フアランポーン駅にて
アユタヤへ一泊二日の小旅行へ出かけたのだが、フアランポーン駅から鈍行列車に乗ることにした。
フアランポーン駅は自分にとって思い出深い。なんだかんだとフアランポーン駅近くの中華街にはよく遊びに来ていた。と言っても、中華街の近辺にはどうしても暮らす気にはなれないが、なぜか気になる土地ではあった。
駅の周辺に夜遅く行くと、イサーン地方から出稼ぎに来たと思われる割と高齢の女性が駅前の路上にゴザを敷いて、怪しげな赤っぽい色をした酒を売る路上居酒屋をやっていた。私もその居酒屋で酒を飲んだことがある。
非常に珍味な体験であった。ああ言った土着のタイというか、筋金入りの田舎のタイというのは、本場のイサーンに行かないともう体験するのは難しいことかもしれない。
久しぶりのフアランポーン駅はだいぶ静かになってしまったと思う。鉄道駅のメインというのがバンスー中央駅に移ってしまったらしいのだ。昔はもっと暑苦しく、人いきれがムンムンとしていて、椅子に座れない人たちが地面に布などを敷いて寝転がっていたような記憶がある。
今は綺麗に、静かにはなったが、熱気やエネルギーのようなものはもう感じられない。
喉が渇いたので喫茶店に行った。
懐かしい写真が飾ってあった。なんでもフアランポーン駅は100年以上の歴史を持つらしい。数年くらい前になるが、この駅から夜行列車に乗って南部の地方都市のハジャイまで行ったことがある。ロクに寝られないリクライニングシートに揺られながらの長旅だった。キツかったけど、思い出深い旅だ。
アイスティーを飲んでから切符を買いに行った。
バンコクからアユタヤまでの切符は、15バーツ(60円)だ。激安価格である。エアコン無し、扇風機付き、窓を開けて走る列車だが、それにしても安い。
昼の12時55分発車予定であった。しばらくの間、プラットフォームでのんびりと列車の到着を待つことになった。