タイで謎の病気にかかって入院した話
発熱
タイに住みはじめてから1ヶ月半ほど経った頃、いつものように学校で授業を受け、帰宅するとなんだか少し頭が痛い。タイに来てからコロナにかかったり、お腹を壊したりしたことはあったので、また体調を崩したかなと思い、寝れば治るだろうとベッドに入る。
翌日起きて体温を測ると、だいたい37.3度くらいで大したことはないが、頭が痛い。この時期はタイではインフルエンザが流行っているというし、ここ何年かは予防接種もしていないし、念のためその日の授業を休む連絡をいれる。
しばらく自宅で過ごすが、どんどんと具合が悪くなる。ずーっと続く頭痛と熱で動こうと思っても体がとても重く感じる。
38.5度くらいになったところでこれはやばいと思い、一応ATK(抗原検査キット)で陰性を確認したのち、日本人御用達のサミティベート病院へ電話をかける。
3週間ほど前にコロナウイルスに罹った時にPCR検査を受けたのもサミティベート病院だった。
現在、サミティベート病院では発熱外来を病院の駐車場に設けている。日本語窓口でその時の状況を説明し、コロナに最近かかり、ATKも陰性であることを伝えたが、前回と同じように発熱外来に行かなければないらしい。
前回は2時間くらい屋外で待機しなければならなかった。高熱のある中でそんなことはできないと考え、以前もらった解熱剤を飲んでもう少し様子を見ることにする。
バムルンラード病院へ
その翌日。体調はさらに悪化。流石にやばいと思い、もうひとつの有名な病院、バムルンラード病院の日本語窓口へ電話をかける。バムルンラード病院にもサミティベート病院と同様の発熱外来があるものの、事情をはなすと日本人のお医者さんが診察してくれるという。本当にありがたい。
その時の自分は頭がとち狂っていたのか39度近くある熱を解熱剤で無理やり下げ、安いからという理由でバイクタクシーで病院へ向かった。熱がある中で風邪を切るバイクに乗ると涼しくて気持ちよかったけど、真似しないでね。
病院に着くと、タイの医師免許を持った日本人の先生が診察をしてくださった。保険あるし検査全部やっちゃおうか!とか言われ、計3本くらい長い綿棒を鼻に突っ込まれ、献血もされた。
献血のおばちゃんにタイ語で話したら、日本のどこの県出身なんだ?ときかれた。
神奈川だよと言ってもてもわかっていなさそうだったので東京の隣と教えると「じゃあ、横浜に近いのね!3回行ったことあるよ!」とか言われた。横浜出身なんだけどなぁ。
元気があったら突っ込んだけど、熱はぶり返すし、血を抜かれ具合が悪くなっていたのでスルーしてもう一度診察へ。
検査結果はマラリアもインフルも陰性で、血液にも異常はないとのことで先生も診断は出ないとのことだった。めちゃくちゃ不安だけどとりあえず解熱剤入りの点滴を打ってもらい体調が回復したため抗生物質と解熱剤をもらって帰宅。先生はとても親切で、計3回も診察してくださり、翌々日には電話してくださるとのことだった。
友人にポカリやゼリー、お粥などの食料を買ってきてもらい、なんとか家で過ごすが、一向に体調は良くならないどころか熱が40度を超えることもあった。
翌日には体を持ち上げることすらつらくなり、ほとんど何も食べずに夕方までベッドの上にいた。夕方になりこのままだと本当に動けなくなるのではないかとの恐怖におそわれ、もう一度バムルンラード病院へ連絡し、6時半に再度診察を予約することができた。
病院に行く時間を見越して解熱剤を飲みなんとかBolt(タクシー配車アプリ)でタクシーを呼び病院へ向かう。渋滞で有名なバンコクであるが、その日も見事に渋滞に捕まり、病院へ到着するのが7時過ぎになってしまった。
今回は男性の日本人の先生で、遅れたにも関わらず、自分の到着を待っていてくださり診察をしていただいた。
先生によるとおそらくデング熱だろうということで入院を勧めてくださる。
バムルンラード病院は運悪く満床で、他の病院に連絡してくださり、スクンビット通りのエカマイ駅からほど近いスクンビット病院へ入院することが決まった。
高熱による寒気でぶるぶると震えていると、看護師さんがバスタオルを貸してくれる。
スクンビット病院へ入院
バムルンラード病院からタクシーを手配してもらう。バスタオルは記念に持って帰りな!と先生からもらったが、どんな記念だよ!と心の中でツッコミを入れ、タクシーに乗り込む。
スクンビット病院に着いたのは21時ごろだった。
受付に着くとバムルンラード病院でもたされた資料を手渡し、ふらふらの状態で看護師さんに話を聞かれたり、保険の書類にサインをさせられる。
ここでまたもや大きな失敗をしてしまった。タイ語で話してしまったのである。看護師さんはこちらがタイ語を話せると勘違いし、他の看護師さんや先生にこの日本人タイ語話せるんですよーと言いまくっている。おかげでその後は全部タイ語。点滴を打つ時もタイ語。レントゲンを撮るときもタイ語だった。
なぜかそのあと1時間ほど診察室で待機させられ、23時ごろにめちゃめちゃ早口のタイ人の先生から怒涛のタイ語で診察を受ける。乏しいボキャブラリーを駆使し、なんとか症状を伝える。バムルンラードの先生は通訳さんいるって言ってたのに・・・
病室まで連れて行っていただき、やっと落ち着いたかと思うと25時くらいまで立て続けに先生や看護師さんがやってくる。今思えば、色々な検査を行ったがそのほとんどが陰性だったため、なるべく多く情報を集めようとしてくれていたのだろう。ありがたい。
翌日起きると解熱剤の効き目がきれており、ひどい頭痛と高熱にうなされる。体温を計ってくれた看護師さんも驚いていた。午前に一度先生が診察しに来てくださり、コロナとデング熱の検査で陰性が出たことを伝えられる。
しかし、熱の出方や、血小板の数が減っているなどの症状はデング熱と非常によく似ているらしく、またデング熱は偽陰性の結果が出ることもあるようでデング熱でないことを証明できる検査をもう一度するよ。と言われた。ちなみにデング熱はไข้เลือดออก(kai luat ook)というらしい。
入院生活
そこから3日ほどは毎日同じような生活を送る。朝起きて体温を測り、ご飯を食べる。メニューは前日の夕方に朝昼晩何を食べるか選ぶ。タイ料理の他に西洋料理があるが、これがどうも美味しくない。
どの料理も見た目は美味しそうであるが、どこかにタイが隠れているような味がする。おそらくタイの調味料を使っているからだろうが、食べているとタイ料理が頭をちらつくのである。唯一の楽しみの食事が口に合わないのは非常に辛かった。
デング熱であるかどうかがはっきりわかるという検査は入院2日目の午後に結果が出ると言われたが特に伝えられることもない。3日目の診察で尋ねてみると、結果出るのは明日の朝だったわ〜と言われる。なんで2日もずれるんだよ!と思いながらも外国だし仕方ないか、、、とあきらめる。
結果が出るまではデング熱であるとして治療を行うらしい。そもそもデング熱は治療薬はないらしいんだけどね。
午後にバムルンラード病院で最初に診察してくださった先生から電話をいただく。おそらくデング熱であるとの旨を伝え、どんな症状が出るかなどを教えていただいた。日本語でお医者さんから直接説明していただけるなんて、本当に安心した。ありがとうございました。
デング熱じゃない!
4日目の診察の際、デング熱ではなかったことを伝えられる。先生もデング熱だと思ったんだけどなーとおっしゃっていて不思議そうな顔をしている。不安になるからやめてください。。。症状は相変わらずだし、血液検査の結果も典型的なデング熱の傾向を示しているらしい。
それにしても飲まされる薬の量が多い。症状は頭痛と発熱だけだが、なぜか下痢止めや吐き気を止める。流石に症状がないのにたくさんの薬を飲むのは嫌なので説明してやめたものもあるが、タイだと普通なのかな?
この日の午後には看護師さんがHIVの検査同意書を持ってきた。HIVに感染した際の初期症状として今回のような発熱などの症状が現れることがあるらしい。
もちろん陰性ではあると思うが、こんな検査までするほど何に感染しているかわからないというのは非常に不安だった。
この日の夜、流石に不安なことが多すぎるため、看護師さんに日本語の通訳さんいますか?と聞くと、いるらしい。。。翌日の診察の際から通訳さんをつけてもらえることになった。もっと早く聞けばよかった。マジで。
5日目にも体調に変化はなく、今まで通り頭痛と発熱の症状がある。
今日の診察はいつもの先生でなく、感染症科の先生が来てくださる。通訳さんが、HIVの検査はもちろん陰性で、先生によるとおそらくリケッチアと言う微生物に感染した可能性が高いらしい。と説明してくれた。デング熱と同じような症状が出て、検査が難しい病気らしい。熱はあと1日くらいで下がるよ。とのことだった。
カンチャナブリ旅行で感染したのかもね、とも言われた。
日本語で説明を受けることができ一安心。通訳さんは自分が通っている大学の日本語学科卒業の方らしくて後で話しかけてくれた。
午後には同級生がお見舞いに来てくれる。日本の緑茶やスムージー、グミなどを差し入れしてくれた。食べ物が残念な環境だったのでこれは本当にありがたかった。マジでありがとう。
6日目には先生がおっしゃった通りに熱が下がり前日までのことが嘘のように体調が良くなった。デング熱だと熱が下がった後に体全体に発疹が出ることが多いらしいが、そのようなこともなく、様子を見て翌日には退院できるとのこと。
退院
もう一日様子を見て退院へ。経過観察のために1週間後に受診するようにと伝えられる。体重は6キロ近く減ってしまい、体全体が細くなってしまった気がする。
痩せるのはいいけどイヤな痩せ方をしてしまった。
多くの日本人はサミティベート病院やバムルンラード病院を受診すると思うが、今回入院したスクンビット病院も安心して受診できる病院であると感じた。
日本人対応窓口は朝8:00ー17:00であり、自分のように夜に入院が決まったり、緊急で受診する場合は不便かもしれない。
でも、英語もしっかり通じるし、昼の時間帯に受診するのであれば日本人が多いエカマイ、トンローからアクセスが良く、非常に便利な病院であると思う。先生も優しいしね。
1週間後
再診でまた病院を訪れる。なぜか予約が17:30に入っており、日本語窓口閉まってるじゃん、、、と思いながらも受付で再診に来たことを告げる。今回は英語で。しかし学校帰りに寄ったため制服を着ており(タイの大学は制服があるところが多い。)なんでこいつタイ人っぽいのに英語話してんだよ。みたいな顔をされる。
パスポートと保険を出して診察室前で待機。英語頑張んなきゃな〜と思いながら待っているとなんと日本語の通訳さんが来てくれた。ありがたや。
診察室では入院していた時にお世話になった感染症科の先生が説明をしてくださる。やはりリケッチアによる感染?らしいが判断や検査が非常に難しい病気のようで詳しいことはわからないらしい。後は体調の変化がないかなどの質問をされて帰る。
最後まで良くわからないのはなんとも不安ではあるがとりあえず元気になってよかった。
海外旅行や滞在の際は楽しいこともいっぱいあるが、病気に罹ると日本にいる時と比べ物にならないくらい大変。
今回の入院費用は保険で全てカバーできたが、大体40万円前後かかった。ほんとに保険は大事。
後は病気になった時にどこに行けばいいか、元気な時にしっかりリサーチしておくことも大切ですね。
日本でも海外でも、病気にならないで過ごしたいものです。みなさんもお気をつけて。
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