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サヤ取り 売りと買いを同時に行う売買法

サヤ取りの魅力として株式の上げ下げの影響を受けずに利益を得る売買法です。

サヤ取りで「トヨタ自動車の株を買う」と同時に「日産自動車」とすると、トヨタ自動車が魅力的でも、日本市場の平均株価が、コロナ禍やリーマンショックのような不景気の影響を受けて急落した場合、購入したトヨタ自動車の株は大きな損失を出す可能性があります。ところが、トヨタ自動車の株価と関係の深い日産自動車を「同時に売っている」ことで、その損失を相殺するだけの利益を出している可能性も高くなるわけだ。

「なぜ所有していない日産自動車の株を売ることができるのか?」不思議に思う方がいるかもしれないが、そのような株式投資の初心者の方は「空売り」「信用取引の売り」の概念を習得して頂きたいと思います。「信用取引」とは昔からある制度であり、世界中の投資家が行っているごく一般的な売買投資法です。

またサヤ取りに関してはなぜ、サヤが伸縮するのか?疑問に思う方は「相対関数」や「本ザヤ分析」について学べば、周期的に大きくサヤを伸縮させる銘柄の組み合わせが確率的、論理的に見つけられるのだと分かりました。

ただし、どんなに素晴らしい売買手法でも、自分が設定したルールを守れず、使い方を間違えれば大きなリスクを背負うことになることになるのが投資です。初心者はこの掟を守って大負けしない売買を実践して下さい。

サヤ取りの優位性

 サヤ取りとは「売り」と「買い」を同時に仕掛け、その価格差(これをサヤという)の伸縮から収益を得る売買手法です。
例えば、中部電力の株式を売り、東北電力の株式を買い、両社の価格差がどのように動くかによって収益は変わります。サヤが縮小すると思って仕掛け、目論見どおりサヤが縮小すれば利益です。予想に反してサヤが拡大すれば損失となります。
 中部電力と東北電力の個々の株価がどのようになるかは全く関係ありません。「両社のサヤ(価格差)がどのように動くか?」だけが問題となります。極端な話「中部電力(売り)-東北電力(買い)」のサヤを仕掛けた直後に、リーマンショック級の大暴落に見舞われたとしましょう。おそらく両社の価格差はストップ安になり、数日値が付かない状態が続きます。しかし、そんな状況でも「サヤ取り」の売買法では大きな影響はありません。

中部電力と東北電力は同じ電力会社の株式になります。個別の業績に左右される部分があるとしても、同じ業界なので、株価の動きはほとんどに通ってます。そういう株式の一方(中部電力)を「売り」、もう一方(東北電力)を「買い」を行っているわけです。
 両方、ストップ安になったとしても、中部電力株の買いでは損失となりますが、東北電力株の売りでは大儲けで、損益を相殺できます。どちらかがマイナス1万円としても、もう片方はプラス1万円となりますのでプラスマイナスゼロになります。したがって、「売り」「買い」どちらか一方に仕掛けている投資家に比べて、市場全体が大きく暴落しても、もしくは暴騰しても大きな損失を受ける可能性は(リスク)は低いと考えてよいのです。

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サヤ取りにもいろいろな種類があります。
 ①サヤすべり取り
 ②両外しサヤ取り
サヤすべり取りとは先物価格が当限(納会)を迎えるころには安くなるという法則を利用して先物を売り続ける手法です。この手法を活用してユダヤ系英国財閥ロスチャイルド家やSBI証券の創業者である山崎種二が億万長者になったといわれています。サヤすべり取りのデメリットとして、売りだけの片張りであること、長期的なポジションになること、目先の暴騰に耐える忍耐力を要し、必ずしも利益を上げることが出来るとは言い切れず、アマチュア投資家には少々難しい投資法です。
両外しサヤ取りとは、「売り」と「買い」を同時に仕掛け、同時にポジションを手仕舞って(両方外して)損益を確定する売買法です。

空売りの概念

サヤ取りを行うにあたり「空売り」の概念を理解する必要があります。空売りとは、自分が実際の株式を持っていなくても、証券会社から株を借りてきて、売りたいときに売れるという制度です。仮に自分がある銘柄の株式を持っており、今後値下がり確実だと思えば、一刻も早く売りたいと思うでしょう。しかし、その株式をとても安い時に買っており、今でも十分な利益がでています。今後、株価が下がると利益が少なくなってしまうので、あわてて売却するのです。
誰でもイメージできる、ごく一般的な取引「買い→売り」というパターンです。
これに対して空売りでは、現物の株式を持っていないので、証券会社から株式を借りてきて売ります。そして思惑どおり値下がりしたところで、その株式を買い戻し、証券会社に返却します。「売り→買い」というパターンです。
株式市場というのはもともとこの2つのパターンで取引できるようになっているのです。ただし、すべての銘柄で空売りをできるわけではありません。信用取引には、証券会社と投資家との間で特別に合意した条件に従って行う「一般信用取引」と証券取引所が条件を設定する「制度信用取引」があります。サヤ取りで利用すべきは、条件が公平と思われる後者の制度信用取引だけです。制度信用取引で取引所が認めた制度信用銘柄のうち、「空売り」ができるものを「貸借銘柄」と言います。ちなみに新興市場株のほとんどの銘柄は、空売りができません。「貸株」という制度が準備されていないからです。もともと発行済株式数も少ないので、そんな余裕もないのです。

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