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バイクフィッティングってなーに?




▪️まずはインタビューから始まります




サンクスサイクルラボのバイクフィッティングは「ライダーに合わせたオーダーメイド」なんです。担当フィッターのヨシノリはバイクフィッティングに関わるようになってから10年以上です。実はフィッティングをする上でとても大切にしている事があります。

「ライダーがどんな事をやってみたいか?」
「今の現状はどうか?」

これをしっかりとヒアリングするインタビューを行います。

「少しづつ走れるようになってきたけどもっと楽に走りたい」
「距離を伸ばせるようになったからもっと速く走ってみたい」
「レースに出てみたい」
「200キロ超のロングライドにチャレンジしたい」
「今レースに参加しているけどどうもペダリングがしっくりしない」
「下りが少し怖く感じる」

雑談のような内容からアドバイスをしたり「ライダーを含めたバイクの完成形」をイメージしていきます。そしてそれをライダーと共有してから、実際のポジションセッティングに移っていきます。

クリートセッティングやサドルやハンドルの調整だけではなく、必要な場合はライダーの身体の使い方などもアドバイスしますし、ペダリングを指導する場合もあります。
ライダーのレベルによってお話しする内容も変わりますし、バイクのセットアップも変わっていきます。
数値などのデータを基にセッティングを進めていくのですが、数値や係数を一方的に当て嵌めるようなものではありません。
あくまでも「ライダーを中心としたポジションセッティング」を心掛けています。

「せっかく出したポジションでカッコよくバイクを組みたい」

こんな要望もお受けしています。折角だったらカッコよくしたいですものね。





■インタビューはライダーの動機の調査なら「フィジカルアセスメント」は身体の機能の確認

世の中バイクフィッティングサービスは数あるのですが「フィジカルアセスメント」(身体評価)の重要性はあまり語られていないように思います。フィジカルアセスメントによりライダーの身体の特徴を全体的に評価していきます。
例えば「身体が柔らかい方ですか?」こういう質問をフィッターがすると大抵の方は遠慮がちに「身体硬いんですよ」と仰います。
アセスメントを行うことにより「柔軟性が不足しているがどの箇所か」を調べていきます。股関節なのか?ハムストリングが硬いのか?これも個別のチェックによって判断していきます。
またフィッターはこの時の身体の動かし方や曲げ方などを見て、他の部分の柔軟性を判断したりもします。
また身体の柔軟性があっても、筋力によってそれを支えることが出来るか?など総合的なチェックもこの時にしています。

バイクとライダーの重要な接点になるシューズですが、シューズに包まれる「足」も当然チェックしていきます。皆さん「甲高で幅広で。。。」と仰るのですが、実はそうでは無いパターンも多いのです。歩く靴よりもタイトなサイズ合わせが必要なのがバイクシューズの特徴なのですが。。。歩く靴では問題の少ない「大きすぎる靴」を使われてるパターンもこの時によく発覚します。
クリートのセットアップもこのアセスメントを基準にして取り付けていきます。
また、足の状態を見てインソールを提案する場合もあります。あくまでも根拠を基にしたセットアップです。
悩みの種でもある「サドル」これも骨の幅を計測することで「痛い・痛く無い」などとした感覚的なものだけでなく「身体にあったものはどれか?」という事を調べる事も出来ます。

アセスメント時にフィッターはライダー全体のフォルムを外型だけでなく、機能や骨格などに基づいて理解していきます。そしてインタビュー時に打ち合わせた「ライディングの理想像」にむけて、頭の中でフォームやセッティングを組み立てていきます。
■ハンドルの落差も「アセスメント基準」低いハンドルだけがエアロじゃ無い

股関節・背部・肩などの柔軟性や筋力を確認していくと、おおよそのサドル→ハンドル落差のおおよその可能範囲の見当がついていきます。「この用途ならこれくらいまで下げられそう」「今の現状だと少し高いな」「ロングライドを考えると少しだけあげるべきかな」こんな風に頭の中でシミュレートしていきます。
ザックリ言うと「前から見て低ければ大体空力的に有利」は正解に近いのですが、その姿勢が長く維持できるかどうかは別問題です。実際に「とりあえずステムを一番下」にセットアップしたバイクよりも、少しだけハンドルを高くセットしたバイクの方が全体的にエアロフォームを取りやすい事例は沢山あります。

また股関節の柔軟性などの影響により、ハンドルを下げすぎた事によりペダリングが上手く出来なくなる場合もあります。
これに関しては通常のフィットメニューでも確認できますが、LEOMOというウェアラブルデバイスを活用したフィットメニューですと数値や画像などでも確認することが出来ます。
■インタンビューとフィジカルアセスメントは料理の時に材料を揃える作業と似ています

インタビューはライダーの意識や目標(大袈裟なものではなくてボンヤリとしたもので良いんですよ)をしっかりとヒアリングしていきます。次に行うアセスメントはライダーの身体の特徴を確認していきます。
「どんなものが食べたいか」「何が好きか」「今ある材料は何か」「今後手に入る材料は何か」これを調べた上で実際の料理に取り掛かるのに似ています。

材料を揃えて。。。調理場にキッチリと整理して並べて。。。料理(セットアップ)開始です!







■良いペダリングとは?「腰がビシッとしていて、脚が綺麗にムラなく上下に動いていること」

バイクフィッティングのプロスセスについて記事を書いていったのですが、ちょっと脱線して「ペダリング」の話をしようと思います。「速く・楽に・遠くに!」を達成したいからフィッティングに興味を持たれた方も多いでしょう。だとしたら「効率の良いペダリング」は欠かせませんし「どういうペダリングが良いペダリングか?」というイメージも大事なのです。

ペダリングに関しては多くの「◯◯式ナニナニ」みたいなメソッドが存在します。また様々なトレンドもありますね。動画コンテンツも最近では多くあります。よく聞くワードである「アンクリングが」「骨盤が」「◯◯筋が」色々ありますよね。ちょっと難しいなーなんて思ったりもしますね。ただ正直なところ理想のペダリングとは意外とシンプルなものなのです。どういう状態が理想的なのか?


「腰がビシッとしていて、脚が綺麗にムラなく上下に動いている」

これが出来ていれば大体OKです。バイクフィッティングは「これを実現する為にバイク側(シューズ・ペダル・サドル・ハンドル)を中心にアプローチする」と言う事になります。身体の動作に関わる事なので「身体の動かし方を中心にアプローチする」となるとトレーナーさんの手法と言うことが出来るでしょう。サンクスサイクルラボのフィッティングでは、良いペダリングを実践する為に必要な場合はある程度「身体の動かし方」についてアプローチする場合もあります。


■腰がビシッとしているとはどう言うことか?

少し難しい表現をすると「ペダリング時に腰部が安定していること」になります。サドル上で腰が不必要に動かない事と「無闇に固めて動かさないようにしない」と言う事が大切になります。この安定度を出す為にバイク側は「適切なサドル選び」「適切なサドル位置」によってアプローチをします。
よく選手の動きなどを例に取りながら「骨盤を意図的に動かして」というメソッドを見かけますが、基本的には意図的に動かすと言うことはありません。「動いてしまっている」事が殆どです。出来る事ならば「なるべく動いていない」のが理想的です。フィッターやトレーナーなら目視でその動きを確認する事が出来ます。

動きを観察していくと、ある程度以上の負荷が掛かってくると徐々に動いてしまう時があります。キツくなってきて力を絞り出す為にフォームがガチャガチャになるパターンですね。レース動画などで力を振り絞ったアタックシーン(当然出力は多く出ている)を切り取って「理想のフォーム」とミスリードしてしまうパターンはよくあり、低強度の時でも同じ動きを一生懸命してしまう事よくあります。


ダンシングであってもシッティングであっても「腰が安定している事」はとても大事なのです。

理由はとても簡単で脚は腰というよりも骨盤に繋がっていて、土台になるこの場所が動いてしまうと力をロスするからです。繰り返しになりますが、ここを動かしてタイミングを取ったり、無理矢理力を出そうとするパターンがありますが、なるべく動かない方が理想的です。なので「腰がビシッとしてる」が大切です。

Leomoを使用すると腰に取り付けたセンサーによって「腰の角度」「腰の上下動」「腰の前後動」を計測できます。目視での情報以上に正確に判断が出来ます。ある一定以上の負荷によって腰が安定しなくなる時に「バイクセッティングによって変えられるか」「身体的な要素なのか」を見る事が出来るのです。


■脚が綺麗にムラなく上下に動いているとはどう言うことか?

脚(太もも)を動かすことでペダルを廻す事が出来ます。安定させた腰(骨盤)についている脚を上下に動かすのですが「なるべく素早く加速して下り、なるべく素早く元に戻る」のが理想的です。股関節・膝・足首の3つがペダリングに関係していますが、素早く動いた脚の動きを邪魔しないように動かすのが大事です。「スッと下がって、スッと上がる」音にするとこんなイメージです。バイク側では「適切なサドル位置」と「クリートセッティング」「適切なクランク長」によってアプローチをしていきます。

自分も昔フィッティングをする時に「身体の使い方」について説明をする事が多かったのですが「◯◯筋を使って」という事をよく言っていました。ただ一分間に90-100回転するペダリング動作において「個別の筋肉を意識する事」はかなり困難です。なので最近は「○○筋」というワードの使い方を減らすようにしています。

ヨシノリの友人に筋肉のエキスパートであるボディビルダーからも「個別の筋肉を意識するのは難しいよ」と言う話を聞いてハッとしたのです。

これもフィッターやトレーナーは実際のペダリングを目視し、全体のフォルムを見て判別をする事が出来ます。このスムーズさも「パワーを絞り出そう」という意識が働いてくると、実際に数値が上がっていても徐々にスムーズさが失われていきます。これに関してはバイク側よりも身体側の要素が大きいのも事実です。フィッティング時に適切な無理のないサドルセッティングをする事で、脚の動きのスムーズさが増していきます。

Leomoを使用すると両脚(太もも)に取り付けたセンサーで「Leg smoothness」という指標でこれを数値として表す事が出来ます。パワーやケイデンス等の要素に関係なく「どれくらいスムーズか」を見る事ができるので、目視などの主観に頼らずに正確に判断が出来ます。当然ライド中にも確認する事が出来るので、「上手にペダリングできてるかな~?」と見ている感じですね。


■フィッティングは理想のペダリングに近づく為に全体を整えてまとめる作業

フィッティングでどう言った作業をするか?という観点ではなく「どのような状態を目指してフィットをするか?」を知って頂きたくて番外編としてこの記事を書きました。今はアプリなどでもフィッティングをするツールなどもあります。しかし「どのようなペダリング理想的か?」というイメージを持っておく事はとても大事です。骨の長さを計測したりして、計算して出すような数値を当てはめるフィッティングメソッドも存在します。「このくらいの位置になるだろう」という所までは出す事ができますし、フィッティングとしては一応のゴールには到達できます。

それとは別にフィッターやトレーナーの主観によってフィッティングを仕上げていくメソッドも存在しますね。これは「フィッターの眼力」に依存してしまう事と、フィッターの主観に偏りがある場合「目指すべきゴール」に到達できてない場合も散見します。

適宜データを根拠にフィッターの経験値や主観を使っていくフィッティングこそ理想的であると考えます。

「動きをデータとして可視化できる」これはLeomoというデバイスの魅力です。Leomoを使用しないフィットメニューもありますしそれでも「良い動き」に近づける事ができます。

その人の状態やスキルなどに合わせて、理想に近づけやすいように「あっちを立てればこっちが立たず。。。」みたいな要素をまとめ上げて組み立てるのがフィッティングであると考えます。








■「インタビュー」「アセスメント」の材料が揃ったら実際にセットアップを進めていきます


「インタビュー」「アセスメント」を経て「ライダーについての情報」が集まったら実際にバイクのセットアップを進めていきます。
フィッティングは「あくまでもライダーに合わせる作業」なのでこの2つの項目の間に「トレーニングに関する質疑応答」や「ポジションチェック時に気になった身体の動かし方に対するレクチャー」などを行ったりもします。ただこの2つの項目はマストです。

理想のペダリングやライディングに近づく為に、必要な事をライダーに合わせて施していく事を目指します。ですので「ただバイクのセッティングを弄るだけ」ではない事が多いのは当店のバイクフィッティングの大きな特徴です。




■シューズ・インソール・サドル・ハンドルなどを提案していきます

アセスメント時には坐骨の幅や様々な身体のデータを収集していきます。「サドルが何だか合わない理由」などがハッキリする時もありますし、シューズと足のフィッティングを改善する為にインソールを提案する場合もあります。また「完成車にとりあえずでセットアップされたハンドル」を幅やシェイプをより合うようなものに提案したりもします。
理想を言うならば「サドル・ハンドル全て変更!」と言う場合でもパフォーマンスに影響の大きい順番に提案も出来ます。この辺は予算に合わせてのフィットも出来ますので、気兼ねなく相談してくださいね。

基本的には「シューズのセットアップ」→「サドルのセットアップ」→「ハンドル周りのセットアップ」 という
手順で建物を基礎から組み上げるようにセッティングを進めていきます。
Leomoを使用したフィッティングの場合は「セッティングの変更によってどれくらい数値が変化するか?」「それはレクチャーのによって変化が生じたか?」「パーツやセッティング変更によるものか?」なども確認しながら作業を進めていきます。

この手順が進んでいくと徐々にライダーは「バイクとの一体感」だとか「ペダリングのしやすさ」などを顕著に感じられて、テンションが上がっていくのを感じられます。フィッティングをしていてフィッターとしても、ワクワクと気持ちが盛り上がっていくタイミングでもあります。

■最終的なセットアップが完成したらセッティングのスペックを記録していきます

セッティングが完成したらまずセッティングシートに実際のセッティングを記録していきます。Leomoを使用した場合は更に動画を撮影してデータと画像を照らし合わせながらセッティングについてのフィードバックを行います。
「どこがどのように変更されたか?」「それが実際に動きにどのように影響しているか」「今後パフォーマンスが上がった時どのような変更が必要か」こういったお話をしていきます。

必要な場合は「実走にてライドチェック」(別途5000円)をする事も出来ますので。ローラー台上では解りづらかった「ハンドリング」などを実際に確かめる事も出来ます。そしてそれをフィードバックしながらの手直しも可能ですよ。

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●バイクフィッター ヨシノリ