。
しかし、マフィアの言いなりには決してならないと・・・』
『それはタイソンが負ける試合を組むという事か?』
『そうだ・・・』
『それでどうなったんだ』
『マフィアはタイソンに女を送り込んだ。 全部仕組んだ上での事だ・・・
タイソンが怒る様に女はわざと持っていき、その女に警察に届けさせた。 全部出来レースだ、タイソンは見事に嵌められた』
『それでタイソンはどうなった』
『今から裁判が始まる。 タイソンはその女に暴力を振るっているので、プロが暴力を振るうだけで罪は重い
恐らくタイソンはこれで終わりだ・・・ 命は助かったがな』
『イライジャー教えてくれて有難う。 この話しは俺の胸にしまっておくよ』

それからマイク・タイソン逮捕のニュースが日本でも流れる様になった
タイソンは知り合った女を
無理矢理に犯そうとして暴力を振るった
という
センセーショナルなニュースであった

マイク・タイソンは文字通り、ボクシング生命を奪われた

マイク・タイソンは女好きの野蛮人だと世界中にインプットされたのだ
強姦という不名誉な罪で刑務所行きとなってしまった・・・
世界チャンピオンが刑務所に。

その期間が1年ならともかく
4年・5年ともなればボクシング人生は
終わりも同然だ

マフィアの言いなりになって八百長試合をすれば良かったのか?

断ったタイソンは、女誑しの只の男に格下げされた
メディアに嵌められたと、公表すれば命が危ない

世間は何も知らない
世間は物事の裏を見ようとはしない

俺も今になって当時を振り返りながら書いているにすぎない・・・

しかし、この小説を拝読して下さった皆様には理解して欲しい

マイク・タイソンはボクシングを愛し、負ける事が嫌いで、勝つ事だけを考えてきた
完璧な勝利・完璧な音を求めてボクシングに打ち込み、マフィアの八百長を断った立派な漢だという事実を・・・

後に、マイク・タイソンの自伝【真相】
レイプ事件の真実で彼はこう語っている

結論は決まっていた
「公正な裁判だったとはとうてい思えない。 自分が無実なのはわかっていたが、法廷の空気と検察精神構造を考えれば、
すぐにあの評決が出るのもわかった。 検察官は人種差別主義者で、世間の注目がうれしくてしかてない、卑怯な野郎だった」

4年の刑務所生活はタイソンにとって
どんなに悔しい長い長い4年間だったのだろうか?
マイク・タイソンは悔しさを忘れない為に顔面にタトゥーを入れた
それは意味無くして入れる筈の無い
タトゥー

タイソンが顔面にタトゥーを入れようと
決心したのは刑務所の中だったに違いない

昔、日本の若きマフィア
侍の舞を魅せた男の顔面には
アイライナーの刺青が入っていた事を
思い出してくれただろうか?

日本の若きマフィア
古川政成の顔面刺青をマイク・タイソンは不思議な顔で覗き込んで聞いた
『それはタトゥーか?
何故、顔に入れた?』
その時、日本の若きマフィアは静かに笑っただけだった・・・

2003年マイク・タイソンは
顔面に生々しくタトゥーを入れた姿で
リングに立った

悲しい思いを味わい
悔しさではち切れそうな思いを味わった
彼の心は俺には理解できる
日本人でたった一人。 俺だけがだ・・・
あの、世界で一番強い男
マイク・タイソンのボディーガードを
務めた俺は、たった一人の日本人なのだ
この誇りだけは俺の人生で一生の宝だ。

やがて古川政成の親分、古川政雄は他界してしまった・・・
時代と共に共存出来ない立場に追いやられた日本のヤクザ社会
二代目を継ぐと約束されていた古川政成は、親分の死と同時に堅気に成る道を選択した


そして現在、
古川政成という名前は存在しない


堅気になって初めて、この小説を書きたくなった
日本にもマイク・タイソンのボデイーガードを務めた男が居たという事を

マイク・タイソンは莫大な金が動く八百長試合を断った世界最凶の男である事実を少しでも世間に知って欲しかった・・・

【毎日がヤクザと〇〇党議員の腐れ縁】

時代は流れ、移り変わり
強気を挫き弱気を助ける。
そんな極道・ヤクザ・任侠者は少なくなっている
俺はガキの頃に愚れてヤクザの世界に入った
その時代は世間もヤクザは必要悪と理解し
生活に溶け込んでいた

しかし、現代
ヤクザを反社会的勢力として
世間は否定する様になった
俺は現代のヤクザを批判はしない。
何故ならば、俺も現代のヤクザ社会の中で生きた男の一人であるからだ



2023年1月21日
板元悦夫
享年73歳

観生院法将悦徳信士として
新たな大海へと旅立って逝った・・・


この作品は実話に基づくフィクションです
実在の人物や団体などとは
一切関係ありません

又、反社会的勢力を肯定したり
犯罪の助長をするものではありません




エピローグ

1796年4月4日

あなたはいかなる技術をもって私の全機能を虜にし、道徳的人間である私を夢中にさせたのでしょう?
まるで魔法にかかったようです。
命果てるまで消え去ることのない私の甘い恋。
ジョセフィーヌの為に生きること、それが我が人生の歴史。
あなたに手を伸ばそうと努力しています。
死ぬほどあなたのそばにいたい。
私は自分の勇気が誇りだった。
敵の悪事も悲運の最期も怖くない。
前代未聞の災難にも眉ひとつひそめず、驚きさえせず、まっすぐ向き合った。
しかし今、ジョセフィーヌの体調がすぐれないのではないか、病気なのかもしれないと考えるとき、とりわけ、
彼女があまり私を愛していないかもしれないという残酷かつ致命的な考えが胸に去来するとき、私の魂はしおれ、
血流は止まり、悲しみに意気消沈し、怒りや絶望に駆られる気力さえ残りません。

この世に未練のない男こそ最強と自分に言い聞かせてきました。
なのに、あなたに愛されずに死ぬこと、愛されていると確信できずに死ぬのは地獄の苦しみで、この身が完全に消滅してしまったような心地です。
胸が苦しくてたまらない。
我が唯一の伴侶。
私とともに人生という苦難に満ちた旅をせよと運命が命じたあなた。
あなたの心を我がものにできない日は、暖かさも植物もない乾ききった大地のようだ。
あなたの目のようにあなたを愛していますが、それだけでは足りない。
あなた自身のように、あなた以上に、あなたを愛しています。
あなたの頭のように、あなたの心のように、あなたの視覚の様に、あなたのすべてのように、あなたを愛しています。

昼も夜も、考えるのはあなたの病気のことばかり。
食欲がわかず、眠ることもできず、友情や栄光や祖国のことも気にならない。
あなた以外の世界は私にとっては消滅したも同然、もはや存在すらしていない。
私が名誉を重んじるのはあなたが名誉を重んじるからに過ぎません。
私が勝利を重んじるのは、それがあなたを喜ばせたから。
さもなければ私はそのすべてを捨てて、あなたの足にすがりついたでしょう。
私の愛しい人、どうかあなたの手紙に、以下のことを確信しているとかならずお記しください。
想像もつかないくらい私はあなたを愛していて、私の人生のあらゆる瞬間はあなたに捧げられ、あなたのことを考えずには一時間と過ぎず、
ほかの女性のことは一度たりと頭をよぎったことはないと。

いや、傑作だ!
ナポレオンの奴、どうかしている。
明々白々だろう
ジョセフィーヌはナポレオンのことを
なんとも思っていなかったんだ・・・



2024年
58歳に成った今でもリングに立ち続けるマイク・タイソン

MikeTyson VS JakePaul
@AT&Tstadium

世界最凶の男が
現代へ魅せる姿に期待したい・・・



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