![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/170401378/rectangle_large_type_2_a599ec45e483d29216fde0df9d918a77.png?width=1200)
年齢を重ねるということ〜『全悪 警視庁追跡捜査係』に寄せて
「追跡捜査係」シリーズも長くなりました。現在進行中の各シリーズの中で、最長を更新中。
「ランティエ」での連載開始が2009年、シリーズ一作目の『交錯』出版は2010年だから、もう15年、続いていることになる。出版年と本の中の出来事が正確にリンクしているわけではないが、沖田も西川も50歳はとうに超えている。沖田はまだ現役感バリバリ(と自分では思っている)だが、西川は定年後のことを考えるようになってきた。
そんな中、最近「若手に教えて」という話が多くなってきた。さらには「他県警にもレクチャーを」ということで、自分たちの「本業」とは関係なく動くパターンも出ている。今回も、ストーリーの一つは、そういう若手への実地研修という形で始まる。
シリーズが始まった当初は40代だった二人も、今ではすっかり、後輩たちの手本になる年齢になってきたということか。
私はどのシリーズでも、時間を動かす。登場人物は歳をとり、異動もある。例えば失踪課の高城賢吾は、既に退職した。「ラストライン」の岩倉ガンさんは56歳。最近ご無沙汰だが、鳴沢了は今年52歳(!)になる。総合支援課シリーズの柿谷晶はまだ30代だが。
追跡捜査係の二人は、引き取り先がいないのか(?)、異動がないままずっと同じ部署に居座っている。65歳まで伸びた定年まで務め上げるのか。辞めたら、西川家で計画しているように、静岡で喫茶店を開くことになるのか。長い間シリーズを続けてくると、本来の事件捜査以外の部分で、考えることが増えてくるものだ。(堂場瞬一)