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子どもが産まれるということ① - 受け入れがたい現実
今回、初めて子どもが産まれて、気づいたことがある。
どんな家庭でも、出産については何らかの苦労があるということだ。
みんながそのことを周囲に言わないので、知ることがないだけだ。
今回の出産で、自分の知り合いにいろいろとアドバイスをもらって、
その人が出産の時にどんな苦労をしたか、初めて知り、発見があった。
人には人の乳酸菌だ。
人の苦労の話を聞いて、自分たちはまだ良い方だ。
と心の支えになったりした。
僕の話も今後の誰かの参考、心の支えになれば幸いである。
それでは始めようと思う。
といっても、出産について、どこから話をしたら良いか。
何とも悩ましい。
高校生の時から、将来は結婚をして、子どもがいる家庭を持ちたいと漠然とイメージしていた。
当時の僕にとっては、それはあくまで夢に近いような話で、現実味を帯びていなかった。
出産について現実的に考えたのは、今の妻と、僕が結婚をするかどうか考えていた時だった。
妻は僕の7歳年上であった。
当時、僕は29歳、妻は36歳であり、結婚したら、高齢出産になるのは既にわかっていた。
もしかしたら、子どもができない可能性もあると頭に浮かんだが、
将来のことは誰にもわからない。
そうなったらそうなった時に考えようと結婚することにした。
こうして、2017年10月に籍を入れた。
当時の僕はコンサルの仕事をしており、深夜1時や2時に帰宅することも多かった。(当日の様子は以前、noteでも書いた)
徹夜で仕事することもあり、朝シャワーを浴びるためだけに家に帰ることもあった。
妻の年齢のこともあり、妊活について、あまり時間がないのはわかっていた。わかってはいるけど、子作りに必要なコトをするには体力も必要だ。
深夜帰りで疲れ切った僕を見て、妻も申し訳なさそうだった。
誰が悪いでもない、仕方のないことだった。
そんな日々が長らく続いた。
結局、妊娠はせず、妻は都内の不妊治療の病院を調べ始めた。
”不妊治療”
名前だけは聞いたことがあった。
その名の通り、子どもがなかなかできない人たちが行くところである。
最初は良いイメージではなく、正直、僕はあまり乗り気ではなかった。
僕の年齢で不妊治療に行くというのは少し早い気がした。
何よりも、そこに行くということは自分が不妊であるということを認めるようなものである。
自分の男性としてのプライドに触った。
なかなか乗り気になれない日々が続いた。
しかし、時間だけが経過した。
日に日に、焦りが増した。
自分のプライドのために子どもを諦めるわけにはいかない。
ついに不妊治療の病院に行くことにした。
ある日の平日。
仕事は午前休みをもらって、
木場公園クリニックという有名な不妊治療の病院に妻と行った。
初めての不妊治療の病院であったが、到着するなり、受付で僕はびっくりした。
病院には平日にも関わらず、自分と同じような夫婦がズラッと待合室で待っていた。見た目は30代後半くらいだ。僕はもっと年上の人達を想像していた。
普通の病院の待合室は、体調の悪い人がいるので、雰囲気は暗い。
不妊治療の待合室には多分体調の悪い人はいない。
しかし、みんなの表情は暗く、雰囲気もなんとなく暗い。
それでも諦めることなく、希望を持って、この病院に来ている。
それが見ていて伝わってきた。そして僕たち夫婦もその中の一組であった。
子どもをどんなに望んでもできない夫婦がいる。
一方で、望んでないのに子どもができる夫婦もいる。
世の中、不平等だと思う。
しかし、それはどうしようもないことだ。
しばらく待っていると僕の名前が呼ばれて、自分の番になった。
今回の目的は、夫婦が妊娠しやすい状況か調べる初期検査であった。
男性の僕は採血をして、精子も調べることになっていた。
受付でプラスチックの容器を渡された。
このプラスチックの容器に精子を入れて、
上のフロアのカウンターで提出してくださいとのことである。
精子?
小便であれば、健康診断にみたいにトイレで簡単に採ることができる。
精子は、どこで出したら良いかわからない。何より時間がかかる。
すると、精子はあちらの個室で採ってくださいと案内された。
そのエリアに行くと、カラオケボックスみたいな個室がいくつも並んでいた。上には手術室のように使用中と赤いランプがある。
部屋に入ると、何とも言えない雰囲気であった。
窓のない部屋の真ん中にリクライニングの椅子、テレビ、DVDプレイヤー、横の本棚にはエロ本があった。また、衛生のためにアルコールなどもあった。精子を採るためだけの部屋だった。
エロ本は少し古く、僕の趣味ではなかったので利用しなかった。
僕は、ささっとコトを済ませて、
プラスチックの容器に入れて、上のフロアのラボに持って行った。
ラボに着くと、女性の研究者らしき人がおり、
僕の目の前で、プラスチック容器の僕の精子の量を確認された。
僕はその様子に少し照れてしまった。
見ず知らずの人に精子を見られたことはない。
しかし、女性は照れやエロさも一切ない、研究者の眼差しだった。
検査は以上で、結果は後日伝えるので来てくださいと言われた。
そして後日、夫婦で病院に行って医師から検査の結果を伝えられた。
僕は妻の方が年齢が上なので何か言われるのは妻だけだろうと思っていた。
しかし、実際は違った。
検査の結果、僕は奇形精子症であることが判明した。
一言で言うと、正常な精子の数が平均よりも少ないということである。
もともと、健全な男性でも精子の中に含まれる正常な精子は非常に少なく(4%以上いれば正常)、奇形精子がほとんどを占めている(96%)。
奇形精子症はその正常な精子がさらに一般的な人よりも少なく(1%~2%)、奇形精子の割合が多いことを示す。
完全に妊娠ができないわけではない。
世の中には奇形精子症だと気づかずぬまま妊娠できて、その問題に気づかない夫婦も多いらしい。妊娠には正常な精子の数が多ければ多いほど確率が上がる。確率の違いである。
医師によると、原因はストレスや生活習慣の影響かもしれないとのことであった。
確かに当時の僕は仕事で毎日夜12時以降に帰宅をして、場合によっては徹夜もあった。しかも、NPOの活動もあったので、深夜に帰宅して、さらにそこからNPOの仕事をするという日も多かった。
今、振り返っても、人生で一番、生活習慣が乱れていた時期であった。
理由は何であれ、
精子が少ないというのは男としてはショックだった。
まさか自分に原因があるとは思ってもいなかった。
医者に治すには何をしたら良いかと聞いた。
回答は運動や生活習慣の改善と漠然とした回答であった。
また、それをやったからといって劇的に改善するかどうかもわからないとのこと。
そもそも、具体的にこうしたら良いというのは、医師でもわからないらしい。
ただ、一つだけ明確なのは年齢が上がれば、上がるほど妊娠をしづらい。
この記事を読んだ30歳以上の夫婦に伝えたいのは、
とりあえず、不妊かわからなくてもまずは早く病院に行くことをオススメしたい。
不妊の体質とわかれば、早く知って対策を打つことができる。
不妊ではないとわかれば、精神的に余裕を持つことができる。
検査をやらないよりもやった方が得である。
その事実を早く知っておくことで、子どもを持てる可能性が高まると思う。
世の中には子どもを持ちたくても持てない人がいる。
今回、僕は無事に子どもができたが、早く行くべきだったと後悔している。
高齢の妻、そして正常な精子の少ない僕。
こうして僕たちの妊活が始まった。
つづく
つづきはこちら
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