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工学部・工学研究科の就職活動

「就職活動って実際どうやってやるんだろう・・・」
身近に就活をした人がいないとなかなか分かりませんよね。

私もそうです!!(でした?)

というわけで、工学部材料科学総合学科のMickです。
現在は博士課程の2年生として研究をしております。
最近は就職活動もしており、いろんな会社さんを見学したり、
先に就職した友人の話を聞く機会が多くあります。
就職にまつわる悩みや不安を皆様と一緒に解決していきたいと思います。

この記事は以下の記事を踏まえた内容になっています。
工学部・工学研究科の就職・進路についてはこちらの記事をご覧ください。


就職活動の流れ

 今回は私の知人の就活の経験談をもとに、工学部生(本稿では大学院生も含みます)の典型的な就職活動の流れを体験談形式で書いてみました。それぞれモデルとなった人はいますが、細かい部分は私の想像で書かれておりますし、必ずしも事実とは異なりますが、なるべくイメージしやすいようにアレンジしてみました。

Tさん [推薦で理系企業へ]

 学部は材料科学総合学科で、もともと金属の研究に興味がありました。学部2年生までは強度の高い金属や、高温にも耐えられる耐熱性の金属の研究をしたいと考えていましたが、学部3年生の時に受けた環境化学の授業がきっかけで金属のリサイクルに興味を持ち始めました。
 学部4年生のときの研究室選択では金属の生産技術を中心に研究している研究室を選び、アルミニウムの効率的なリサイクル手法を研究していました。大学院でも同じ研究室の所属のまま、学部時代からの研究を継続して行なっていました。実験が楽しく、いいデータが出ると達成感と充実感がありました。
 金属の生産手法を改善することで環境問題を解決したいと考え、就職は製鉄メーカーを中心に考えていました。製鉄メーカーのN社のインターンシップに参加すると、環境問題の解決に取り組む会社の業務に惹かれました。材料科学総合学科からはその会社への推薦枠があったので、推薦を希望すると希望が通り、適性試験と数回の面接に参加したところ、内定をいただきました。
 現在は、千葉県の製鉄所で鉄鋼の生産プロセスの改善をしています。自分の仕事が地球環境の改善につながっていると感じられ、研究室でいいデータが出た時のような充実感があります。

複数の友人の体験談をもとにしたMickの創作就活体験談 1

Mickのコメント
 Tさんは大学の推薦枠を使って就職活動をしていました。東北大学の工学部へは多数の会社から求人が出されており、大学からの推薦枠があることが多いです。推薦枠のある企業は学科によって大きく異なりますが、Tさんは材料系だったので希望する製鉄メーカーの推薦枠があったようですね。
 自分の研究テーマと近い業務を行なっている企業を受けるという人はけっこう多い印象です。そもそも自分の興味のある研究をしている研究室を選ぶので、当たり前と言えば当たり前かもしれませんが。

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Kくん [自由応募で理系企業へ]

 大学に入ったら海外留学をすると高校生の頃から決めていました。正直、理由は「なんとなくカッコイイから」って感じでしたが・・・。
 東北大学にはSAPなど留学を支援する制度が充実していたので、経済的な負担は比較的少なく海外で勉強する機会が得られました。留学の中で海外の学生と自由に話題を決めてディスカッションする時間があったのですが、その活動を通して自分がいかに社会についての知識が浅いのかを痛感することになりました。
 それ以降、英語の勉強はもちろん、社会情勢についても熱心に勉強するようになりました。大学3年生の時に一度休学し、JICA(国際協力機構)のプログラムに参加して中東の発展途上国で貧困削減・社会的格差の是正の活動を行いました。トラブルも多く大変でしたが、人間的に大きく成長することができたと感じています。
 就職活動は「途上国の発展に貢献できる仕事」を軸として考えて、プラントエンジニアリング会社を希望していました。僕の学科では希望の会社への推薦枠はなかったので、数社にES(エントリーシート)を出しました。面接ではいままでの海外での活動をアピールでき、第一志望だったプラントエンジニアリング会社から内定をいただきました。

複数の友人の体験談をもとにしたMickの創作就活体験談 2

Mickのコメント
 留学や海外での活動を頑張っていた友人数名のエピソードをまとめて書いたので、すごい行動力の人になってしまいましたが、一つ一つのエピソードは事実に基づいています。この記事では就職活動をメインに扱うので、留学などについては深く説明しませんが、留学の支援制度は充実しているので興味がある人はぜひ調べてみてください。
 外資系の企業やベンチャー企業の場合は推薦枠があることは珍しいですし、日系企業でも推薦枠があるとは限りません。そういった場合は、履歴書やいわゆるエントリーシートを作成して、企業の採用に応募することになります。大手企業だと倍率は高くなりますので、数社同時に応募することになると思います。推薦枠を使う場合に比べて、多くの時間と労力を要す可能性が高いですが、自分の目標を達成するために就職活動を熱心に行う学生は多いです。

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Sくん [自由応募で文系企業へ]

 大学の勉強は嫌いじゃなかったのですが、どちらかというと部活を熱心にやっていた4年間でした。軽音楽サークルを2つ掛け持ちしてて、毎日ギターの練習をしたり、曲を作ったり作詞したりって感じでしたね。小説を読むのも趣味で、自分でも小説を書いてました。SF小説が好きなんですよ。『パラサイト・イヴ』とか高校生の時めっちゃハマってましたね。
 好きなことを仕事にしたいと思っていたので「文字を書く仕事」を目指して、広告代理店とか出版社にエントリー(採用に応募すること)しました。書類で落ちちゃう会社も多かったんですけど、今いる会社の面接ではウケが良くて、なんとか内定って感じでした。
 正直、ラッキーだったなとは思ってます。え、将来ですか? うーん、やっぱりバンドでメジャーデビューSF小説書いて生活したいですね。SF小説を書く時には物理学の授業とか、機械設計の授業で勉強した知識が活きたりすることも普通にあるんで、そういう意味では工学部に入って良かったかもしれませんね。

複数の友人の体験談をもとにしたMickの創作就活体験談 3

Mickのコメント
 Sくんはかなり自由人な感じですね。まあでも、シンガーソングライターの小田和正も東北大の工学部建築学科出身ですしね。法学部ですが、小説家の伊坂幸太郎も東北大出身ですし、理学部からはSF作家で芥川賞まで受賞した円城塔も輩出しているわけで、Sくんの才能と努力次第では有名な作家になったり歌手になったりする可能性もあるわけです。
 Sくんは工学部つまり理系ですが、広告系の会社など理系的な知識が特別必要とされていない会社に応募しています。このような就活のスタイルは学生の間では「文系就職」と呼ばれています。銀行や証券会社、コンサルティング会社なども文系就職に含まれることが多いですが厳密な定義はありません。工学部に入ったから絶対に製造業や通信業じゃないとダメってことはないということだけ知っていただければと思います。
 バンドマンや小説家になることを推奨しているわけではないです。

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Eさん [研究者として企業へ]

 修士の時にみんなと一緒に就活はしてたんだけど、研究が面白くなっちゃったっていうか、めっちゃ良い実験データが出て博士課程に進学するのも悪くないなって思ったんだよね。もともと研究者には憧れたし。教授に相談したら「ぜひ進学してください」って言われて、そのままって感じかな。
 博士課程で良かったことはガッツリ研究に集中できたことと、実験して論文を書いて、学会で発表してってプロセスの中で、思考力と課題発見力が身についたことじゃないかな。スイスの大学に半年留学したのも経験値増えたかな。あっちは現象を数式で説明できないとダメだって価値観が強かったのはビックリしたけど、良い勉強になったよ。
 今の会社の上司には、D2(博士課程2年生のこと)のときの学会で会って「うちの会社で働かない?」って誘われて。企業の見学とかしていく中でいいなと思って選んだかな。もちろん他の会社も色々調べた上で、だけどね。アカデミア(大学や研究機関のこと)に残ることも考えてたけど、実際の製品につながる研究ができるっていうのが魅力だったかな。会社でやってる業務は、大学時代の研究とは直接関係はないんだけど、研究で培った思考力と課題発見力どんな業務でも活かされるから博士に進学して良かったと思ってるよ。
 え、Mickくんも博士行くの? いいんじゃない(笑)がんばって。

 複数の友人の体験談をもとにしたMickの創作就活体験談 4

Mickのコメント
 私も博士課程の学生ですがEさんの言っていた「思考力と課題発見力」が身につくことは感じられますし、研究に集中できる環境もやはり魅力です。
 途中、「アカデミア」という言葉がありましたが、これは大学や公的な研究機関(国立研究所など)を指す言葉です。博士課程の学生は研究者になる場合がほとんどですが、企業の研究者になるか、アカデミアの研究者になるかを選択することになります。
 企業でも大学に近い研究をしている会社も少なくありませんし、逆に大学でも大学発ベンチャー企業を設立したりする研究室もあったりするので一概には言えないのですが、一般的にはアカデミアでは新しい現象や技術を見出すことを目指した基礎研究を行い、企業では利益を目的とした応用研究を行います。自分が目指す研究者像に合わせて選択する必要があるでしょう。

まとめ

 今回の記事では、私の友人や先輩のエピソードをもとに実際の工学部生の就職活動についてご紹介させていただきました。ところどころ創作が強い部分もありましたが、皆さんが自分の就職活動をイメージする助けになれば幸いです。

 就職活動自体ももちろん大切ですが、大学生としての活動をいかに豊かにしていくかということが、自分の将来にとって重要なのかもしれません。勉強・研究・留学・部活・趣味・バイトなどなど、できることはたくさんありますので、やってみたいことにどんどんチャレンジしてみてくださいね。

それではまた。

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