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私の英国物語 Broadhurst Gardens NW6 (45) RHS Chelsea Flower Show
"March winds and April showers bring forth May flowers."
ウールの pullover も、そろそろチェストに仕舞おうかという陽気になってくる5月。
毎年5月には、ロンドン南西部 Chelsea (SW3) の the Royal Hospital 敷地内で、 the Royal Horticultural Society (RHS) (英国王立園芸協会) 主催の “the Chelsea Flower Show” (公式名:The Great Spring Show) が開催される。
チェルシー・フラワー・ショーは、世界中の有名な造園家、園芸家、フロリストたちがその技とセンスを競う、世界最古にして最も栄誉あるフラワー・ガーデン・ショーであるといわれている。
1804年、英国陶器の父と称される Josiah Wedgwood の長男、John Wedgwood の提案により、7人の会員で創設された the Horticultural Society of London は、1861年、Prince Albert の a Royal Charter (勅許状)を得て、現在の the Royal Horticultural Society (RHS) となった。
RHS は英国王を総裁とするチャリティー団体であり、フラワー・ショーや所有する庭園の公開などを通して、英国とヨーロッパにおける園芸活動を促進する運動を行なっている。 顕著な功労者にはメダルを授与し、その功績を称えるなど、その活動を奨励している。
RHSは4つの庭園を所有しているが、いずれも寄贈、譲渡されたものである。
Wisley Garden in Surrey
Rosemoor in North Devon
Hyde Hall in Chelmsford, Essex
Harlow Carr in Harrogate, North Yorkshire
RHS 主催のフラワー・ショーで最も有名なのは the Chelsea Flower Show だが、他にも the London Flower Show (年4回)、the Hampton Court Palace Flower Show (年1回)、Tatton Park Flower Show、Spring Flower Show in Cardiff、 BBC Gardeners’ Live at the Birmingham NEC を開催している。
The Hampton Court Palace flower Show は1990年に始まり、1993年から RHSが運営を継承している。
The Chelsea Flower Show は、1862年、Kensington Gardens で行なわれた the Great Spring Show から始まった。
そして、1888年、Kensington Gardens (W) から、よりロンドンの中心地にある Temple Gardens (EC) へと移った。
Temple Gardens は、13世紀にテンプル騎士団が開拓した地所にあり、薔薇が有名で、シェークスピアの “Henry VI” にも登場する由緒ある庭園。
1913年、Temple Gardens で “Royal International Horticultural Exhibition” が開催されることとなったため、チェルシーの王立病院の敷地内へと移る。
それ以降、毎年この地所でフラワー・ショーが開催されるようになった。
The Royal Hospital, Chelsea (SW3) は、1692年、Charls II によって建てられた、退役軍人のための病院兼養老施設である。
RHS Chelsea Flower Show のウェブサイトを訪れると、勲章を付けた赤いジャケットの老紳士たちの姿がある。
1913年5月20日、3日間のイベントとして "the Great Spring Show" を開催。国王の訪問が伝統となる前のこと、メダルもゴールド・メダルが一つのみで始まったフラワー・ショーも、それから2つの世界大戦を含む100年以上の月日を経て、開催日も5日間となり、国王の訪問も伝統となって、国内外からの高い評判を獲得していった。
フラワー・ショーには、国内外から毎年150,000人以上もの来場者が訪れる。内覧会には、国王をはじめ、王室関係者や多くの著名人が訪れ、ロンドンの初夏の社交場にもなっている。
5日間の開催のうち、最初の2日間は RHSの会員だけに公開。
また、最終日の16時からは会場に飾られた花々がセールとなる。
話題の中心は華やかなガーデン・デザインが主になるが、素晴らしいフラワー・ガーデンを作り上げるための植物や道具のメーカーも、このフラワー・ショーに出展している。出展には厳しい審査があるという。
刃物の町として知られる新潟県の燕三条からもメーカーが出展しており、植木鋏や盆栽用剪定鋏などが、世界中から訪れた園芸愛好家の興味を引いているそうだ。
入場券は、前年の9月から販売される。全日、半日 (15時半から入場)、食事付など色々なタイプのチケットが販売され、全て前売りのみ。
チケットの価格は、販売当初は£19~£49のところ、年が明けるとこの価格は段階的に値上がりし、開催日が近づいてくると倍以上の価格になるが、それでも、その頃には既に完売になっている曜日もある。
開催前から盛り上がりを見せるチェルシー・フラワー・ショー。
お手頃価格のチケットの購入を逃してしまっても、期間中はBBCが特番で放映するので、自宅でも楽しむことができる。
夕食後にミセス・マーティンと紅茶をいただきながら、テレビでフラワー・ショーを楽しんだ。
フラワー・ショーは、5つのカテゴリーに分かれており、それぞれに Gold、 Silver-gilt、Silver、Bronze の賞が授与される。
Show Gardens
Sanctuary Gardens
Container Gardens
Balcony Gardens
All about Plants
ガーデン・プランには、英国の人々に人気の旅行先である地中海風の艶やかなガーデンであったり、盆栽がコンセプトになったもの、自由な発想による斬新なデザインなど、その年代に応じてデザインの傾向があるというのも興味深い。
近年では、持続可能で eco-friendly な工夫を施したデザインとなっているか、というのも審査の対象になっているという。
2024年は、5月21日から25日にかけて開催される。
今年も厳しい予選を通り、プロジェクトを組んで栄誉あるチェルシー・フラワー・ショーに参加している、これまでに11個のゴールド・メダルを受賞し、エリザベス女王に「緑の魔術師」と称された、ガーデン・デザイナー石原和幸さんの活躍が注目されてる。