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ホーチミン市美術館にあるインパクト大の彫刻
ホーチミンに行くと必ず立ち寄る場所がある。それは、ホーチミン市美術館であった。
美術館の外に展示されている彫刻は、いつ見ても強烈な印象を与えてくれる。
![](https://assets.st-note.com/img/1681019728992-WeaCmb7mCN.jpg?width=1200)
立っている女性は母親に違いない。その側には子供達がいる。
何と言っても、忘れられないのがこの母親の厳しそうな顔である。肝っ玉母さんなどよりももっと怖い、厳格で、強そうな表情だ。
何でベトナムでこんな怖い顔の女性の彫刻が作られるんだろうと考えていた。よく言われるのは、ベトナム戦争によって大量に働き盛りの男性が徴兵されていき、男性の数が減って、女性が増え、女性の社会進出が進んだという話だ。
こういう怖い顔をしなければならないほど、ベトナムの女性達は厳しい人生を歩まなければならなかったのかもしれない。
これはベトナムに限らず、東南アジアの職場で働く時に共通していることだが、職場においては男女平等が進んでいて、女性のマネージャーは数多くいるということだ。
現在の日本の状況は肌感覚では分からないのだが、おそらく、日本よりも東南アジアの会社のほうが女性は活躍しているんじゃないかと思う。変な差別が無いだろう。(特に、タイなどはLGBTへの差別もなく、社会全体が寛容なので、普通にLBGTの人々が職場で働いている光景が見られる。)
さて、男性である私が思うのは、東南アジアで働くときには、女性マネージャーや、女性社員といかにうまくやっていくかが問われるということである。
いわゆる職場のお局の問題にも頭を悩まされることもある。
とはいえ、先述のように東南アジアは女性の社会進出や男女平等の考え方が進んでいて、なおかつ、レディーファーストの文化もある。
ソンテウやバス、電車に乗っていても、男性が女性に席をゆずるのが当たり前の社会である。
ベトナムの職場でも、ベトナム人男性が、ベトナム人女性マネージャーに、歯の浮くようなお世辞を平気で言ってのける場面に出くわしたことがあった。
とあるオンラインミーティングの席であったが、そこには日本人も含め、複数の参加者があった。そこで、上述の男性が女性マネージャーに対して、「こんな美人と一緒に仕事出来てとても嬉しいです」などと宣ったのである。
それを聞いた女性マネージャーは、嫌だわ、恥ずかしいというような表情をしつつも、嬉しそうな笑顔を見せたので……、私は、「ああ、これなんだよな、これが日本人男性には不足しているモノだ」と直覚した。
ただ、そうは言いつつも、東南アジアの男性や、レディーファーストの先進国である西洋の男性陣などのように、女性に対してそういう歯の浮くような文句を言えるように、日本人男性が努力すべきなのか?という問題もある。
大分古い本であるが、小田実氏の『何でも見てやろう』という本がある。若き日の小田実氏がフルブライト留学生となった後に、世界旅行をする内容の本である。
その中で特に印象的だったのが、小田実氏が、西洋的なレディーファーストの文化を頑なに拒み、日本流の朴訥さや、口数の少ない男性で押し通したというような記述があったことである。
そうやって、無口な日本人男性のほうが、世界の人々から神秘がられて、認められたというのである。
もちろん、小田実氏が話を面白くするために、いわばトールテールのように書かれた作品であるかもしれないが、日本人が世界の人々に対する時の、自己の演出の仕方としてはとても面白いものだと思った。