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ナムトックで犬に追いかけられた話

ナムトック旅行

カンチャナブリで一泊し、翌日にはนำ้ตก(滝という意味)という場所に向かう。ここに電車で向かう途中には崖に沿って線路が敷かれている区域があり、観光地として有名だ。前日バンコクからカンチャナブリに来る際にのったあのガタガタ国鉄がより西側、ミャンマーの国境近くまで続いている。カンチャナブリから2時間ほど、タイ人の団体観光客と共に国鉄に揺られた。前日に訪れた戦場にかける橋や崖沿いの見どころでは列車が徐行し、シャッターチャンスを作ってくれる。

途中の駅で乗ってきたタイ人観光客の団体。列車は一気に満員になる。

そんなこんなでナムトック駅に到着。駅前にはソンテウ(乗合タクシー)のドライバーが待ち構えており、やれ滝に行くのかだやれ飯はどこで食うのかだの、なんでも俺に聞けだのと声をかけてくる。なんとか彼らを振り切り、友人たちが宿泊するホテルへと向かう。自分は翌日に大学で授業があるためバンコクへ帰るが、とりあえず彼らに同行してチェックインの手伝いをする。ホテルのお姉さんは英語を話してくれたため、スムーズに部屋へ案内された。ホテルに住み着く痩せこけた猫と戯れ、ホテルに併設する食堂へ向かう。

痩せこけ、目つきの鋭いネコちゃん。修羅場を生き抜いてきたのか。

食堂では辛くなさそうな料理を選び注文。ไก่ผัดกระเทียม(鳥のニンニク炒め)を食べる。元々この料理は大好きだが、ここのは本当に美味しかった。食堂の陽気なおばちゃんはタイ語のわからない友人たちに「とても美味しい」という意味のอร่อยมาก ๆ (arooy maak maak)という言葉を何度も言わせて覚えさせていた。ほとんど強制させて言わせてたよ。

サイヨークの滝へ

ホテルから有名なサイヨークの滝へは歩いて5分ほど、滝自体はそれほど大きくはないが、池のようなところで泳げるようになっており、地元の人や欧米人が楽しそうに泳いでいる。乗ってきた国鉄は下車したナムトック駅で折り返すが、本来の終点はサイヨークの滝近くで、線路も敷いてある。年に何度かイベントの時のみ電車がやってくるらしい?

滝近くに展示されている機関車について説明している石碑。

翌日の授業のために友人たちと別れて帰りのバスを探す。バス停には特に案内はないため、近くのレンタルバイク屋さんのおばちゃんにカンチャナブリ行きのバスがいつ来るか聞く。たぶん3時、来なければ5時半というなんとも不安な回答をいただき、近くで待たせてもらう。その間、おばちゃんはこちらに興味を持ったらしく、なんでタイ語を話すんだとかどのくらい勉強しているんだとか、いろいろおしゃべりしてくれた。

これは余談なんだけれど、おばちゃんは最初から自分が日本人だということがわかっていたんだけどどうやって見分けているんだろうか。一人でいたので日本語も話していないし。バンコクにいる時にも、観光地で日本語で話しかけてくるマッサージ屋のおばちゃんとかいるけれど、韓国人とか中国人とどうやって見分けているのか気になる。もちろん中国人、韓国人、タイ人と間違えられることも多いけどね。

なんとなく予想していたことだけど、やっぱり3時にバスは来ず、おばちゃんはこなかったねーなどと言っている。おばちゃん曰く5時半には確実にくるらしい。ほんとかよ。。。これでバンコクに帰るのは深夜になることが確定だ。2時間半もその場で待つのは流石にきついため、友人たちのホテルで休憩させてもらうことにした。

犬怖すぎ

涼しい部屋で休ませてもらい、彼らと再び別れ、バス停に戻る。その道中、恐れていた事が起きた。タイトルにもある通り、野良犬に追いかけられたのである。未舗装の細い道を歩いていると、後ろから「ワン!」と聞こえる。続いて「ワンワン!」振り返ると三匹の犬がこちらに向かってスタスタと歩いてくる。タイに来たからにはいつかはこんなことがあるだろうとは思っていたけれど、実際に起こってみると冷静な判断なんて出来っこない。追いかけられたら逃げるでしょ。前を向いてガチダッシュ。後ろから追手の激しい鳴き声が聞こえる。はじめはしっかりと走っていたが、連日の列車旅で消耗した体力では長い間走れない。人生で初めて疲れてすっ転んだ。これは漫画とかアニメだと追いつかれて噛み殺されるやつだ。と覚悟したが、なんと彼らはつまらなくなったのか元いた場所にスタスタと戻っていった。そっちが追いかけはじめたんだからオチまでつけて欲しいものである。拍子抜けしていると腕を擦りむいていることに気づく。バス停の近くのセブンで絆創膏でも買おうと大通りに向かう。

別の場所で撮った野良犬。こんな奴らがうじゃうじゃいる。


いや〜大変な目にあった、と大通りに出ると、なんと歩道に四匹の犬がたむろしているのである。マジで終わった。と思いながらも先ほどの反省をいかしてゆっくりと彼らが見えていないかのように通り過ぎる。
おそらく今までは歩くのが速すぎたんだ。高校時代には横浜駅で、大学では新宿駅でサラリーマンたちに負けない速さで歩いていた癖が抜けず、タイに来てからも早歩きをしていたのが犬の目に止まったんだな、などとどうでもいいことを考えながら歩いていく。
今度はうまくやり過ごせそうだと思ったその時、大通りの中央分離帯から一匹の犬カスが現れ、「ワオーン」とまるで狼のように遠吠えをはじめたのである。それに共鳴するようにたむろしてた奴らまで興奮しはじめ、なぜかこっちに向かってワンワンスタスタと向かってくる。本日2回目のダッシュで逃げ切り満身創痍。もうボロボロになった。

バス停近くまで行くと先ほどのおばちゃんが声をかけてきてくれた。レンタルバイク屋は4時半までの営業で、その時はもう5時をすぎていたにも関わらず、心配して待っていてくれたのだ。どこいってたのよ〜と言いながらも、赤い大きなバスがきたら手を上げて止めるのよ!とバスの乗り方までとっても親切に教えてくれ、バイクに乗って颯爽と帰っていった。本当にありがとうおばちゃん。外国の田舎で犬から逃げぼろぼろの自分にはおばちゃんの優しさが身に染みた。もう一回会ってお礼がしたい。
その後、セブンイレブンで絆創膏を買い、バス停でバスを待つ。ありがたいことに他にもバイクに乗ったお姉さんがどこから来たんだとかバスをここで拾うんだぞだのと教えてくれた。おばちゃんとお姉さんの教えてくれた通りに5時半すぎにバスが到着。カンチャナブリ駅まで向かうことができた。


カンチャナブリ行きのバス車内。現地の人が多い。40バーツくらいだった気がする。

バンコクへ向かう

カンチャナブリ駅の近くにはバンコクへ向かうバスの発着するバスターミナルがある。帰りはBTSのสถานีหมอชิต(モーチット駅)へ向かうバスに乗る。行きの国鉄と打って変わって涼しく乗り心地のいいバスで2時間弱、渋滞もなくモーチット駅周辺へ到着。しかしなぜかモーチット駅前までは行かないらしく、少し離れた場所で降ろされた。他の乗客も不満そうながらも降車し、歩いてモーチット駅の方向まで向かう。駅までの道のりは街灯もなく、真っ暗な通りを通らなくてはならず、雨も降りはじめたため早足になる。高架に沿った下道を歩いていると、突然、あの声が聞こえてくる。「ワン!」「ワンワンワンワン!」暗闇からスタスタと足音が聞こえてくる。3度目のガチダッシュをかまし、明るい大通りに出る。もう嫌だとそのまま駅までダッシュし続け、なんとか帰宅することができた。なんでこんなについてないのかなマジで。

カンチャナブリとナムトックへの旅では、タイ人の優しさと野良犬の恐ろしさを身に染みて感じることになった。この日から猫派である。もうポメラニアンでもちょっと怖いもん。

野良犬に出逢ったらどうすればいいかとかはネットで色々書いてあるけど、やっぱり犬を目の当たりにしたら逃げ出してしまうと思う。我慢できる人は知らんぷりするのがいいのかもしれないけれど、それより逃げ切れるように普段からトレーニングしとくのがいいと思います。タイに来たら野良犬に気をつけてね。

旅そのものは楽しかったです。ぜひカンチャナブリに行ってみてね。

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