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ALUMNI STORY ガートナージャパン株式会社 阿部 貴(情報科学研究科卒) さん

東北大学の出身者や関係者でスタートアップ界隈で活躍されている方、そして官公庁や大手企業などにいるこれから東北大発のスタートアップに関わっていきたいと思われているOBOGの方々をご紹介する「東北大学スタートアップアルムナイ100人カイギ」このイベントで収録された東北大学OBOGの講演内容を「ALUMNI STORY」として記事化してお送り致します。
※東北大学スタートアップアルムナイの詳細についてはコチラをご覧下さい。


自己紹介:宮城県出身で、小学生まで県内で転勤生活を送る

※こちらの収録は2023年2月に行われたものです
2007年院卒の阿部と申します。私は田舎の生まれで、宮城県出身なんですけれども、仙台の中高を出てはいますが、それまでは田んぼしかないようなところで生まれ育ちました。
自分の親父とお袋がいる実家は、ちょっと前に朝ドラの「おかえりモネ」で出てきた風車があるところ、登米市というお米が有名なところで、そこに実家があります。ここに住んでいたことはないのですが、本籍があります。

親父が宮城県警で、公務員だったので、県内を転々としていました。津波の被害に遭った石巻の小学校に住んでいたこともありますし、あと大河原や、温泉がある川崎町とかに行っていました

大学入学前:男子校で柔道と勉強に打ち込む中高時代

そんな中で、腰が落ち着かないと勉強もできないだろうという両親の配慮があり、中高から、今ウェスティンホテルがある二番町のところの東北学院中高に入学しました。今は共学になっていますが、当時は男子校で、学ラン詰襟という形で、すごく男臭い環境で育っておりまして、女子がいない6年間で、柔道に打ち込みました。
最近読んだ記事で、男子校に通っていた人間のほうが、将来早死にしやすいという記事を読んだのですが、そんな経験を積んだ人間です。
そういった形で、誘惑に惑わされることなく、柔道と勉強に打ち込んだというところもあって、学院の中の話ではありますが、おかげさまでそこそこ勉強ができたっていうところがあって、ゆえに将来何をするか、と大いに思い悩む青春時代でした。

色々なところに興味があって、機械工学、航空宇宙、ロボットにもすごい興味がありました。 建築デザインとかもすごい楽しそうだなというのがあったのですが、当時インターネットが出たてといいますか、まあようやくテレホーダイ等が普及して、まだまだ遅いけど定額でインターネットができるぞ、みたいな時代だったんですけれども、フレッツ・ADSLモデムを孫さんが街頭で無料配布して普及させるなんてことをやっており、ちょうどその前後ぐらいで自分もインターネットに触れ合う機会があり、これからは情報という分野がすごく伸びそうだと感じて、自分の将来をITにかけるということを決断しました。ここで、自分の人生を選んだポイントというのは、これから伸びる分野は何かなというところを考えて選んだというところになります。

東北学院中高で、柔道と勉強に打ち込む

大学入学後:アメフトと研究に打ち込んだ大学&大学院生活

2001年4月に東北大に入学し、院卒で2007年に卒業しました。もともと柔道をやっていたので、大学に入るにあたって、新しいこと、面白いことをやりたいなというのと、強い部活に入って、ナンバーワンの組織とは、どういう雰囲気で組織を動かしてるのかというのを体験したいなというのがあって、東北大だとボート部などが有名なのですが、当時東北で一応1番だよということで、アメフト部に入部しました。
運動神経はそんなによくなかったので、レギュラー争いに勝てはしなかったのですが、この中ですごく一生ものの、友人や先輩後輩に出会うことができました。 あと、高校時代は勉強できる方だったのですが、東北大に入って、全国からすごく優秀な方々が集まっていたので、非常に打ちのめされることになりました。その打ちのめされた経験も、すごく自分の財産になっているなと思っています。
自分の中で得た気付きというのが、勉強と研究の違いというところがありまして、私の中の解釈になるのですが、勉強は誰かが切り拓いた絵をなぞる形で覚え学んでいく、というところだと思うんですけれども、 研究は全然違っていて、未知の分野に自分で旗を立てて、仮説を立てて検証で進んでいくっていうような形で、先人に学ぶではなくて、先人になることが研究だと、研究室に入って研究活動をして、初めて目の当たりにして、なかなかここで成果を出すことができなくて、一方で東北大の周りの同期とかが、精を出して国際学会で発表したりしているのを見て、自分は勉強が得意だと思っていたけれど、やっぱり研究が得意だということじゃないんだ、全く別物なんだと、研究者の道を挫折して、自分の能力を活かせる道を探そうということで、就職活動を始めました。

アメフトと研究に励んだ東北大学生活

余談にはなるのですが、アメフト部のHORNETSに入ったということは本当に良かったなと思っていて、スタートアップの会なので、2人ほど簡単に紹介させていただくと、私の同期でクォーターバックをやっていた堀田という人が、イギリスのAIスタートアップTractable(トラクタブル)という会社のとAPACの統括マネージャーをやっていたり、僕の少し下の後輩に矢本という男がいまして、彼は最初丸紅に入社して、途中に震災があって、そこで人生の転機を迎えて、人生を尽くして新しいミッションに挑戦するというような方向に舵を振り切りまして、今は10Xというリテール向けのプロダクトを作っている会社で、CEOとしてプロダクトマネージャー突き詰めている求道者みたいな人もいますこのような形で、東北大のOB、そしてHORNETSのOBからも刺激を受けることが多い日々となっています。

アメフト部HORNETS出身でスタートアップで活躍するOB


就職活動時:ITの普及に貢献する方法を模索した就活

就職活動時の話になるのですが、研究者としては挫折しましたが、ITが好きだという気持ちは変わりなかったので、なんとか知識を活かしたいなと思うようになりました。東北大だと色んな研究室の教授の推薦などの機会があり、何社か説明会にも行ったのですが、ちょっと違和感を感じました。というのも、やっぱり大企業は仕組みが出来上がっていて、仕組みが出来上がっているがゆえに、営業だったらもう営業の仕事に専念、エンジニアだったらエンジニアの仕事に専念という形で、1つの仕事を突き詰めることをすごく求められているなというように思いました。一方、私は研究者としては挫折したけれど、ITのスキルやナレッジを、最初から活かせるような仕事をしたいなと思ったので、仕事を探すフィールド、領域を変えて、メガベンチャーっぽいところに行こうかなと視点を切り替えました。
そうしたところで、運命の出会いがあり、IIJ(インターネットイニシアティブ)という会社に出会うことができました。IIJという会社は、日本で法人向けのインターネットサービスをやった草分けで、正確には米国企業が日本でISP事業を立ち上げた会社がIIJの前にあったらしいのですが、日本ではIIJが初めてだそうです。

メガベンチャーを探して、IIJに出会う

現在の仕事内容:ITをベースに、メガベンチャーから外資系企業へ

IIJに入ってみて、すごく東北大の研究室に似たような雰囲気があると感じました。皆さん、自由で、技術に対して、ものすごく誠実で、本当に良くも悪くも裏表がない人たちの集まりでした。別の見方をすると、あまり金儲けには興味がないような会社で、それも良し悪しあると思います。
そんな中、真正面で技術に向き合いながら、営業という職種でキャリアを積むことができました。人手が、大手ほど潤沢にあるような会社ではなかったので、本当に何でもやりました。スライドに、IIJが作ったコンテナデータセンターの写真があるのですが、こういうところに入って、配線の作業をやってみたり、重たいサーバーを運んでラッキングしたり、そういう物理作業も沢山やりました。

そうこう楽しくやってる中で、子供が生まれて、次のステージを考えることになりました。というのも、この会社があまり金儲けにあまり興味がないというところが、裏目に出て、このままだと子供を育てて、幼稚園に行かせたりするのが難しいかもしれないぞとなって、ちょうどその時、私も営業として社長賞とか取るぐらい、アワード取るぐらい成果も出て、IIJでやれることをやっちゃったかもなみたいなところもあったので、じゃあ次のステージへ、というところで探し始めました。

IIJで技術に向き合いながら、営業として経験を積んだファーストキャリア

ふと自分の足跡を見返してみると、入社当時はインターネットに可能性を感じていましたが、2010年代も半ばになると、インターネットは当たり前で、自分のお客さんも世の中も、インターネットということに対して、新しさがなくなり、大きな投資をするというよりかは、これはもう前提として、次何をやっていくか、という方向にシフトしていることに気づきました。なので、次のキャリアを考えるにあたって、じゃあその未来がどっちにあるのか、ということを追い続けながら、今できていないことをやりたいなと思って転職活動をしていたところ、Gartner(ガートナー)という会社に出会いました。

あと、いまGartnerで仕事をやっている、大きなモチベーションの一つにもなるのですが、創業当時はすごく先進的なビジョンで色んな社員をリードして、前に進んでいた会社も、その会社が20年、30年経つと、やっぱりビジョンの疲弊を起こしてしまうことがあると思います。20年前に新しかったことが、今でも新しいかというと、決してそんなことはなくて、その会社を動かす仕組みというのも含めてアップデートしていかないと、いつの間にか、社員を不幸にしてしまうということに繋がってしまう、ここにすごく課題意識を持っており、これを何とかしたいなと思って、今は仕事をしています。

Gartnerは、日経新聞では「米国調査会社」という書かれ方をされていますが、私も入社して初めて知ったのですが、実態としては、調査会社のビジネスは全くやっていません。一般的に調査会社というと「こういう調査をお願いします」と調査を依頼して、それを請負う会社や、あるいは調査会社で事前に調査した内容をレポートや本にまとめて、それを一本何十万円で売るような会社のことを普通はイメージすると思うのですが、Gartnerは、そのどっちもやっていません。じゃあ、何に対してお金をいただいているかというと、Gartnerは調査もやっているのですが、調査をやった結果を元にして、専門家の人たちがお客さんの相談相手になってアドバイスを提供する、ということに対して、お金をいただくビジネスをやっています。なので、アドバイザリー企業、アドバイザリーファームというような言い方をした方が正確かなと思っています。

私がGartnerで何をやっているかというと、CIOのようなITのエグゼクティブの方や、ITベンダー企業で、お客さんにITのソリューションを提供する企業さんにおける、事業責任者やプロダクトマネージャー、プロダクトマーケターの方の相談に乗ってアドバイスを提供する、そのようなサービスをする営業組織のマネージャーをやっています。

また、外資系に入って、様々なカルチャーショックを受けて、すごく沢山の学びを得ることができました。前職のIIJでは、社長賞を取るぐらい、自分は営業としてできる!と思い込んでいたのですが、Gartnerに行くと、自分よりもよっぽど若くて、ものすごく優秀で頭の回転のキレも早い人たちがゴロゴロいました。実は入社してすぐに、そのあまりのギャップの差に、自分は今まで何をやってきたんだろうと悩んで、ちょっと鬱になることもあったのですが、自分が挫折するきっかけが作れたという意味で、すごく意義の大きかった転職だったというように思っています。
ただその中で必死に食らいついた結果、色んな成果を得ることができました。具体的にはいまGartnerに入社して、7年目に入っているのですが、過去6年の間で4回、目標の130%達成という形で表彰を受けたり、そのうち1回は目標の約500%達成をして、GartnerのEagle Awardという社内アワードで表彰されることができました。Eagle Awardは、上位1%ぐらいの表彰基準を満たしてる人のアワードで、 そういった形で成果を認められて、今は営業マネージャーをやっています。そこまで部下が多い組織ではないのですが、某エンタープライズ企業の担当として、マネジメントをしています。

米国のリサーチ&アドバイザリーファーム「Gartner」に転職

今後貢献していきたいこと:Gartnerはスタートアップ企業も支援している

スタートアップで今後貢献したいこととして、Gartnerは基本的には大手、中堅企業のお客様がすごく多いのですが、実はテクノロジースタートアップの企業を支援するということもやっています。私はエンタープライズ企業担当なので直接やっているわけではないのですが、スタートアップ向けのチームが別にあり、そこでは、いわゆる1→10、10→100のフェーズにあるスタートアップ企業を、基本的にはプロダクトマーケティングとプロダクトマネージメントという2つの観点から支援する、ということをやっています。
本日同じく登壇されている藤井先生が、法務アドバイザーとして、M&Aや、Go To Marketのアドバイスをされているというお話を伺いましたが、けれども、残念ながらGartnerは法律事務所ではない、非弁行為になってしまうので法律的なアドバイスはできないのですが、それ以外の部分、事業を強くするためのプロダクトマネージメントの仕組みってどうやったらいいの?等のアドバイスをしています。

大企業、中堅企業以外にもスタートアップの支援を行う「Gartner」

これはよくある話になるのですが、スタートアップ企業の最初のフェーズは、個人で集まって、創業メンバーの優秀さと人脈でお金を稼いでいくしかない、それがだんだん上手くいって、従業員を30人から50人、50人から100人に増やすぞとなったときに、そういうフェーズで必ず壁にぶつかります。その仕組みがちゃんと整っていなくて、人だけいてちゃんとうまく動かない、みたいな話になってしまうので、じゃあその企業規模をフェーズに応じて、どう役割分担をしたらいいのか、役割を分担させて新しい割り振りをするけど、その人たちをどう評価したらいいのか、そういったところのアドバイスを提供しています。

グロースフェーズにあるスタートアップ企業も支援することが多い

スライドは、社内資料から抜粋したものになりますが、Gartnerが、グロースフェーズにあるスタートアップ企業から受けている相談の例になります。例えば、今後半年〜1年で何をしたらいいのだろうとか、お客さんの需要ってどこにあるんだろう、みたいな相談も受けていますし、事業戦略とプロダクト戦略はどういうようにアライアンスさせたらいいの?みたいな話もあります。

スタートアップ企業からは幅広い相談を受けている

また、私がGartnerに入社して、Gartnerがすごくいいなと思っていることがあり、企業経営者、プロダクトマネージャー、プロダクトマーケターなどの、テクノロジースタートアップに欠かせないロールに対して、この人たちが一般的にやらなきゃいけないことを整理分類してフレームワーク化されていることになります。
相談されることを仕事にしているのですが、場当たり的に相談を受けるわけではなくて、お客さんに対して、あなたはグロースフェーズのスタート企業で、今からプロダクトマネージメントチームをちゃんと立ち上げなきゃいけないというミッションがあります、じゃあ、その時にプロダクトマネージャーの方がやらなきゃいけない一般的な仕事はこういうものがありますよ、というところをあのまずティーチングして、考える材料を提供しながら、その中で出てきた疑問点を相談として受けるというようなことをやっています。 こういうところを体系化しているところが、すごくいい会社だなと思っています。

着手すべきアクションがフレームワーク化されている

まとめとして、私はこのような経歴で積み上げてきており、東北大のOB、OG、現役生の中でスタートアップ企業にチャレンジしたい方々が多くいらっしゃると思うのですが、今の立場で支援できることもありますし、直接的に支援できないような領域でも、色々な人脈、東北大やアメフト部HORNETSのOBにもスタートアップ経営者がいたりするので、何でも相談は受けたいなと思っています。ありがとうございました。

いつでもご相談お待ちしています!

[東北大学スタートアップアルムナイ-コミュニティについて]

「東北大学スタートアップアルムナイ」コミュニティは、ハッカズーク社提供の「https://official-alumni.com/」を活用し、有志が運営しております。

現在本コミュニティへの登録は、招待/承認制とさせていただいております。東北大OBOG(および関係者)であったかなどの在籍確認や、本コミュニティへの貢献意思、スタートアップ業界でのご活躍状況などを登録の際に確認させて頂いております。その為、ご登録までにお時間がかかる場合がございますので、その旨あらかじめご了承ください。
https://app.official-alumni.com/register/tohoku-u

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