写真家・幡野広志さんのワークショップに行ってきた。
写真を趣味で4年くらいマイペースに続けてきた。去年にRAWを知ったぐらいなので、写真の知識は全く知らない。
そんなときに写真家である幡野さんが、初心者に向けた、写真を誤解しないためのワークショップをするというのだ。考え方や知識を学べるいいタイミングだったから行きたいと思った。
幡野さんのことは『なんで僕に聞くんだろう。』をきっかけに写真や文章を好きになり、ずっとTwitterをフォローしていた。
申し込み当日、ワークショップの枠は秒で埋まった。ありがたいことに、わたしは運よく潜り込めた。「え、これはいけたのか? うそ、いけちゃったんだ。マジか」ワークショップに参加できる実感がわかなかった。たぶん会場のみなさんも似たような気持ちだと思う。
好きな人から学べると思うと、本当に楽しみで嬉しかった。
当日会場に着くと、幡野さんはわたしが座った席の左斜め前に背中を向けて座っていて、アシスタントの方とお話をされていた。
「うお、本物の幡野さんだ。幡野さんの本を持ってくればよかった……」とか、ごにょごにょと心のなかで言っているうちに時間になり、ワークショップが始まった。
写真を撮る際の心得をスライドも交えて話してくださった。
「親しい関係性ほど離れる。会話の距離と写真を撮る距離は違う」
友達を撮るときに、会話の距離で撮ることもあり、「近かすぎたな」と反省。カメラを向けられるのはストレスなので、できるだけストレスを軽減させなければならない。撮られている意識をできるだけさせないように。
「写真は言葉にならないことを伝えるためのものじゃない」
どうして撮ったのか、エピソードを言葉で伝えることで、伝わる写真になる。
そういえば、ピカソが絵画を売る際は、画商に絵を描いた背景を話していたと聞いたことがある。見ただけではわからなかった絵が背景を知ると、途端に見え方が変わる。伝えたいことを伝えるための言語化の部分をピカソは怠らなかった。それと一緒だった。
「好きなものを重ねる、誰か好きを真似してはいけない」
この言葉にハッとする。誰かの好きが、じぶんの好きと同じであるわけがないのに「あの人が撮ってるから撮らなきゃ」という心理に陥りがちになる。
参考にしている人が見ているもの。何年に1回の月食をみんなが撮るから撮ったもの、バエやハエの写真。そういうのは見返さないで終わることがほとんど……。
好きな人 + 好きな場所 + 好きな… = 好きな写真
じぶんの好きを重ねることで好きな写真になる。好きなものを撮り続けよう。
「思わずみたものを撮る。考えない。それくらい気軽でいい」
当たり前なのかもしれないけど、写真家さんは撮る枚数が比べ物にならない。呼吸をするように撮っている。
現像を教えてもらう時間に、幡野さんの写真を会場のみなさんと一緒に見た。「久しぶりに電車に乗るなと思って、駅のホームを撮りました。それくらい気楽でいいんです」幡野さんはワークショップ前にもたくさん撮っていた。
わたしは心が動いた瞬間を記録するために、カメラを携帯しているのだけど、それでいいんだと思えた。それでもまだ「あ〜あの瞬間撮っておけばよかった……」と後悔することもあり、もっと撮れる瞬間はあると思った。
他にもカメラの画角や、設定、写真の管理、現像。写真で肉眼を再現するための考え方を教えていただき、盛りだくさんな1日だった。
幡野さんの教えを吸収したみなさんが撮った写真は「そんな場所や人や光があったんだ」と思うくらい素敵なものばかりで、撮った人の性格が表れている。撮るのもいいけど写真を見るのも楽しい。
幡野さんが「写真うまいですね」と褒めてくださったので「え? これは現実なのか? 夢なのか?」と、一瞬ときが止まった。そんなこと言われたらねぇ、わたしは単純なので、これからも撮り続けたくなります。
写真は奥深くておもしろい。
ヘタだけど、いい写真をもっと撮りたい。
【幡野さんに現像して頂いた写真】
【自分で現像した写真】
こうやってみると全然違う……。わたしが撮った写真は暗かったために、現像で写真を明るくしすぎるとノイズが入ってしまう。明るめにすることを想定して、撮るときから明るく撮ろう、とアドバイスを受けた。現像の旅は、まだまだ続きそうだ。
【他の写真たち】
ワークショップを終えて、幡野さんがTwitterで企画しているシリーズ『#誰かの写真を現像して恥ずかしいコメント一緒に返送した』を読み返そうと思う。
とっても楽しい時間でした。
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