インフルエンサーじゃない私が、「インフルエンスが求められる局面」に立たされたときどうするか、どうしたか。【第一部】
先日、NETFLIX プレゼンツ「ロスト・イン・スペースを観ながら騒ごうの会」というイベントにお招きいただきました。
これですね↓
NETFLIXのオリジナル新作シリーズ「ロスト・イン・スペース」の第1話と第2話を、ツイッター界のスーパースター田中泰延さんや、石田三成CMの作者としても著名な藤井亮さん、「JK用語で鶴の恩返しを読んでみた」の(「思考のスイッチ」の著者でもある)西島編集長、鋭い映画批評を展開されているライターの加藤広大さんと一緒に青山にあるNETFLIX本社で観覧しよう、というものです。
イベントそのものに関しては、田中さんの以下の記事↓をご覧ください。(ネタバレなしでこの斬れ味、さすがです)
で、もちろんイベント自体とても楽しかったのですが、ツイッター界きってのインフルエンサー田中泰延さんが関わっていらっしゃるイベントを間近で見られるまたとない機会でしたので、一応マーケターの端くれである私の視点から少しだけこのイベントに関する考察(主にはイベント最中および事後のSNS施策に関して)をまとめておきたいと思います。
「スピーカー」としてのインフルエンサー
最近はさすがに減ってきたと思いますが、それでもいまだにインフルエンサーを絡めた施策において、彼ら(=インフルエンサー)から直接にイベント/商品/サービスに関する情報を、彼らのフォロワーに対してSNSプラットフォームを通じて発信してもらう、という(悲しい)事例を目にすることがあります。(私からすると「なんにもわかってない代理店を選んじゃった」という「事故」にしか見えませんが…)
ちなみに私はこれ↑を「インフルエンサーのスピーカー型活用」と呼んでいます。イメージとしてはこんな感じ↓
でもこれ、施策の中心にくる商品とインフルエンサーの専門領域がガッチリ結びついてないと効果が薄い、というか出ないんですよねほとんど全く。
先日も某地方公共団体のインバウンドマーケティング担当役員の方と会食した際に「香港のインフルエンサーを紹介されて大枚はたいたんですけど惨憺たる結果で…インフルエンサーマーケティングってのはあれダメですねー」って話をうかがったのですが、まぁ、そのやり方では正直、難しいでしょう。その香港のインフルエンサーその地域の観光に全く興味ないと思うし。
かといって、いつもいつもドンピシャなインフルエンサーが見つかるとも限らないわけで、とするとどうすればいいのかなぁ、と。世に拡散悩みの種は尽きまじ、ですなぁ。ニントモカントモ…。
スピーカーではなく「アンプ」としてのインフルエンサー
これに対して、今回のNETFLIXイベントチームは「インフルエンサーのアンプ型活用」作戦をとっていました。
どういうことかといいますと、こういう感じ。
イベントに関する好意的なツイートを我々(=non-インフルエンサー)にさせておいて、それを田中さん(=インフルエンサー)が拾ってRTしていくという流れ、ですね。
これ、PA卓(ライブ会場の真ん中あたりで音響を調整しているアレです)の仕組みがイメージできる方ならより伝わると思うんですが、インフルエンサーが全体のバランスを見ながらnon-インフルエンサーのツイートを拾っていくことで、音の大きさ(=拡散量)と音の質(=メッセージ/訴求の内容)の両方を効果的にコントロールしながらアンプリファイできるんですよね。さすがはツイッターを知り尽くした田中泰延さんです。(一応、PA卓のイメージも貼っておきますね↓)
で、肝心の結果はというと…
まずは、「#ネトフリ」がトレンド入り!続いて、
「#ロストインスペース」もトレンド入りを果たしています。高畑勲先生の訃報を受けての「火垂るの墓」裏でこの快挙。
あの指南役(@cynanyc)先生もご指摘のとおり、20数名の参加者で、ツイッターのトレンド入りという偉業達成となりました↓
ちなみに、拡散だけでなく、こちらのリンクをご覧いただくと↓
イベントの事後に及んでもバラエティ豊かなツイートが上がってるのが見てとれるかと思います。
そう。インフルエンサーがスピーカー的に動いてしまうと「褒めポイント」の訴求が一本調子な手前味噌(=言いたくないけど広告的)になってしまいがちになるところを、アンプ的に動くことでオーガニックに多面的な「褒めポイント」の訴求が可能になるんですよね。これは、今後、「広告」の力が衰えてよりオーガニックなコミュニケーションがカギになってくる情勢の中で非常に重要なことだと思います。(本当にとてもとても重要だと思っているのでこれについては機会を改めてまた詳しく書きます絶対必ず。)
さらに、注意深くツイートを追って見てみると、「イベントには参加できなかったけど田中泰延さんのファン」という方々も「#ロストインスペース」に添ったツイートで絡んでくださっている=インフルエンスに貢献してくださっている、というのもお判りいただけるかと思います。
ちなみに、今回のこれって私のSNSの師匠である jigen_1さんのこのお言葉
Twitterのオーガニック運用をしっかりとやれば口コミは増やせるし、ブランディングはできるんです。
の(瞬間最大的ではありますが)足がかり的裏付け事例にもなっているのではなかろうか、と思っていますがいかがでしょうか。(ちなみに元記事はこちら↓必読です。)
と、ここまで書いたところで一旦、【第一部】のまとめ
長くなったので一旦まとめます。ふぅ。といっても一言ですが。
インフルエンサーのパワーをスピーカー的に活用するのはいろいろ制約条件があるので難易度が高いですが、アンプ(/PA)的に動いていただければ、多面的な「褒めポイント」を効果的に訴求することが(ことも)できる。
ということは、このような状況に置かれた場合、インフルエンサーではない私のような人がとるべきアクションは「アンプが拾いやすいような音をガンガン出す」こと、に尽きます。当たり前のことのように聞こえますが、これ、本当に大切なことで、その場にいくとなかなかできないものなんですね。どうしても縮こまってしまう…。まぁ、もちろん一次情報を発するnon-インフルエンサーの人数によっては自分でバランスを考えて多様な内容の発信を心がけたほうが好ましいってこともあるにはあるんですけどね。
でもそこってじつはイベントの主催者側がケア(設計)するべきポイントでして、主催者(=招待する側)が事前に参加者の普段の発信の傾向を見て招待者のポートフォリオを組んでおきさえすればいいだけの話。あとは発信者の方々に「アンプが拾って拡散してくれるから自分は自分の気持ちいい音を出せばいいや」って思ってもらえれば、より全力かつ自然な発信ができるようになる=結果として盛り上がることになるので、結局みんなの幸せにつながります。
ちなみにユーザーエクスペリエン設計に関するコンサルティングを本業とする私としては、単にユーザー(参加者)の方の「気持ちよかったー」「楽しかったー」の醸成だけではなく、そのポジティブなエネルギーがきちんと主催者側のメリット(=KPI)につながるというレベルまでをプロがやるべき「UX設計」と考えていますが、そこまでの話ができる人ってまだあんまりお会いしたことがないので共感してくださる方、飲みにいきましょう。
というわけで今回はここまで。
次回は、このイベントの中でもうひとつ私が頼まれてもいないのに投入してみた施策についての考察をしてみようかと思っていますが、(まだなんにも書いてないので…)この記事に対して「スキ」「フォロー」「サポート」などいただけるとさらに書く気が湧いて参りますので、アクションしていただけたらうれしいです。
あ、あと、「スキ」していただいたときのメッセージのバリエーションもたくさん作ってあるのでよろしかったらためしに押してみてください。
では、また。