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一人旅
今年は、年初の旅行を最後にすっかり遠出ができませんでした。
ふと旅について思いだしたことが何個かあったので書き留めておこうと思います。あの時の自分に。
大分前のことになりますが、まだコロナなんて想像だにしなかった頃、旅に出るのが好きでユーレイルパスを握りしめヨーロッパの鉄道の旅をしたりしていました。ぼくが学生だったころです。
一人旅をしていると、今でこそ割と気軽に人に話しかけたりしますが、当時はどんな間合いで人と話せば良いか気を遣ったものです。
コンパートメントが一緒になったり、美術館に入館するために並んでいる途中で前後になったり、ベネチアのセントルチアの横で船を眺めていたり、大体一人旅の「同胞」がそこはにいました。
当時は、でも一人旅をしている人に話しかけてあまり邪魔をしてもな、と思って話しかけるのを遠慮したりもしていました。はにかみ屋の日本男児君。
相手が話しかけてくれると、途中までの旅路を一緒したり、ベネチアのトリエンナーレを一緒に回ったりしていたので、やはり旅のお供は一期一会でいると楽しいということは分かった居た筈なのですが。
結局、当時は自分のコミュニケーション能力が低かったのですが、今では、大体においてそこに「同胞」がいれば話しかけるようになりました。少し話して、その人が一人で居たいのであれば、では、Bon Voyage!と言って離れれば良いのです。相手と話して、相手が何を求めているか知ろうと努める。それが意思疎通の基本なんだと生きていく中で身につけて来た訳ですね。
もちろん、相手の全てを分かることなんて無理なのですが、少なくとも知ろうと努めてみる。日常でも大切なことです。シンプルですが難しいことなのかもしれません。
あれは、モンテカルロに向かう電車を待つニースの駅でした。なかなか電車が来ないので不安に思っていた僕を、白いワンピースを着て、胸元にラメを散らしていた、多分同い年位のフランス人(と思われる)女子がにこにこしてこちらを見ていました。余りに洗練された彼女の姿とバックパッカーで小汚かった自分が気恥ずかしくて話しかけられなかったのですが、第二外国語で習った「Je veux aller à Monte Carlo.」と話しかけてみれば良かったですね、あの時の男児君。多分、質問に答えるつもりで微笑んでくれていたと思いますよ。(多分)
もう大分歳を重ねたのであの頃の様な旅は出来ないのでしょうが、また自由に世界に出れる日を待ちわびて。