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私の英国物語 Broadhurst Gardens NW6 (14) 銀行預金口座の開設
ロンドンで生活を始めて数週間が経った頃、東京銀行 (現 三菱UFJ銀行)に預金口座を開設するために金融街 The City へと出かけた。
シティはロンドンの起源となる地域で、広さは約1マイル平方のごく狭い地域。 ここには St. Paul's Cathedral があり、Bank of England をはじめ、London Stock Exchange や国内・外の銀行、証券会社、保険会社が密集する英国の金融の中心地である。
West Hampstead から地下鉄 Jubilee Line で一駅 Finchley Road で地下鉄 Metropolitan Line に乗り換えて Moorgate で降り、駅前の大通りを渡って Finsbury Circus へ。
円形の広場には樹木が植えられ、ビジネス街の喧騒に憩いを与えている。
この広場に沿って建つビルの一つに東京銀行ロンドン支店がある。
ビルの一階にある支店は、ガラスで仕切られた窓口が2つ、常時 teller が窓口にいるわけではなく、ブザーで呼び出すという、小さな出張所のような雰囲気。
ガラス張りのカウンター後ろのバック・オフィスから出てきた日本人の女性行員から新規口座開設の申込書をもらい、筆記台で必要事項を記入し、パスポートと現金と一緒に渡すと、行員はバック・オフィスへ入っていった。
個人は、普通預金口座しか開設できない。しかし、日本からの送金の受け皿口座のために持っておくことは、なにかとトラブルが多いと聞く英国の銀行へ直接送金するよりも安心できる。
また、東京銀行は、Oxford Street から Mayfair に入ったところの Hanover Square にも支店があるので、入・出金の際にシティまで行かなくてもいいのが利点。
ハノーヴァー・スクエアには、日本航空のロンドン支店や免税店、日本食レストランもあり、在英日本人や旅行者には馴染みのエリア。
特に待たされることもなく、口座番号を記入した2つ折のカードと領収書を渡された。 預金通帳はなく、残高を知りたい時は、窓口でカードと共にその旨を言えば、印字した記録をくれる。
その後、しばらくの間、必要になればハノーヴァー・スクエア支店に行っていたが、わざわざオックスフォード・ストリートまで出かける不便さを感じはじめたので、英国の銀行に預金口座を開くことにした。
地下鉄のウエスト・ハムステッド駅周辺には、National Westminster Bank (現 NatWest) と Midland Bank (現 HSBC)」があった。
フラットから一番近いということもあって、ブロードハースト・ガーデンズの入り口に建つナショナル・ウエストミンスター銀行を選んだ。
いつもは前を通り過ぎている National Westminster Bank, West Hampstead Branch へと出向く。
重い木製の扉を開けて店内に入ると、窓口が3つと応接室という住宅街の小さな支店という雰囲気。 カウンターのガラス越しにテラーに新規口座開設の旨を告げ、 Current Account と First Reserve Account の新規口座開設の申込書をもらう。
カレント・アカウントは、小切手の決済用当座預金口座。 日本では個人の当座預金口座の使用は(特別な場合を除いて)できないが、こちらでは少額の支払いでも小切手を利用する。
Debit Card が発行されるので、cash machine で引出しができるし、買物の時にも使うこともできる。 ファースト・リザーブ・アカウントは、定期預金の中でも£1からできる定期預金で、引出しも自由にできる。 Fixed term savings の方が利率が高いが、期間と最低預金額が決められている。
必要事項を書き込み、Referee は、ランド・レディーのミセス・マーティンにお願いした。
後日、パスポートを持って、窓口に申し込みに行く。
数週間ほどすると、カレント・アカウントの Cheque book、Paying-in book、Debit card とファースト・リザーブ・アカウントの Paying-in book と Cash card、それに新規客へのご案内パックと一緒に Statements binder が送られてきた。
Bank Statement は、月一回の発行。 これから毎月送られてくる明細書は、このバインダーに保存。 PIN Number (Personal Identification Number) 暗証番号は、予め銀行側が決めてくるが、後で自分の好きな番号に変更することができる。
数年後、ウエスト・ハムステッド支店は支店の統廃合で、閉店されることになった。
口座保有者は、転籍する支店を指定して下さい、ということで、私は迷わず、Finsbury Circus の入り口にある Moorgate Branch を選択。
この支店は金融街の大きな支店で、店内にキャッシュ・マシンもある。
後に通った大学がシティにあり、このあたりは、既に通い慣れた場所になっていた。