日経新聞の記事が、最新データを隠して円安を防ごうとしているように読める件
はい、こんにちは。
大学の先生が言っていましたよ。何事も、疑ってかかれとね。
今回は日経新聞の記事を取り上げます。署名記事ですね。編集委員 小栗太とあります。
記事タイトルは「意外に手薄な円売りの布陣 NISA個人の海外投資は減速」です。日付は2024年11月24日11時。
この記事の中で、みずほ銀行がCFTCのデータから算出した投機筋のデータが出されました。グラフに示されているのは10/1日から11月12日までのデータです。
「投機筋が円売りに転換し、円の売り持ちが増えている」。これがこのグラフの主張です。いや待ておかしいでしょ。最終のデータは11月19日なのです。
そして11月19日のデータでは、今朝の記事で説明したように、円の売り持ち額が半分程度に低下しているのです。つまり、日経新聞の記事は、もっとも重要な直近のデータを省き、「円の売り持ちが増えている」ことを主張しているのです。
これは何を意味するのでしょうか?日経新聞が、まさかCFTCデータの更新が毎週日本時間の土曜日の早朝であることを知らないのでしょうか?最新データが出てから24時間以上経って、それを含めたデータを準備できないほど、報道機関として劣化しているのでしょうか?まさかね。
大学の先生が言っていましたよ。記事などあらゆるものは読者に印象を与えようと思っているのだ。自分が読者として得た印象は、書き手によって操作されたものだ。記事に書かれていることは事実ではないかもしれないが、書き手がなにか特定の印象を与えようとしたことは事実だ。そこを読み取れ。とね。
記事は、「ヘッジファンド以外、円の売り手はあまり見当たらない」としたり、夏場の円急騰を思い出して外貨投資をためらう個人投資家の声を伝えるなど、ドル買いをためらわせるような記述が多いのです(記事の中で、街の人の声などは、書き手が読者に与えたい印象が何か、最も容易に読み取ることができる部分です)。この記事は、最新のデータを省いてでも、ドル買いをためらわせたいと思って書かれたと解釈できます。
読者を守るためでしょうか?そうかもしれませんね。いずれにせよ、現在の状況は円安にとめどなく転げ落ちてしまう極めて危機的な状況なのです。むしろこの記事は、日本の円を守るために書かれた記事と私は思いました。
この記事はどういう影響力を持つでしょうか?日経新聞は、投資家のモメンタムに大きな影響を持っています。この記事を読んで、ドルを買ったり、米国の投資信託を買ったり、米国国債を買うのはしばらく様子を見よう…と思う読者が多いでしょう。このことによって、多少は円安を抑制する影響は出るでしょう。ただし、やはり現在のさまざまな要因による円安にむかう流れを止めることはできないとわたしは思います。
NISAの投資枠が1月にリセットされてドル需要が増え、1月の初旬には円安が顕著に進行するでしょう。これを「NISAリセットショック」とでも呼びましょうかね。
お読みいただきありがとうございました。